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雲間

 詩集と名のついた「写真集」の傍らに、同じく詩集と題された「絵画集」があった。本をめくってみると、共に白紙。こだわりを感させる上質な紙質。最後のページには共に「雲ひとつない青空」。タイトルはどちらも「雲」。いや、ひとつは「くも」だったか。

 丁寧な装幀に、珍しく物欲が刺激されたが買わなかった。どうしても欲しくなり次の日に足を運んでみたが、店が見つからない。「なんだか夢のようだな」と思った途端に目が覚めた。手には紙の質感が残っている。窓の外を見ると印象的な雲が青空に浮かんでいた。