10.運命の輪(Wheel of Fortune)《タロットカード解説》
運命の輪についての全体解説
「運命の輪」(Wheel of Fortune)は、タロットの大アルカナの中で非常に象徴的なカードであり、人生の変化や循環、運命の不可避性を示すものとして広く知られている。カードに描かれている大きな輪は、時間の経過や運命の流れを象徴しており、物事が絶え間なく変化し続けることを示唆している。
このカードには、しばしば四つの生き物—天使(人間)、鷲、獅子、牡牛—が描かれており、それぞれが聖書のエゼキエル書に登場する四つの生き物に対応している。これらの象徴は、固定されている星座、すなわち蠍座、獅子座、牡牛座、そして水瓶座を表しており、宇宙の普遍的な法則や調和を示している。また、これらの生き物はカードの四隅に配置され、物事が四方に広がり、全方位的に影響を及ぼすことを示している。
中心の輪には、「TARO」、「ROTA」などの文字が記されており、「運命の輪」を表現する。また、この文字列は「TORAH」や「TORA」など、神聖な知識や真理に関する言葉とも解釈できる。この輪の回転は、人生における予期せぬ変化や偶然の要素を象徴しており、これが運命の不可避な動きであることを示唆している。
このカードの象徴性は、善悪、成功と失敗、幸運と不運が常に循環することを強調しており、人生のある局面での上昇は、いずれ下降に転じる可能性があることを示している。したがって、「運命の輪」は、どんなに状況が悪化しても、必ず良くなる時が来ることを示す希望の象徴でもある。
正位置の解釈
正位置で「運命の輪」が現れる時、それは運命や運の変化、新しい局面の始まりを示唆している。このカードが示す変化は、通常ポジティブなものとして解釈され、運勢の好転や新しいチャンスの到来を意味する。
恋愛
恋愛において正位置の「運命の輪」は、関係性における大きな変化や新しい出会いを示す。例えば、シングルの人にとっては、新たな恋愛が始まる兆しであり、既存の関係においては、新しい段階に進む可能性があることを示唆している。これまで停滞していた関係においても、ポジティブな変化が訪れる兆しといえる。
人間関係
人間関係においては、友人や家族との関係が変化する時期を示す。このカードが出た時には、新しい人間関係が始まるか、既存の関係が進化する可能性が高い。変化が必然であるため、積極的に新しいつながりを受け入れることが求められる。
仕事
仕事において正位置の「運命の輪」は、新しいチャンスの到来やキャリアの進展を示す。転職や昇進、新しいプロジェクトのスタートなど、ポジティブな変化が訪れる可能性が高い。運が味方する時期なので、積極的に行動することが重要。
お金
金銭面では、予期しない収入や投資の成功を暗示している。これまでの努力が実を結び、経済的に安定する兆しがある。また、突然の財産の増加や予期しないチャンスが訪れる可能性が高い。
逆位置の解釈
逆位置で「運命の輪」が現れる時、それは予期せぬ変化や不安定な状況、あるいはチャンスを逃すことを示している。運命の流れが滞り、物事が計画通りに進まない可能性が高い。
恋愛
恋愛において逆位置の「運命の輪」は、関係が停滞するか、予期しない問題が発生する可能性を示す。新しい出会いが期待できない時期や、既存の関係がマンネリ化する可能性がある。この時期は、忍耐と冷静な対応が求められる。
人間関係
人間関係においては、誤解や衝突が生じやすく、関係がぎくしゃくする可能性がある。友人や家族との関係が悪化するか、新しいつながりが思うように築けないことがある。このような時期には、慎重なコミュニケーションが必要。
仕事
仕事において逆位置の「運命の輪」は、キャリアにおける停滞や逆境を示している。予期せぬ問題や障害が発生し、計画が狂う可能性が高い。この時期には、柔軟な対応と問題解決のための冷静な判断が求められる。
お金
金銭面では、予期しない出費や経済的な損失の可能性を暗示している。投資やギャンブルでの失敗、予期しない支出が家計を圧迫する可能性があるため、慎重な管理が求められる。経済的に不安定な時期であるため、リスクを避け、安定を図ることが重要となる。
このように、「運命の輪」は、人生における変化の不可避性と、それに対する柔軟な対応の重要性を教えているカードである。運命がどのように動くかは予測できないが、流れに逆らわずに対応することで、結果を最大限に生かすことができる。
動画解説
運命の輪のカードについて、その第一印象は華やかで美しいデザインが目を引きます。このカードはしばしばブランドのアクセサリーやスカーフのデザインにも使われるほど、おしゃれで魅力的です。しかし、その見た目の豪華さに反して、非常に深い意味を持つカードでもあります。
0番から9番の大アルカナには人間の姿が描かれていますが、10番の運命の輪には人間が描かれていません。実際、大アルカナの中で人間が描かれていないのは、この10番の運命の輪と18番の月のカードだけです。月のカードには狼のような犬が描かれているだけで、やはり人間は描かれていません。このことには深い意味があります。
まず、運命の輪のカードが出たときの基本的な意味ですが、これはチャンスの到来や思いがけない幸運が訪れることを示しています。上昇していた運がさらに上昇し、ダメになっていたものが回復する、そんなポジティブな変化を表します。
例えば、5月31日にこのカードが出たとしたら、その瞬間から徐々に運気が上がり始めることを意味します。逆位置で出た場合、タイミングがずれたり、物事がうまくいかなくなったりすることを示しますが、恋愛に関しては復縁の可能性を示唆することもあります。
運命の輪のカードのシンボルについても注目すべき点が多くあります。
中央に描かれた時計のような絵はホロスコープに基づいているとされており、占星術に詳しくない人には難しいかもしれませんが、西洋占星術の象徴が散りばめられています。また、カードに描かれたアルファベットは「TAROT」や「TORA(トーラー)」など、様々な読み方ができ、さらにヘブライ文字も隠されています。これらは全て、運命の流れや神の意志が絡んでいることを示しており、私たちがその流れに抗うことはできないことを教えてくれます。
また、四隅には四大聖獣テトラモルフが描かれており、これは万物の象徴とされます。西洋占星術において、牡牛座、獅子座、蠍座、水瓶座に対応しており、これらは不動宮と呼ばれ、圧倒的な安定感と存在感を持っています。
東洋においても四大聖獣、青龍、白虎、朱雀、玄武が存在し、日本の神社建設や平安京、現在の皇居にも取り入れられている理論です。このように、東西の占星術や象徴が似通っていることは非常に興味深いものです。
運命の輪のカードには「幸福はあざなえる縄のごとし」ということわざがよく例えとして用いられます。これは、良いことと悪いことが交互に訪れ、それが複雑に絡み合っていることを意味します。運命の輪のカードは、陰極まれば陽に転ずるという東洋思想とも通じており、運が上向いたときこそ自分を見直すことが重要であると教えてくれます。
このカードが教えてくれるのは、私たちの人生において、時には自分の力ではどうしようもない事が起こるということです。運命の輪が出たとき、正位置であれ逆位置であれ、それは転機を意味し、その後の展開は自分次第です。運が上向いたときにそれを維持するか、一時的なものとして終わらせるかは、本人の心構えと行動にかかっています。
逆に、逆位置で出た場合でも、不幸な出来事を成長の糧として捉えれば、それを幸運への転換点とすることができるでしょう。このカードは、人生における変化や成長の可能性を示唆しており、深い教訓が詰まっています。