発見
上田哲農さんの本を再読。上記は父親に捧げた『日翳の山 ひなたの山』の後書きの抜粋。離そうとしても離れない「行為」と「思索」。前者は写実的な「ひなたの山」、後者は抽象的な「日翳の山」だと語っている。本格的な「山屋」である上田さん。里山をほっつき歩くだけの俺からは想像できない経験をしているのだろうが共感する部分が多々ある。
山について語れるほど山に行っていないし、語れるようになるために足を運ぶわけでもなく、歩いたことのない道を歩きたくなった時に山へと向かう。人気のない山に独りで登るのもいいし、誰かと人気の山に登るのもいいが、できるだけ歩いたことのない道を歩きたい。上田さん自身が装幀した本の函の "Discovered" にはじめて気づいた。粋だなぁ。
[追記]
『辻まことの世界』の矢内原伊作氏による解説に下記の言葉を見つけた。上述の上田氏の言葉と同じ響きがある。勝手な類推に過ぎないのかもしれないが『アルプ』に集った「核心」のようにも思える。背後にも光があり、内にも光がある。映し出されているものは共作ではなかろうか。洞窟は常にがらんどうである。目に見えぬ光の彩りが宙を舞う。