文明 II
『海の人々からの遺産』というジャック・マイヨールの本の中に引用されている19世紀のポリネシア諸島のひとつであるヌク・ヒバ島 (タヒチ北東) のタイピー谷の話である。メルヴィル氏の私見が多分に入っているだろうことも、マイヨール氏が引用した意図も察することができるが、解明を試みたところで私見が加わるだけなので控えることにする。
それよりも以前書いた、ポリネシア諸島から「何千キロも離れた」ミクロネシア諸島のひとつである「サテワヌ (サタワル) 島」にも「お金というものがない」という、土方久功氏の話を思い出した。貨幣制度を「諸悪の根源」とする思想は珍しいものでもないが、貨幣制度ほど世界的に広まった「神話」はこれまでに存在したことがないのではないか。
当たり前だが、貨幣そのものは食料とはなりえないため、ひとたび食料危機などに陥れば、価値は「徐々に」消失していくだろう。「徐々に」というのは、培った価値観を即時に捨てることなど不可能だろうからである。しかし、買えないものの「価値」に気づいたりすると、世界観が一新したりする。たとえば「今ここに存在していること」とか....
[追記]
マイヨール氏の本 (というより「フォトブック」) は、海中の「古代遺跡を想起させる自然現象」の話である。「自然現象」で現在は落ち着いているが「古代遺跡」として再発見される可能性もあるだろう。山梨と長野の境にある金峰山の頂の御神体「五丈岩」を思い出す。「自然現象」とされているが、実際に目にした時は人工物にしか見えなかった。