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肌理の粗い夜に

男は煙草をふかし
女は言葉を揶揄っている
肌理の粗い夜に
浮かぶ月は何を思うのか?
底冷えが体を駆け抜け
優しさが正体を現す
俺はどこにいるのだろう?

泡のように消えた喧騒に
中途半端なみぞれが降り注ぐ
肌理の粗い夜に
真実はあるのだろうか?
薄桃色の薔薇が咲いて
咳き込んだ若者は強がる
俺はどこにいるのだろう?

いつだって一人だ
いつだってはぐれている
お前はそう思っているんだろう
そうだろう?

街を歩くには
貼りついた笑顔が必要らしい
規則正しい靴音に
誰もが流されてしまうようだ

言葉さえ頼りにならないなら
肌理の粗い夜が必要なのだ
笑い声と流行の曲に
絶望と孤独を感じるのならば

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