見出し画像

映画レビュー#3『バービー』"光と影"

公開時から何かと話題になっていた映画『バービー』ですが、個人的には監督のグレタ・ガーウィグが好きなので観たいと思っておりました。
女優でもあるグレタ・ガーウィグさんの主演映画『フランシス・ハ』を観てから、その等身大の女性像が絶妙にはまっていてファンになっていました。
それから監督・脚本家としてつくられた『レディ・バード』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』と、次々に評価の高い作品を作り上げています。ハリウッドの中でもまだ少ない、監督、脚本家として飛躍的に活躍されている女性だと思います。
そして『バービー』もやっぱり好きな映画なのです!!
観る前は、『バービー』の実写映画って一体どんなんだろう??ってあまり想像できませんでしたが、観始めてすぐにバービーたちが住む完璧な世界に引き込まれました。音楽も話題性のある曲ばかりでしたね。個人的に、ビリー・アイリッシュの『What was I made for?』はメロディもメッセージ性も好きです。ストーリーにぴったりだと思います。
毎日、ずっと笑顔で、ビーチで遊んで、友達とおしゃべりして、ダンスしたり、仕事も楽しい。おまけに年もとらない。毎日がカラフルでパーティーみたいな世界。誰だって毎日楽しくて、良いことしか起きない完璧な世界を夢みたりしますよね。
しかし、そんな毎日ハッピーで完璧なバービーの世界が少しずつ崩れてきます。そして、その原因がある人間の世界に、バービーは足を踏み入れることになります。(ケンも一緒に)
バービーとケンが人間の世界に入って、浮きまくり行動、コスチュームもかわいいです。
そしてバービーは人間とバービーの世界は全く違うということに気付きます。
バービーの世界では楽しいことばかりで、みんないつも笑顔でしたが、人間の世界では楽しそうな人もいれば、悲しそうな人もいます。
バービーからしてみたら、悲しいとはどんな感覚なのだろう?と経験のない、未知の領域でしょう。同時に好奇心も沸いてくるでしょう。
そして、バービーは年老いた女性を見て、「美しい」と思うのです。ここはまだ映画の前半ですが、個人的にこの辺りがとても感動しました。
外見だけじゃなくて、全てひっくるめて「美しい」んだよな〜と再確認させてもらいました。バービーはそのことに早々に気付く、優れた感受性を持っている子です。
ちなみにバービーの世界では、ほとんどみんながバービーとケンで溢れていますが、それぞれが個性の違いを持っているバービーとケンです。また、少数のバービーの妹やケンの友達も出てきて楽しいです。
そして、男性中心か女性中心の世界か?という社会的な問題にも一石を投じています。
このストーリーを作り上げたグレタ監督すごいな〜と思います。
誰でも楽しくて幸せに生きたいと思いますが、人間の世界ではそうはいかないこともあります。
でも毎日が楽しくて嫌なことがなかったらどうでしょうか?その楽しい、幸せという感覚しかなかったら、それが当たり前で、幸せということさえ気付かず、わかりません。悲しいと思うこともあって、初めて嬉しい、幸せと思えることもある。
私たちの現実の世界はそういった世界で、光と影があってこそ、はじめてお互いを認識することができる。私たちはそんな地球の中で生きているんだよな〜。と改めて感じます。
そして、光も影の部分も受け入れて、全てをひっくるめて「この世界は美しい」と思えるのかもしれない。としみじみ感じながら観賞させていただきました!
コメディ要素たっぷりで、私が大好きなコメディアンのウィル・フェレルも出てきます。楽しいコメディ映画なのに、私たちが生きている、コントラストのあるこの世界についても考えさせられた感慨深い映画でした。
ありがとうございました!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?