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音響効果ってどんな仕事?1(打ち合わせ〜サブ出し選曲〜収録編)

こんにちは。サウンドブリックスの上野です。
僕は普段「音響効果」という仕事をしています。略して「音効さん」とも呼ばれます。簡単にいうと映像やイベントで既存の音楽や効果音を選んでつける(出す)というお仕事です。

テレビ業界では重要なポジションである音効さんですが、意外と知らない方や「音効さんっていうのは聞いたことがあるけど普段どんなことしてるの?」と思っている方多いと思います。そこで今回は細かい説明を省き、複数回に分けて超ざっくりと業務内容をまとめてみたいと思います。これから音効さんになりたいという方の参考になれば幸いです。

音効さんにもジャンルがある

まず前提として「東京の音効さん」をベースに説明していきます。僕が東京以外の仕事をあまりしていないということもありますが、地域によって文化が違うからです。東京は分業制で音効さんというポジションがありますが、大阪などではMAミキサーと音効さんを兼任していることが一般的と聞きます。ですのでここでは東京のお話が中心になることをご承知おきください。

音効さんは基本的に映像に音をつけていくわけですが、その映像にも様々なジャンルがあります。ジャンルは大きく分けて「放送系」と「それ以外」です(めちゃくちゃざっくりですね笑)。基本的には音効さんが一番力を発揮できる場所がテレビだと思うからこのように分別しました(あくまで個人の感想です)。

「放送系」
・報道・ワイドショー
・ドキュメンタリー
・バラエティー・音楽
・アニメ・子供向け
・スポーツ
・ドラマ
・企業案件等

大きく分けるとこのような感じになるかなと思います。主に放送では市販されている市販の曲を使います。最後の「企業案件〜」というは実は僕もあまり詳しくないのですが、企業に番組枠をまるまる購入してもらってその企業だけの番組を作る、みたいなやつです(間違っていたらどなたかご指摘ください)。よく通販番組とかでありますね。

「それ以外」
放送以外はいろいろあります。一部例を記載します。
・企業VP
・イベント
・映画
・SNS動画

このようなジャンルが多いかと思います。主にフリー音源やオリジナル楽曲を使うことが多いです。

基本的にこれ以降は僕がメインとしている「バラエティー系のテレビ番組」に的を絞ってお話ししていこうと思います。

音効さんの得意ジャンルも様々

音効さんのお仕事内容

大きな流れとしては
「打ち合わせ」

「サブだし選曲」

「収録」

「本編選曲&笑い足し」

「MA」
で進んでいきます。

打ち合わせ

選曲に入る前に、VTRの担当者とイメージのすり合わせをします。番組全体の大まかな流れは演出(監督)の方とお話をしますが、VTRの本数が増えると各VTRに担当ディレクターがつくことが多いので、その場合は個別にディレクターと打ち合わせをします。実作業の前段階ではありますが、この打ち合わせで担当者の要望がうまく汲み取れない場合はあとで修正が多発してしまう可能性が高くなるので重要なお仕事の一つです。
ちなみに「音に関してはお任せします」というディレクターさんも多いです。

打ち合わせはとても大切なお仕事

選曲

打ち合わせた内容をもとにVTRに音をつけていく選曲作業に入ります。
選曲には答えがない分奥が深いです。人によって正解も異なります。ノウハウ等に関してはまたいつか投稿するとして今回は簡単な概要だけを示していきたいと思います。

バラエティー番組のタイプ


・ロケ中心の番組
・収録中心の番組
・VTR中心の番組
・トーク番組
・生放送

バラエティー番組の中でもいくつかのタイプがあります。それぞれで時間をかけるポイントは変わってきますが、僕が選曲に時間を特にかけるのは「VTR中心の番組」です。番組がトーク中心でいくのか、あるいはVTR中心で行くのか、スタジオでの遊び中心で行くのかはそれぞれの番組で異なります。

収録がある番組だと収録前に一度VTRを作り、それを見ながらタレントさんのリアクションをまたカメラに収めて再編集してもう一度放送用にVTRを作る、という流れになるので選曲を2回行うことになります。この収録の前に作るVTRを「サブだし」と言います。そして再度編集して放送用に改めて作るVTRを「本編」「一本化」などのようにいうことが多いです。
僕はサブ出しの多い番組を「サブ出し番組」と呼んでいますが、各ジャンルの中でサブ出し番組は特に時間がかかるイメージがあります。

ただ、サブ出しが少ない番組でもスタジオでの遊びが多い番組であれば収録で出す音や、本編で選曲する部分が増えてきます。結局サブ出しが少ない番組でも他の部分で時間をかけることになるのでサブ出し番組が一番時間がかかるとは一概に言えないところがあります。
選曲はサブだし以外にも本編でも行います。また収録で音を出す番組では事前に選曲をして用意しておく必要があります。

VTRにつけた音はMA(ポストプロダクション)という場所に納品する流れになります。この辺りはMAの項目で説明することにします。サブ出しのある番組は本編と合わせて通例2回MAを行いますが、サブ出しがない場合は基本1回ですみます。ここでは「サブだしあり」「収録あり」の番組を例に説明をしていきます。

収録

サブだし作業が終わった後はそのVTRをみながらタレントさんにコメントやトークをしてもらうための収録があります。収録によって出す音も様々ですが、音を出さない番組であれば収録に行かないケースもあります。
ちなみにキー局では大体が放送局内に収録スタジオが入っていますので収録時は放送局に向かうケースが多いですが、外部のスタジオを使うこともたまにあります。その中でもTMCスタジオと呼ばれる老舗の外部スタジオなどは特に有名です。

タレントさんがトークを繰り広げる場所は皆さんがテレビでよくみかけるようなスタジオですが、そこには出演者以外にもカメラマンさんやPAさんなど多くのスタッフが参加しています。しかし収録での仕事場はそれだけではなく、そのほかにスタッフが作業する「サブ(副調整室)」という場所があります(サブでVTRを出すから「サブ出し」と呼ばれるようになったそうです)。サブはスタジオの上の階や隣に位置している場合が多いです。例えば画角に関してサブのモニターだけでは判断が難しい状況の時など「スタジオではどう見えてる?」のようにインカムなどを使ってスタジオとサブの間で相互間のコミュニケーションをはかっています。本番でタレントさんがトークをしたりVTRをみたりするスタジオと、それを俯瞰で見るサブの両方の視点から収録は成り立っています。

サブでは音効用に席が用意されている事が多く、音声さんの後ろに位置していることが一般的です。音声さんは収録現場でタレントさんのマイクなどの調節などをしていて、よく音効さんと勘違いされるのですが役割は違います。音声さんは音効さんが出す音の音量の基準を定めてくれます。音楽のボリュームは音効さんが決めるのが一般的ですが、それ以外の音(とくに人の喋り声)は音声さんが握っています。同じ音仲間としてコミュニケーションをとりながら作業を進めていくのでサブでは音声さんは音効さんの1番のパートナーと言えるかもしれません。
また、席の中心には収録を仕切るディレクターが座っていて、そこから音の出すタイミングなど指示がやってきます。そのほかにもタイムキーパー、ビデオエンジニア、カメラマン、テクニカルディレクター、照明、マルチなど多くの専門スタッフが集まります。

音効さんは収録で必要な音を出すのですが、どんな機材で音を出すのかは人によってそれぞれです。東京の放送局にはポンだし機といわれる専用の機材が据え置きになっていることが多いので、コンパクトフラッシュなどのメディアにwavを用意してポン出し機で音を出す人が多いと思います。その他にもサンプラーを自分で持ってくる人や、パソコンから音を出す人もいます。サブにポン出し機がないところもあるので初めて行くスタジオは事前の確認が必要です。

放送局にあるポン出し機「HS Editor」のエディット画面。TASCAMのHPよりhttps://tascam.jp/jp/product/hs_editor/top

収録ではフリップを出す時のSEや、「〇〇のコーナー!」と言った後に出すジングルなど短い音を用意することが多く、長めの音楽を出すケースは少ないです。理由としてはあとで映像を編集しにくくなってしまうからです。
なぜ後で編集しにくくなってしまうかというと、BGMのように長めに音楽をかけると、その中でタレントさんがしゃべることになります。そうすると収録上で流した音楽がタレントさんのマイクに入ってしまって、人の声だけを聞かせることが難しくなってしまいます。その中で映像を編集しようとするとブツッとBGMが途切れたように聞こえてしまうのです。
このタレントさんのマイクに収録で流した音楽が入ってしまう状態を「まわりこみ」と言います。
SEやジングルなどは現場を盛り上げるという意味合いのほか、収録上でのキッカケを作る役割があります。例えば「ジャン」と音がなったらフリップを出したり、「ピロン」となったらモニターに映像を出す、などのように音が出ることによって、番組の進行がスムーズになります。

収録上ではカメラが回っていないところでも音効としての仕事があります。
「客入れ」「客出し」用にBGMを流す事です。本番が始まる30分くらい前にお客さんが入ってきます(お客さんがいない番組もあります)。そのときにスタジオにうすく音楽を流すのですが、本番前に空気を温める役割が「客入れBGM」なのです。
収録が終わった後も現場の空気が寒くならないように、お客さんが全員スタジオを出るまで「客出しBGM」をかけます。
お客さんがスタジオから全員出たところでBGMをかけるのをやめて機材の撤収に入ります。ちなみに過去には客入れ・客出しあBGMだけをかけにいくお仕事もありました。

スタジオとサブの連携で収録が進む

次回に続く….

駆け足になりましたが、なんとなくでも収録までの流れをつかんでいただけたでしょうか?
音効さんは選曲が中心ではありますが、改めて振り返ると意外とタスクも多いことに気がつきました。文章にまとめるのがとても難しかったのですが、今回はかなりいろんな説明を省いてるのでお伝えしきれていないところも多いのですが、少しでも音効という仕事に興味を持ってもらえたら嬉しいです。

また当初1回の投稿で済ませる予定でしたが、長くなってきてしまったので他の項目に関しては次回以降また続きを投稿しようと思います。

ここまでお読みいただきましてありがとうございました。








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