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検索連動型広告では、顧客の思考の流れを途切らさせてはいけない
「なぜうちの広告は、成果が出ないのだろう?」
この悩み、マーケティングに関わる人なら誰もが一度は抱えたことがあるはずだ。
私の所にも、よくこんな相談が来る。先日も20代の起業家からこの相談をされた。「検索連動型広告を自社で出し始めたんですが、全然成果が出なくて...」。広告自体の反応は良さそうで、毎日キーワードを見直して管理画面とらめっこしているのに、お問い合わせが増えないらしい。
話を聞いているうちに見えてきたのは、とてもシンプルな課題だった。彼は知らず知らずのうちに、「顧客の思考の流れを途切れさせてしまっていた」のだ。
なぜ顧客は途中で離脱するのか
たとえば、こんな経験はないだろうか。検索広告の反応は良いのに、なかなか成約に結びつかない。頻繁にクリック数されるのに、お問い合わせが増えない。実は、これらの症状には共通の原因がある。
それは、「顧客の思考の流れを理解していない」ということだ。
検索窓に言葉を入力した瞬間から、顧客の頭の中では明確な目的意識が芽生えている。その思考の流れを途切れさせることなく、最終的なアクションまで導くことができれば、お問い合わせにつながる確率は自然と上がっていく。
検索からお問い合わせまでの4つの重要な接点
今回のケースに限るが、実は成果を出すための要素はシンプルだ。検索語句から始まり、広告文、ランディングページ、そして最終的なアクションまで。この4つの接点において、顧客の思考の流れを途切れさせないことが重要になる。
人は「問題解決」を求めて検索を始める。その思考の流れを、一貫した文脈で支援できれば、自然とアクションへとつながっていく。では、それぞれの接点で具体的に何をすべきか、見ていこう。
1. 検索語句:顧客の意図を正確に理解する
検索語句は、顧客の生の声。
検索語句の向こう側には、必ず解決したい課題がある。「社員研修 費用」と検索する人は、研修の必要性を感じながら予算との兼ね合いを検討している段階だ。具体的な費用感を知りたいという意図が見える。
このように、検索語句から顧客の状況や心理を読み解くことが、すべての出発点となる。
2. 広告文:期待を裏切らない約束をする
顧客の意図を理解したら、次は的確に応える広告文を作る。ここで重要なのは、単に「クリックしたくなる」だけではない。
広告文は顧客との最初の約束である。
課題に対する理解を示し、解決への道筋を示唆する。そして何より、クリック後に何が分かるのかを明確に伝える。この約束が次のステップへの期待を生む。
3. ランディングページ:期待を現実のものに
広告文で生まれた期待に、具体的に応えていく場所がランディングページ※だ。ここで起こりやすい失敗は、広告文で約束したことと異なる内容を展開してしまうこと。
たとえば、費用を知りたい人に対して、いきなり実績の話を始めるのは考えもの。顧客の関心事に沿って情報を展開し、自然な流れで次のアクションにつなげていく。
多くの場合、広告管理画面の中で問題を解決しようとするあまり、ランディングページに気を使っていないことが多い。気付いていたとしても、なんとなくトップページを使っていたりする。それでは満足する成果は得られないだろう。
※ランディングページは、いわゆる1枚型LPでも、ブログ記事でもサービスページでも、何を使ってもいい。
4. アクション:迷わせない選択肢を
最後の重要な接点が、購入や問い合わせなどのアクションだ。ここまで顧客の思考を大切に育ててきた流れを、最後の一歩で途切れさせてはならない。アクションへの導線は明確に。
そして何より、このアクションが課題解決への確実な一歩だと実感できる安心感を提供することが大事。
それは資料請求かもしれないし、お問い合せかもしれないし、ホワイトペーパーダウンロードかもしれないし、SNSフォローやメルマガ登録かもしれない。
ポイントは、これから行うアクションが今抱えている課題の解決につながる、と間違いなく思ってもらえるようにすること。そして、必ず課題の解決につながる返答を行うこと。
失敗しないための3つのチェックポイント
成功への道筋は、意外とシンプルだ。以下の3点を意識すれば、多くの課題は解決できる。
まずは「文脈の一貫性」。検索語句から最終アクションまで、一貫したストーリーになっているか。途中で顧客を混乱させる要素はないか。これを確認することが第一歩。
次に「必要な情報だけを提供」すること。余計な情報や選択肢は、かえって顧客の思考を妨げてしまう。各ステップで本当に必要な情報だけに絞り込む勇気を持とう。
最後は「自然な導線」の確認だ。次のアクションへの道筋が明確で、顧客にとって自然な流れになっているか。押し付けがましさはないか。立ち止まって確認してみよう。
おわりに
デジタルマーケティングの成功は、テクニックや予算の大小だけでは決まらない。顧客の思考の流れを理解し、それを途切れさせることなく目的地まで導く。この基本に立ち返ることで、多くの課題は解決できる。
今回の運用型広告の話では、検索語句→広告文→LP→アクション。この4つの接点を、顧客の視点で一本の糸のようにつなぐこと。それこそが、検索連動型広告で再現性の高い成果を生み出すための本質だと、私は考える。