尽十方
静かな湖面に小石を放れば
波紋が綺麗に広がる
絶え間なく動いている
川や海ではそうはいかない
鏡面のような湖面には
流れ行く雲が映り
背後の山々は静かに
その存在を訴えている
鏡に映った顔を見れば
何が映るかって?
静と動の螺旋?
それとも、その隙間?
見たいことだけが見える世界に
気づいちまったのさ
そうしたら、主も客も
溶け合っちまったようなのさ
鱗が重なり続ける目を
突き抜ける光線
太陽との交歓
奇跡の軌跡
はじまりもおわりもない
記憶が蘇り
見果てぬ夢と
対面する
時に氷になり、時に水、
気化すれば風となる
小さな、そして、大きな息吹
溢れんばかりの虚空にて