秘密結社【黄金の夜明け団】について【占い師:蒼樹のエッセイ】
黄金の夜明け団(Hermetic Order of the Golden Dawn)は、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活動していた、イギリスの秘密結社です。この団体は、魔術、神秘主義、オカルト、錬金術、カバラ、占星術、タロットなどの知識や技術を学び、実践することを目的としていました。
設立と背景
黄金の夜明け団は、1887年から1888年にかけて設立されました。創設者には、ウィリアム・ロバート・ウッドマン、ウィリアム・ウィン・ウェストコット、サミュエル・リデル・マグレガー・メイザースがいます。彼らは、フリーメイソンのメンバーであり、神秘主義とオカルトに強い関心を持っていました。
団体の設立には、「シプリアン・フランシス・リード」とされる偽名の人物が寄贈した「サイファー・マニュスクリプト」という文書が関係しています。この文書には、魔術的な儀式や団体の構造に関する情報が含まれており、黄金の夜明け団の基礎を築く上で重要な役割を果たしました。
組織と階級
黄金の夜明け団は、三つの主要な「オーダー」(秩序または階級)に分かれていました。
第一オーダー: 基本的な魔術の訓練と知識の習得を目的としており、カバラ、占星術、タロットなどの基礎を学びました。
第二オーダー(内なるオーダー): 高度な魔術や神秘主義を学び、実践するためのオーダーで、儀式魔術や錬金術、霊的な探求が中心となりました。
第三オーダー: 非常に秘密に包まれたオーダーで、実際の活動や存在については謎に包まれています。これに所属するのは、伝説的な「隠された上位の者たち」とされています。
黄金の夜明け団の影響と活動
黄金の夜明け団は、西洋オカルトに大きな影響を与えました。特にタロットやカバラに関する解釈や象徴の体系化、儀式魔術の実践法などが現代のオカルトや神秘主義に大きな影響を与えています。
また、黄金の夜明け団は、多くの著名な人物を輩出しました。特に有名なのは、詩人であり魔術師でもあったウィリアム・バトラー・イェイツや、後に独自の神秘主義体系を確立したアレイスター・クロウリーです。彼らは団体の内部で活動し、その後、独自の道を歩むこととなりました。
分裂と衰退
団体は、その影響力と共に内部での権力闘争や意見の対立が生じ、1900年頃から分裂が始まりました。特に、メイザースと他のメンバーとの間の対立が深まり、いくつかの派閥に分裂しました。この分裂により、団体は次第に力を失い、1920年代には事実上活動が停止しました。
現代の影響
黄金の夜明け団の思想や実践は、現在でも多くのオカルト団体や個人に影響を与え続けています。特に、西洋の儀式魔術やタロットの解釈、カバラの研究において、黄金の夜明け団の影響は非常に大きいです。
黄金の夜明け団は、近代オカルトの重要な部分を形成しており、その遺産は今もなお生き続けています。