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フォレストガーデン土のうえ空のした【パーマカルチャーデザイン・パーマブリッツ】

目次
-ツチソラのプロジェクト
-WASPA
-パーマブッリツ
-ツチソラの森の今後

ツチソラのプロジェクト

2020年の春、ツチソラフォレストガーデンの立ち上げに関わり始めました。就労支援、知的障害の人たちと働く場や、子供たちのホースセラピーなどの事業を行う、NPO法人EPOの向かいの土地を開墾するプロジェクトでした。詳しくは、こちらの動画にまとまっています。

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東側に広がるケヤキの森

その時は、プロジェクトの名前や、これを誰がどのようにどういった形で具体的に進めてゆくのかということが決まっておらず、ちょうどそこにコロナ下で時間のあった僕がタイミングよく訪れ、みんなと一緒に考え、具体的に作ってゆくという作業を行いました。この記事は、その記録です。

富士宮の山宮の土地は、富士山を背にして、北から南に向かって、下り坂のように土地が広がっています。この場所は、以前は植木屋さんの広大な土地で、西と東に入り口があります。西は4段に分かれていて、西の1段目の入口と、3段目に東側に降りるスロープがあります。

一段目、西の入り口すぐにカフェがあり、その段に平地が広がっています。平地の真ん中を突っ切るようにまず道をつけたので、結果として、道を挟んで梅の木のエリアと、ヒメシャラの森に分かれました。

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 西側1段目の入口から見えるカフェ予定地。

二段目は、道を進んだ先に開けており、Lをさかさまにした鍵かっこの形※で広がっています。平地の四角い場所に生えるケヤキの森が元農地で巨大なススキの草原が広がっていました。南をコミュニティファームに、東をシードバンクの種取り用の畑になります。※このような形→「

三段目はもともと家が建っていたようで、物置小屋と資材置き場があります。四段目は、かなり育ちすぎて大きくなった梅の木がとだんだんに下がってゆきます。

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西側2段目L字の南面
コミュニティファーム予定地

東の入り口から入ると、大きな平地があり、そこはケヤキの林がずっと広がっています。東のエリアには、たくさんの鉄やアルミ、屋根や巨大な木材、建築材やハウスのパイプや塩ビパイプ、岩、鉄柱などのスケールの大きい廃材がたくさんありました。 

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西側と東側をつなぐスロープ。左手が入口。薪置き場にもなっている

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東側にあったトタン、木材、パイプの山 

まず西側のカフェの前から、正面のうっそうとした木々を狩りはらい、畑への道をつくるところから始めました。EPOでは、馬のボロが大量にでますが利活用がうまくできていない現状があったため、まず畑の一角に堆肥場を作るところから始めました。

木々を伐採し道をつくり、ホームセンターからパレットをもらってきて、廃材の配管で固定し、EPOの人々が定期的にツチソラに出入りする動機もできました。

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西側2段目東面 
堆肥場、シードバンク畑予定地

次に、外に置いてあった廃材を順々に整理し、どのような資源があるのかを確かめ、簡単なもの置きを作るのに十分な資材を確保しました。そして、カフェ予定地の建物にもたくさんのものが入っていたため、倉庫の中身や廃材を、置く場所を作りました。片付けと草刈りはリノベーションのプロジェクトには、いつもセットになっているようです。

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西側3段目突貫工事の資材置き場

EPO、地域のシードバンク、シードカフェの人たちの思いをそれぞれ話し合った上で、「Forest Garden土のうえ空のした」と名前が決まりました。

何よりケヤキの森が美しく、またその下にミョウガや梅、アケビ、甘草などこの森の中に食べられるような植物が沢山あります。このような、食べらる森のエディブルフォレストガーデン、一つの空間に一つの作物のような単一栽培ではなく、一つの空間に7層の植物が共生するアグロフォレストリーなどを総じてフォレストガーデンと呼びます。それは、パーマカルチャーというデザイン体系でよく用いられる手法です。

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東側EPOに通じる小道にて友人家族

パーマカルチャーは、人間が暮らし、関わる自然環境をデザインをガイドしてくれる手法です。パーマカルチャーの考え方を用いて、場所を作るのに必要な要素を一つ一つ見てゆきたいと思います。

W.A.S.P.A

デザインの要素を考える一つに、W.A.S.P.A(ワスパといいます)という分け方があります。Water, Access, Structure, Plants, Animalの5つです。この記事では、それぞれの要素に区切ってまず見ていきます。

Water
水のデザインはメインの建物に水道が通っていること優先順位が低く、当分は着手しませんでした。大きな雨水タンクを活用して、屋根から水を集めるシステムを普段建物周りの作業を任されている人が入り、畑に作っていました。ぬかるみになり、泥がたまることが多く、雨には苦労しましたが、基本的には砂利を入れることで水の問題には対処することになりました。

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Access
藪をはらい、草を刈り、木を伐採し、場所によっては伐根し、そのあとをユンボでならすことやシートをひく、砂利を敷く等の作業によって道を作ります。坂になっている場所を広げて、馬や車が通れるようにすることや、削った場所に切り倒した木を土留めとして固定すること、切り倒した木を細かくすることなどに相当の時間と労力をかけて行いました。作業の8割ぐらいを占めていたかもしれません。

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Structure

構造物は、自分たちで作ったものは、先ほどの小屋や、畑の6角形と三角形のボックスガーデンです。大工さんたちや、メインのカフェ、鉄柱やステージなどの大きな構造物はその人たちがつくりました。ある廃材を使いきる形でいろいろなものを作ってゆきました。

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Plants,畑に生えていたススキは、狩り払い機ではどうしようもなく、ユンボがきて伐根するしかありませんでした。ユンボが来てから、ススキの伐根から始まり、いろいろと進みました。畝建てするというよりも、4メートル四方に2段にした丸太で空間を区切り、その中に畝を作ったり、作物を植えたりして、植えられるスペースをつくりました。また、果樹などを、利用者の人たちと一緒にたくさんあった富士山の溶岩を運んでガーデンをつくり植えられるスペースをつくりました。

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Animal

EPOにいる羊と馬が時々来ることになりましたが、そのための柵を作らなければなりませんでした。西側1段目の梅の木の生えている場所を道に沿ってフェンスを立てて、動物がいられる場所を作りました。また、今では馬たちが自由に走り回ることのできる乗馬コースも作られているようです。動物たちをここで飼うというよりも、EPOから出張してくるという形で使われています。

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パーマブリッツ


この大工事を遂行する途中、Permabultzを3回行いました。一回目は、ボンファイア焚火場づくり、二回目は、枕木で作るキーホールガーデン、三回目はスタードーム(とキーホールガーデンの続き)を行いました。

パーマブッリツは、みんなで一つの大プロジェクトを一気に行うプログラムです。パーマカルチャーを学んだけど、実際に土地がなかったり、知識だけでなく、経験を通して学びたい人のニーズを叶えます。また、ひとりで大きなプロジェクトなや工事するのが大変な事が多いですが、一気に人が集まれば、沢山の手で一気に物事がすすみます。 

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一回目は、ツチソラの森に、焚火場を作るプロジェクトでした。印象的な焚き火場があると、人々が集り、火を囲んで話しをするいい場なります。植木屋さんの土地と言う事で、いい大きさの石が大量にあり、玄武岩の丸い大きな富士山の溶岩を中心に据え、放射状に岩を並べてゆく形に参加者の人たちで岩を組んでゆきました。

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二回目は、富士宮のシードバンクが主催して、パーマカルチャーのレイズドベットと呼ばれる、枕木のキーホールのボックスガーデンを作りました。

レイズドベットという形にすると、畝を立てたよりも少しだけ地面の高いところで作業ができます。そのことによって、雑草をとることが楽になります。また、形状をキーホールにすることによって、真ん中から直径3mあるガーデンのどこへでも手が届くようになります。枕木も廃材で手に入るところがあり、ハウスのパイプを切ったもの、木々を切ったものなど、すべてあるもので作成しました。

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その中で自家採集したタネや、固定種のタネの交換会をしたり、お互い活動をシェアしあったりして、みなのそれぞれのニーズが満たされることを目指すイベントです。この会は、森の幼稚園のような子供たちの遊び場を作っている人や、パーマカルチャーに興味がある人、親子連れの人も参加し、賑やかな会になりました。

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二回目は、キーホールガーデンの大きさあわせた、竹のスタードームを作りました。シードバンクとしてこの畑を作るため、実はタネを取る植物が花を咲かせた時に、ほかの植物の遺伝子が混ざらないようにネットを被せる必要があったのです。

これらのキーホールガーデンを、5個作ることによって、梅の花のような形になるのです。印象的で、誰もが何度もきたくなるような場所で、かつ機能的な場所を作ろうというコンセプトがありました。

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そのため、このように同じ形のキーホールガーデンにあうようなドームを作ってあげることによって、タネをとる際に、ネットがかぶせやすいという機能を持たせることができます。

ツチソラの森の今後

さて、2021年4月現在、ツチソラフォレストガーデンでは、プロジェクトメンバーを募集しています。今いるメンバーのほかに、ここでの企画に携わりたい、こういうことをやってみたいというメンバーを募り、さまざまなプロジェクトを進めてゆく予定だそうです。また、5月以降にEPOから移転したカフェもオープンするとのこと。自分が携わった森がこのような形で発展し、そこに多くの人が訪れるようになり、このような取り組みが続いたら、とても嬉しいです。また、UNITEDとしても、このようなプロジェクトを行いたい、個人で土地があって、庭や畑をいい形にしたい、ZOOMで相談に乗ってほしいということをご希望であれば、お気軽にご連絡ください。

ツチソラフォレストガーデン

https://www.facebook.com/tutisora/

UNITED

https://www.facebook.com/people/UNITED-Permaculture-and-Nature-Tours-/100063446749809/

NPO法人EPO

シードカフェ

シードバンク富士宮




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UNITED 松村岳史
フリーランス、専業で活動していますが、パーマカルチャーの記事、書き物等、基本的に無料で公開しています。仕事に充てられる時間を削って執筆しているので、もし、活動に心を動かされた方がいたら、1000円から7000円のスケール型のドネーションでご支援いただけたらとても嬉しいです。