第93回都市対抗野球備忘録三日目「見つかった?」
⭐︎第一試合 ロキテクノ富山対JFE西日本
数年前から北信越地区への注視度を高めて見ているが、富山県内の社会人野球チームが凄いことになるぞという印象を持っていた。
伏木海陸運送のコーチ陣を含めた人的強化、ロキテクノとIMF BANDITSの企業チーム化とコロナ禍直前から地力強化の動きがあった。
ロキテクノを初めて見たのは2019年だがとにかく早いカウントからガンガン打ちにいく姿勢と見せていた。ロキテクノに限らず富山の新興チームは攻撃一本槍の印象が強く、守備はゴメンチャイぐらいのレベル。ただ守備力がマシになったら北信越の構図がコロッと変わるぞ、とは強く思った。
それゆえ今回の本大会出場は「時はきた」、それだけだ。
さて試合、初回にあっさり先制したロキテクノ富山だが出塁せども得点できない展開。勝ち運から見放されやすい雰囲気が出ているなかでエラーでランナーが出てしまう。直後にホームラン。
さらに「ドームヒット」とも言える白い天井にボールが消えてしまう当たりが出てしまった上にワイルドピッチと、懸念していたエラー絡みの失点となった。
試合運びという点では経験値のあるJFE西日本のほうがスコア差以上の違いを感じた。
ロキテクノ富山、引き続き見ていたいチームだ。
⭐︎第二試合 TDK対Honda
昨年の都市対抗で応援で株を上げたTDKと、どうしちゃったの?と疑問符が打たれたHondaの対戦。
東北にこんな奪三振マシンがいたのか!と驚かされたのがTDK鈴木投手。特徴的なフォームで繰り出すピッチングでかすりもさせない。
TDKが先制中押しで1点ずつとり、終盤。
HondaはJFE東日本から補強の山田投手が捕まった。
どうも今大会は補強で入った投手が残念な結果に終わることが続いていた。悪い流れは止まらず、TDKは8回にダメ押しとなる1点を加えて3対0とした。
そう、ここまでは。
最終回、Hondaの先頭鈴木選手の放った当たりはレフト方向のボールを見失う死のゾーンに。
TDK打球捜索隊も虚しく彼等の後方にボールが落ちて三塁打。
その後タイムリーであっさり一点、さらに一死後JFE東日本から補強の峯本選手の二塁打で一点差に追い上げる。
完封どころか同点ピンチを招いてしまった鈴木投手はここで降板。二番手権田投手が上がるが、荒れたピッチング。
平山選手へ頭部方向に抜けた球が2球、挙句に肩口にズドン!そりゃ平山選手は怒りますわな。
平常心は保てないと判断されて木場投手に交代。一死一・二塁、9回表一点差。流れはHonda。
辻野選手の放った当たりはセンター前に抜けるかと思いきや、ショートが回り込んで二塁にトスしてフォースアウト。さらに一塁送球もセーフの判定。二塁走者である代走中村将選手はセンター前の当たりという前提で本塁突入。
この場面、併殺を期待した一塁手がワンテンポ動きが悪くなるところだが、TDK三河一塁手は冷静に素早く本塁送球し生還阻止。
あの一点がなければ…という厳しい展開にガラッと変わるんだから野球って怖い。
⭐︎第三試合 Honda鈴鹿対セガサミー
東海予選を見ていると、とにかくスコアのわりに時間を要する試合展開によく出くわす。
一打席に使う球数が多く、ランナーをよく出し、帰ってこない。
東海地区の中でも毛色が違うのはトヨタ自動車ぐらいかな、なんて思っていたが今年はちょっと違った。
Honda鈴鹿対三菱自動車岡崎を見ているとき、関東っぽい試合運びだなと感じたのだ。お互い早いカウントから打ってくる。投手もストライクをバンバン入れてくる。
とにかく試合展開が早いのだ。
そんなカラッと激しいHonda鈴鹿と打撃が売りのセガサミー、こりゃ打ち合いだなと思いきや。
たしかに序盤3回は打撃戦の雰囲気はあった。失礼ながらセガサミー二塁手北川選手のエラーでまたお馴染みのセガサミー野球かと思った。
ところがセガサミー草海投手が四球を出さない、ショート中川選手のワイドな守備範囲、補強でやってきたJPアセット証券犬飼外野手の鉄砲肩と攻撃的な守備をみせるセガサミー野球が素人の浅知恵をはるかに上回る試合を魅せた。
Honda鈴鹿も必死の継投と厚い守備でセガサミー打線を全力で押さえる展開に持ち込んだ。9回に突入してもまだまだ続くイメージすら持ってしまった。
その9回に四球&死球でセガサミーには悪い流れ。Honda鈴鹿にすれば何度も逃したチャンスが最後にやってきた。
打席は8回の守備から入った栗原選手。
ファールで粘るも最後は空振り三振。
セガサミー草海・舘両投手の凄味溢れるピッチングを見ると、いかに東京地区が強豪揃いか思い知らされた。