常時、愁い、喰らわずにいて-クラッシュインアントワープによせて-
<クラッシュ イン アントワープ>
というバンドが大好きだった。
彼らは2004年に突然解散する。
次のLIVEと新曲を楽しみにしていた
当時大学生の私は、絶望の黒を夜の帳に混ぜた。
大好きな状態で解散したバンドは、
一生好きなバンドとなる。
解散すると新曲は出ない。
急激な音楽性の変化だったり、
同じような曲でガッカリすることがない。
だからクラッシュインアントワープも一生好きだ。
曲ありきでバンドが好きなタイプなので、
好きなバンドが出した曲が、全部好きではないのだ。
クラッシュ イン アントワープ(以下 CIA)の曲は
1曲1曲が短い映画のようで
風景だったり、匂い、色が浮かぶ。
音で風を感じる不思議さ。
楽器隊がうますぎる、ベースのコピーなんぞできるかい。
ヴォーカルの穣児の声は
きれいな水に水滴を落として
ゆらゆらと広がる波紋みたいなイメージ。
話しているような、泣いているような
パキパキとクリアでほんの少し揺れるような。
インパクト絶大で、とても好き。
穣児の紡ぐ歌詞の
日本語表現の巧さは秀逸。
漢字ひらがなカタカナ英語の使い方、
語彙力は本や映画が好きなんだろうなぁと
感じさせる。
CIAの歌詞のお陰で
戦ぐ=そよぐ
鈍色=にびいろ の読み方知ったな。
書き出したらきりがないから我慢するけど
どういう発想力持ってたら書けるの?
CIA、ヘルマン、syrup16g、BURGER NUDSに
ゴーイングアンダーグラウンドとかとかとか!
有名どころではスピッツ。
日本語ならではの面白さや、世界観、
少しだけ聞き手に想像させる曖昧さだとか
うわー!!っていう歌詞書く人、最近少ないよね。
クリープハイプとかも面白いけど、結局年齢近いんだよな。
ゴリゴリに影響されすぎて、
syrup真似てただ暗い歌詞なだけとか
奇をてらった言葉ばっかりで作り上げてて
狙いすぎててダサいバンドはいるけど。
勝手な考えだけど、
昔って、なぁーんにもなくて
YouTubeとか垂れ流すものもなくて
自分の感情とか、頭の中に湧くイメージだとか
そういうの表現するのって、小説・詩・音楽
くらいしかなかったから。
それを音楽にぶつけてたんだと思うんだよね。
今ってブログやらTwitterで
自分の表現披露するのって簡単だし
手段もいっぱいあるじゃない?
自分の内にためる必要がない。
だから昔の音楽って、歌詞って、
凄く表現に優れてて、湧きあがる何かを
感じて共感できたりできるものが多いんじゃないかと。
今は何か、オシャレで当り前な感じだよね。
歌詞読んでも新しい言葉発見するバンドなんて
結局昔からいるバンドだもんね。
ここからそういう何かを紡げる人が出るのは
SNS、もはやインターネットなくならない限り無理なんじゃ?
それでもたまにいるけどさ、
実力だけでどうにもならず
運やらも必要なこの世界で
スポットライト浴びるまでになるのって
マージで難しいよね。
それでも音楽を聴くよ。
人生を豊かにしてくれるからね。
これは昔、穣児がインタビューで言ってて
ケータイのメモに残してる言葉。
まさにこの通りで、何十年経ったって
あなた達の作った曲が私の力になっています。
ありがとう。
解散時、もう歌いたくないと言っていた。
唄っていてほしいと思う淡い期待は捨てている。
ただ、穏やかに
戦ぐ風を感じながら
元気に暮らしてくれいていればいい。
ずっとあなたはあなたのままでいいよ。
またどこかで会えるといいね。
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