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『山の詩集』 01
トップの写真は三宅修さんによるもの。写真が挿入されている『山の詩集 (串田孫一・田中清光 編)』が発行されたのは1991年だが、もっと前のものだろう。
紐解くたびに惹かれる詩が変わる。今日は岸田衿子さん。「くるあさごとに くるくるしごと くるまはぐるま くるわばくるえ」という強烈な詩も書かれている。
峠
岸田衿子
I
峠道を
ちょうちょのあとから
ついてゆくと
ちょうちょは いなくなり
わたしだけが のぼってゆきます
森へ ちょうちょと
はいってゆくと
わたしが いなくなり
ちょうちょだけが
すすんでゆくのがみえます
II
人をよんでいるような 木がある
わたしは 木のほうへひかれてゆくが
人をよんでいる木は どこにもなくて
あたりにはたくさんの木が
木のことばで 詩をつくっていた
[追記]
検索したら別の記事で同じ写真を使っていた。が、そのままにしておく。無理して変える必要もないし、変わる必要もない。そもそも無常の真っ只中である。