チームワークが高まる話し合いの進めかた③-構造とねらい目の見極め-(伊藤)
こんにちは、SOUNDコーチ養成講座・講師の伊藤隆慶です。
(自己紹介はコチラ)
本記事では、「SOUNDメソッド®」のSTEP3:Understandによって、建設的な意見交換の進めかたを説明します。
テーマは「構造とねらい目の見極め」です。
※「SOUNDメソッド®」は、以下の「S、O、U、N、D」の5つのステップで進めていく、話し合いの手法です。
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1.なぜ構造とねらい目を見極めないといけないのか
STEP1:Statusで一人一人の現状の問題意識が共有され、STEP2:Outcomeで目指したい方向性も共創できました。
ここまでくれば、あとは目指したい理想に向けてアクションを決めて実行すれば、順調に物事が進んでいきそうです。
ところが、いざ進めていくと、忙しくて決められたアクションが実行されなかったり、他部署からの反発や社会情勢の影響で状況が変わったりなどなど・・・、当初の計画通りには進まないことが多々あります。
そして、うまくいかない要因に対してその都度対応していると、また別の問題が発生し、いつの間にか目指したい理想は過去のものとなり、徐々に疲弊していくことがあります。
私たちは、従来の「計画を立ててその通りに遂行する」プランニングに加えて、複雑な状況においては「計画通りには進まない前提で、状況を認識しながら理想に向かい続ける」プランニングが求めれています。
そこで重要になるのが、「現状と理想の間のギャップは何が生んでいるのか?」を念頭に、ギャップを生んでいる構造をひも解き、そこからねらい目を定める必要があります。
※プランニングとギャップを生み出している構造の詳細については、SOUNDコーチ養成講座の中でお伝えしています。
ここからは、現実と理想の間のギャップを生み出している構造と、そのねらい目について、チームメンバー同士の共通認識と視座が高まるような話し合いの進めかたに注目します。
2.進めかたの解説(STEP3:Understand)
「SOUNDメソッド®」の中では、3番目のステップとして、構造とねらい目の見極めを“Understand”としています。
(1)ギャップを生み出す構造をひも解く
目指す方向性がメンバー同士で合意できたら、現状と理想のギャップは何によって生まれているのかを話し合います。
ギャップを生んでいることとして、例えば関係者の中にある前提が関係しているかもしれません。
一人一人のスキルや知識が影響しているかもしれませんし、組織の制度が影響しているかもしれません。
ここでは、一つ一つの要因や根本原因を探すだけでなく、複数の要因が繋がって今の状況を生み出しているかもしれないことも念頭に置いて、様々な視点から状況を捉えます。
(2)ねらい目を置く
ギャップを生み出している構造について、ある程度話し合えたら、次はねらい目について話し合います。
なかなか前進しない、または答えが無いテーマであればあるほど、複雑な構造になっていて、どこから手をつければ良いのか迷走しやすくなります。
ここでは、一人一人が当事者としてアクションに取り組めるよう、メンバーの合意を意識しながら、より効果がありそうなねらい目を決めていきます。
※話し合いが停滞や堂々巡りになっている時には、1~2分の沈黙の時間を経てから、話し合いを再開するのも有効です。
(3)実際の事例
私がとある会社(製造業)の販売部門で、数名のメンバーが集まって「職場の雰囲気をより良くしたい」という議題でミーティングをおこなった時のことです。
その会社の販売業務は、もともと個人のオペレーションで完結しており、職場全体で何かをやろうとしても協力を得にくい状況が続いていました。
目指したい職場のイメージが固まってから、現状と理想のギャップを生み出している構造をメンバー一人一人の観点を持ち寄って話し合いました。
その中で、今回のケースに限らず、職場全体に対して何か施策を打とうとすると、施策自体の良否に関する質問が多く、説明に関するコストが増え、結果的に誰も提案しなくなっている、というパターンが見えてきました。
このパターンが職場全体で取り組むことを遠ざけている構造の一つであり、同時に実際に何か手を打つのは難しいよね、というのが最初のメンバー間の見解でした。
現実と理想のギャップを生み出している構造は、見えてくれば見えてくるほど、その困難さを突き付けられることがありますが、だからこそ状況を変える「ねらい目」になり得る可能性があります。
今回のケースでは、直接的な施策は一旦保留しつつも、「困難に感じる構造があるということと、もし何かしら手を打てれば職場の状況に変化を生み出せるかもしれないこと」をメンバー間で合意して、話し合いは次のステップへ進みました。
(4)“Understand”で注目する観点
“Understand”では、個々が認識している状況が共有される、全体像がより明確になるなど、会議前に比べて共通の認識や、新たな気づきが生まれているかに注目してみましょう。
現状と理想のギャップを生み出している構造を、完璧に認識することが難しい上に、認識できたとしてもタブーに触れるような場合は、ねらい目に置くこと自体が一筋縄ではいかないケースもあります。
完璧な打ち手ではなく、アクションを考えるにあたりベターなねらい目をメンバー同士で見つけていくことで、視座の高まりと当事者意識が生まれやすくなります。
3.まとめ
本記事では、SOUNDメソッドのSTEP3:Understandによって、各々の認識を共有し、状況の洞察を深め、アクションの方向性について話し合う際の、会議の進めかたを説明しました。
実践のポイントは以下の3つです。
一人一人の見解を集約し、現状と理想のギャップを生み出している構造を、網羅的に捉えるようにする
完璧を求めずベターなねらい目を決めていく
時には“Outcome”で話し合った理想に立ち戻りながら、状況の困難さに向き合っていく共通意識を高めていく(STEP4:Negative Checkに続く)
今回の記事は以上です。
チームで話し合われたアクションが実行されない、継続されないことが繰り返されている際に、ぜひ活用してみてください。
4.参考リンク
話し合いをサポートするツールや、より深く学びたい方は、あわせてコチラもご覧ください。
《SOUNDカードWEBページ》
https://www.soundmethod.jp/
《SOUNDカードのメディア紹介》
『カンニング竹山の一番研究所(2024年1月20日放送回)』
https://www.youtube.com/watch?v=e8-hApeMi1o&list=LL&index=2
《SOUNDコーチ養成講座(初級編)》
https://www.authentic-a.com/sound-coach-basic
《SOUNDコーチ養成講座イントロセッション》
https://www.authentic-a.com/sound-coach-intro
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