危篤の連絡は、誰にどのようにすればいいですか。
チチキトク
スグカエレ ハハ
現在はスマートフォンの普及により、
SNSなど様々なコミュニケーション手段であらゆる情報をリアルタイムで共有できます。
50年ほど前は、緊急連絡手段といえば「電報」がその役を担っていました。固定電話には高額な「電話加入権」が必要でした。
地方から離れて都会で生活をはじめたばかりの若者の部屋には、電話がありません。
ある日、故郷に住む父親が危篤に陥ります。
しかし、都会で暮らす子供たちには連絡がつかない。
そんなとき、
「チチキトク スグカエレ」と書かれた電報を送り、急を知らせます。
お父さんの命があぶない。すぐに帰ってきてほしい。
受け取った子供さんは、
さぞかし慌てて夜行列車に飛び乗ったのではないでしょうか。
時代が移り変わっても、思いは変わりませんよね。
危篤とは
危篤とは、病状が悪化して意識がなくなり、亡くなる寸前になることです。
「篤」の文字には「馬がゆっくり歩く」という意味があり、「丸い馬」「太った馬」の連想から「厚い」「手厚い」が結び付けられました。
手厚く看護されていた人の生命が危ない。
危篤とは、まさにそのような状態を表しています。
なかには意識を取り戻して持ち直すこともありますが、回復せずに数時間~数日で亡くなる場合が多いです。
「危篤」に明確な基準があるわけではなく、亡くなるまでの時間は医師でもわかりません。
しかし、医師に「危篤」を宣告されたら、「ご臨終」の覚悟をしておくべきでしょう。
危篤を知らせる
危篤を知らせる電話は、突然かかってきます。
「心の準備」はしていても、いざというときは必ず慌てます。
いや、何も考えられないかも知れません。
すぐに病院に向かわないと…。
その前に、やるべきことがあります。
- チチキトク スグカエレ -
人生の瀬戸際=「今際の際(いまわのきわ)」に、
会ってほしい人、会わせたい人。
最期を見届けてほしい人。
その人たちに連絡をとりましょう。
一般的には三親等(親、兄弟、孫)の親族を優先に、深夜でも早朝でも時間帯は考慮せず、遠方よりも近くの人から連絡していきましょう。
自身はいち早く病院に向かうために、誰かに連絡係を任せるのも手段です。
今はいつでもどこでも連絡ができる時代です。
「なぜ連絡してくれなかったの」と後になって言われるよりも、とにかく知らせてください。
来るか来ないかの判断は、相手任せで大丈夫です。
危篤の伝え方
「危篤」を誰かに伝えるときは、どうしても慌ててしまいます。
しかし、間違った情報を伝えるわけにはいきません。
深夜だと、寝起きの相手に伝えるわけですから、余計に慎重さを要します。
時には感情があふれることもありますが、これからの相手の行動を考えて、落ち着いて伝えましょう。
【伝える内容】
①危篤になった人の名前
②危篤になった人の状態
③自分の名前と、危篤になった人との関係
④入院している病院名、病棟、病室、住所、連絡先
メールやLINEでは、相手がいつ見るかはわかりません。
早く相手に伝えるためにも、危篤の連絡は電話で確実に行いましょう。
親の死に目に…
「親の死に目に会えない」は、昔から親不孝の代名詞のように言われている言葉です。
危篤を告げられ、生きている間に駆けつけることができたなら、どうか言葉をかけてあげてください。
耳は最後まで聞こえています。
死の間際でも、あなたの言葉はきっと届いています。
たとえ臨終に間に合わなくても、自分を責めないでください。
「親の死に目に会えない」が親不孝である本当の意味は、親より先に旅立って、親の死に目に会えないこと。
親からすれば、子供は生きているだけで「親孝行」なのです。
息を引き取る瞬間に立ち会えなかったとしても、生きている間にたくさん会っておきましょう。
親と別居している場合、一緒に過ごせる残りの時間は、次の計算式で表せるそうです。
1年のうち、親と会う日数は盆と正月の6日間程度、1日あたり4時間接したとして、1年で親と一緒に過ごす時間=4時間×6日間=24時間。
親子で一緒に過ごせる残りの時間は24時間(1日)×親の余命年数。
例えば、父親が現在65歳で、平均寿命の80歳まで生きたとすると、余命年数は15年。
つまり、15日しか会えない計算になります。
それぞれの事情により差はありますが、限られた時間を有意義にすごすために、親子の会話を楽しみましょう。
「危篤になったらどうする?」とか、「祖父や祖母が危篤になったとき、どう行動したの?」とか。
機会があれば訊ねてみてください。
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