画期的ワークショップシステム「チャリックス」について
奈良県で1927年から続く、小さなくつ下工場ですが、少し変わった取り組みをしています。
くつ下を作る工程が体験できるワークショップ
「チャリックス」
靴下編み機の動力元を自転車(チャリンコ)につなげています。
自転車を漕ぐと靴下編み機が稼働して、自動的に靴下が編みあがります。
体験者自ら糸を選んで、靴下を編んで仕立てまでをその場で行うことができる画期的なワークショップです。
編み機は1990年代にルーズソックスを生産するために作られた小型のシンプルな機械です。
その当時はルーズソックスが売れに売れまくり、たくさんの国産靴下編み機が作られました。今は作っていたメーカーも廃業し、この編み機は余生をチャリックスとして送っています。
もちろん、電源でも稼働します。
ルーズソックスのブームが去った後は一気に靴下の機械メーカーはなくなり、今は機械国産メーカーは存在しません。部品も無いので故障したり、部品が破損したときは近所の工場にオーダーメイドで発注しています。
このカラフルな鎖がくつ下の設計図になります。ショート丈、ロング丈のそれぞれメンズ、レディースサイズと4パターンあり、編み機にセットして自転車を漕ぎます。
かけた鎖がゆっくり回り、一周するとくつ下が編みあがります。
まずはサイズと糸の色を選びます
靴下のサイズはメンズ(25~27cmくらい)とレディース(22~24cmくらい)の2サイズ、長さが足首くらいのショート丈とふくらはぎ真ん中位までのロング丈の4種類から選べます。さらに、たくさんの色がある糸の中から3色を選んで束ねて編みます。
体験の場では糸をかけたり、調整は職人である、当社会長か、工場長が行っています。
あとは体験者が漕ぐだけ。
漕ぐだけですが、なんだか笑っちゃうほど楽しいです。
くるくるガシャガシャと編み機が動いて、らせん状にくつ下を編んでいきます。
履き口部分から編み始まって、時々、鎖についた突起がガチャンと機械を動かして編み方を変えてかかとを編んだり、つま先を編んだり切り替えをします。
この辺りは体験した人じゃないとなかなか伝わらないかもしれません。
少し編み方が変わって「あ、いま足首が終わってかかとを編んでるんだ!」とくつ下の作られ方が分かって面白いかと思います。
編み終わると自動で糸を切ってくつ下がするりと落ちてきます。
新しいくつ下が生まれたって感じです。
仕上げはおまかせ
出来立てほやほやのくつ下はふにゃふにゃの筒状でつま先部分に穴が開いています。(なんとなくルーズソックスの面影があります)
つま先部分はロックミシンで仕上げます。
こちらは工場で使用しているくつ下の先を縫う専用のロックミシンです。この作業はロッソといい、普通のミシンは縦に生地を送りますが、このミシンは横に送ります。
体験の場では普通のロックミシンで仕上げていますが、工場ではこちらのロッソミシンで仕上げてもらえます。
くつ下はこれで完成ではありません。
このままではふにゃふにゃでゆるゆるの腰抜けくつ下なので、熱を当てて収縮させます。
タグをつけて完成です。
チャリックスは全国の催事などのイベントで出張したりして、ワークショップを行っています。
ワークショップを通じて私たちの靴下作りを知っていただければ幸いです。