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愛の砂時計が再び動き出す時【鑑定小説】

繁子は、職場で再び彼女に会うたびに胸が締めつけられるような感覚を覚えていた。8ヶ月間続いた恋愛は、たった一つの言葉で終わりを迎えた。けれども、彼女への想いはまだ私の中に深く残っている。
彼女も同じように感じているのだろうか?私たちは再びやり直せるだろうか?そんな不安と焦燥感が私を占いに導いたのだ。

占い師は、彼女の心の繊細さを見抜いた。
「あなたの相手は、まるで静かな湖面のように、どんな小さな波紋も心に映し出してしまうのです。言葉や態度、それにボディランゲージでさえ、彼女にとっては深い意味を持つのです」

私は過去を振り返った。別れる前、彼女が苛立ちを隠さずに「あなたの言動が、時々我慢できない」と言っていたことを思い出す。
私はその時、何が彼女を苛立たせたのか理解できなかった。しかし、今なら少しだけわかる気がする。

「繁子さん、復縁の可能性は、まだ残っていますよ」
占い師は続けていった。
「しかし、彼女が今どんな言葉や態度に傷ついているのか、私たちは知ることができません。彼女自身も、その感情を言語化するのが難しいかもしれません。だから、あなたが彼女と再び向き合うときは、彼女の言葉を丁寧に受け止め、じっくりと対話を重ねていくことが重要です」

占い師の言葉はまるで古い箴言のように響いた。
「心を急がせてはいけません。焦りは、関係を壊すための最短の道です。愛は、砂時計の砂のように、少しずつ積み重ねていくものです」

その時、私の心には少し希望が芽生えた。しかし、それは同時に、私がどれほど無自覚に彼女を傷つけてきたのかという後悔でもあった。私は彼女と再び向き合う覚悟を決めたが、心のどこかで、まだ彼女の気持ちが自分にはわからないという不安が消えなかった。

数日後、彼女から突然のメッセージが届いた。
別れてからの思いを吐露するもので、それは私にとって喜ばしいサプライズだった。しかし、同時に、そのメッセージの内容は重く、そして冷たかった。

「今すぐに何かを変えることはできない、ごめん……」
私の心は再び揺らぎ、占い師にもう一度助けを求めた。
「繁子さん、彼女が先に連絡をくれたということは、何かしらの変化がある兆しです。たとえそれがネガティブな内容であったとしても、彼女が心を開いている証です。今は、心を平静に保ち、焦らずに時間をかけてください」

その言葉を聞いたとき、私は心の中で葛藤していた。占い師は「すぐに進展があるだろう」と告げたが、私にはそれがどうなるのかまったく想像がつかなかった。占い師の言葉は、私に再び光を与えてくれると同時に、私の心の奥底にある不安をかき立てた。

「転職を考えています。もし彼女と顔を合わせる機会がなくなったら、それでも進展の可能性はありますか?」私は思い切って占い師に尋ねた。

「繁子さん、運命は常に私たちを試します。道が険しくなるときこそ、真価が問われるのです。あなたの運命には、困難を乗り越える力が備わっています。未来を恐れてはいけません。むしろ、今をどう生きるかに焦点を当てるべきです。心配は、悪しき出来事を引き寄せるものです。明るい気持ちで過ごすことが、未来を切り開く鍵なのです」

占い師の言葉は、私の心に静かな決意をもたらした。たとえ困難な状況に直面しても、私は希望を失わずにいられる。
私は、新たな道を進む覚悟を固め、彼女との関係を再び築くために、自分を変える努力を続けることを決めた。未来はまだ見えないが、私は信じることを選んだ。明るい心で、希望を胸に抱き、日々を過ごしていくのだ。

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