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ゲームイベントにおいての演出へのアプローチ
今回スクリプト制作をしたのは、プランナーブートキャンプに参加させていただいたことがきっかけです。まず初めに、このようなスキルアップの機会をくださったヒストリアさん、C&Rさん本当にありがとうございました。
今回の記事では私が本イベントのスクリプト制作を通して学んだ演出の学びの二か月間の過程をまとめていきたいと思っています。
1.最初に
平たく言えば、スクリプト=ゲームの会話シーンです。スクリプトにはゲーム業界なのに映画で使用される演出が必要とされます。ゲームが好きでかつ映画の演出を勉強している方は少数ではないのでしょうか。
実際に私自身参加した時には、映像のスキルは全く無く、いわいる未経験でした。スクリプトの意味を誤解しているような未熟者でした笑
「映像業界は自分はいかないからな~、いつか学んでみたいけど開発の方が忙しいしなあ」的な考え方でした。5月に講義で作った映像課題は教授にボロボロのけちょんけちょんに言われるほどの圧倒的未経験でした笑
こんな未経験者ですが、二か月間映像について学んだ結果、最終選考に選ばれる結果となりました。(選んでいただき、本当にありがとうございました。)
具体的に何を総括するのか?
自分で制作中に気づいたこと、映像業界の父からどのような演出をするべきか?を適宜アドバイスをちょっともらったり、を総括し、自分や将来プランナーとしてスクリプトを制作する人にとって少しだけ有意義になる記事を残せればいいと思っております。
長い記事なので、つまんで見ていただければと幸いです。過程の話なので、ぶっちゃけこの記事を読むだけだとスキルは上がりません。ただ、同じことをしたらスキルが上がるかもしれません。
2.最初に読んだ本
参考にした書籍
まず、七月上旬「この本を読め」と実家から配送されてきたのはこの本。
おそらく映像業界では有名な一冊なのではないでしょうか。
長いものには巻かれる私、7月は大学の課題が大小問わず15個ほどありましたが、バスの通学中に必死に読み、ノートに必死でまとめました。ネットで調べるよりも効率がいいかと。まずは読むべしな一冊です。
参考にした書籍(その他)
七月下旬頃上の本を読み終わりましたがその後、「これを理解できれば映像をマスターできるぞ」と、実家の料理をたくさん出してくるお母さんばりに、他にも様々な物を手渡されました。(マスターショット三冊、構図、色彩の本、カリオストロの城の絵コンテ、エヴァの10年以上前のアニメブック、etc…)
残念ながら、当時大学の課題も佳境で徹夜もザラだった私にとって理解できる時間が確保できなかったので、ちゃんと読むことができず、参考として制作に臨みました。(更なる技術力向上に向け、大学後期が始まったら通学中にコツコツ読む予定です。)
そのため、この本たちを読破した先に何が得られるかはまだ私の知りえないところですが、時間に余裕がある人はぜひ読んでみることをお勧めします。ちゃんと理解できればつよつよスクリプターになれるかもしれません。
その他参考資料
イベントへの参加が決定する前に大学の講義でたまたま見た映画です。技術的な進歩は望めませんが、タイトルの通り、音響の大切さが印象に残りました。音響をおざなりにしないといった意識はゲームでも生きてくるかと思うので、一度見てみるといいかもしれません。
3.理屈がちょっとわかると…
七月下旬?八月上旬ごろ、そんなこんなで色々な理屈が分かってくると、ほんのほんのちょっとだけ目が肥えてきました。他の映画のこの部分はちょっとよくないかも…?と理屈で分かってきたその時、成長の瞬間を感じました。(逆に今まで楽しく見ていた映画の良し悪しが分かってくるので大変悲しい瞬間でもあります…)
ハンターハンターでいうと念のオーラが見えた気分です、ただ発はまだですね、そんな感じの使いこなせてない状態です。
というわけで、映画で「構図がよく参考にした作品」をとりあえず挙げておきます。作業中に見てみるといいかもしれません。ただ、理屈が分からないまま見るとどれもいい映画だなとしか感じないかと思います。自分が映画の良し悪しがちょっとわかってきたかも?と実力試しに使ってもいいかも、良いところが見えてくれば尚作品に感動すること間違いなしです。
参考として視聴した映画
大好きなエンドゲームの監督のルッソ兄弟の作品です。エンドゲームは最後に見てこその無限の感動が生まれる作品なので、最初に見るならこちらがおすすめです。
トムクルーズが小学四年生から大好きな私ですが、シリーズの中で一番カット・話がまとまっていて大変面白いです。5回は見てます。アマプラでも見れます。ビルを登るトム様がかっこいいです。元々好きな映画でしたが、演出が分かり始めてからさらに素晴らしい映画だと気づきました。
演出が分かり始めてからの初めての初見作品です。本当に一切カットに無駄がなく決めカットばかりです。まだ上映中かもしれませんので、見てみるといいかもしれません。ただ、あまりにも上手すぎて参考にならなかったです。(現在上映中なので巻き戻しができないという…)
他にも大好きな映画は50本ほどありますが、制作期間中にジャンルを問わず参考にしたものを挙げました。この3本が一番良作というわけではありません。一番は自分で作品を見つけられることがいいと思います。
4.スクリプト制作時に気を付けたこと
段々ほんの少し理屈が分かってきた私、ここからちょっとだけ映像ではなくスクリプトとして具体的なカット方法を考え、まとめました。知識がないまま見ても分からないかもしれません。理屈がちょっとわかる人は見てみるとちょっと足しになるかもしれません。特にここは私得総括コーナーです。
技術的、具体的には大きく分けてこの三つは大事かと思います。アドバイスでもよく言われたので、気を付けて制作しました。
・同じカット・構図を使わない。
・会話モーションは多用しない。
・画角の収まりに気を付ける。
同じカット・構図を使わない
映画ではなるべく構図を被らない努力をするとアドバイスを受けました。今回の制作は五分程度のものでしたので、より、被らないように気を付けるべきだと思い制作してました。
スクリプトだとカットの使いまわしは避けられないんじゃないの??
と思うかもしれません。
例えば、キャラクターA→B→Aと話すシーンでいちいちそれぞれのショットで映すのではなく、ABが全員映る決めカットを作る、または、それぞれのショットabがあるとして、a→b→aではなくa→a→bで作ろうよといった話です。この時に適度なモーションがあるとわかりやすくなります。また、セリフの重要度さより、いつでもどこでもやっていいことじゃないです。そこは理屈でも説明がつくセンスや経験なのかもしれません。
会話モーションをなるべく使用しない。
こちらは特段好みです。実際の現場では責任者やチームの制作に足並みをそろえることが最適だと考えております。
私がなぜこう考えたのか?その根拠はエンドゲーム(エンドゲームばかりで本当にすみません)のワンシーン(10分あたり)にあり、身振り手振りをほとんどしていないで、ずっと口しか動いていませんでした。その分首の回転、目線、体の回転、表情が多いです。確かに人って身振り手振りすることってすごい少ないし、実際にスクリプトで試しに着けてみたらテンポが悪くなっちゃうなあ…と思って全然つけませんでした。(最終発表で私はかえってラストのテンポが速すぎるといったご指摘を受けたので、もっと間を広げるために使うべきシーンがたくさんあったかもしれません…。)
画角の収まりに気を付ける
中間発表の際に収まりがよくないとのご指摘を受け、それ以降に制作した殺人事件編ではウルトラハイパー死ぬほど気を付けました。
ちょっとお気に入りの構図。ワインテーブル、暖炉、テレビ、死体の脚のみ、三人がきれいに収まっている。このシーンの構図だけ特別気遣ったのだけでなくすべてのカットで収まるように気を付けました。
ただ、家具の収まりよりも、人が正面に来ることが優先される場合もあるので、やりすぎは禁物で、それを含めて収まりなのかなと私は解釈してます。(違っておりましたら申し訳ありません。)
でも、ちゃんと丁寧につくったからこそ、「アレ?なんかすごくきれいに制作できているな?」ってちょっと自分でも思っちゃったりしました。収まりに気を使ってなければここまで丁寧に制作できていなかったかもしれません。
5.日常的に様々な作品・ジャンルに興味を持つ
(正直一番大事かもしれません。)
理屈でも説明がつくセンスや経験とさっきのコーナーで言ったんですが、プロのクリエイターの人ってこれがすごいことになっていて、私がなんとなくで制作した物に理屈でアドバイスができるんですよ。(もちろん、私は全くそこまで行けていません。)
これを培うためには演出の場合いろいろ作品を見たり体験することかなと私は思います。日ごろから様々な作品を見ると、個人的な好みから検索することができると思います。自分の世界からしか自分の創造物が生まれないからです。先ほど紹介した映画ももちろん参考にはなりますが、ゲームのジャンルによっては頓珍漢になってしまう恐れもあるので気をつけてください。
今回の構図の半分くらいは私が思い出せないだけで多分どっかの作品でみた構図をその用途によって思い出して使っているんだと思います。そのため、そのストックが多ければ多いほどいいのかもしれません。
向かい側から主人公が走ってくるこの構図、恐らくコナン?のどこかの構図
何気ない、かたなめの構図、恐らくホラーの洋画かジョジョの奇妙な冒険?のワンシーンの構図からきているだろう
窓越しのワンシーン、某宇宙アニメの司令官が宇宙船からの窓越しのショットに似てる。または、よくパロをしている銀魂とかなのかもしれない、とにかく知的を思わせる構図である
今回は推理物ということで、作業中に見ていたコナン700話分がたまたま生かされましたが、ファンタジーものでは、11回観た「アベンジャーズ エンドゲーム」、ロボットものだと、48話を5周以上した「コードギアス 反逆のルルーシュ」だったり、複数回見なくてもあの時見た「MIB」「ゴールデンカムイ」「バンブルビー」「perfect blue」「犬神家の一族」…見たものすべてが脳みそでアッセンブルしてより良い作品にしてくれるかもしれません。私の場合、業界を目指す前から映画が好きで多いときは月30本とかは見てたので、それが役に立っているのかと思うと感動の瞬間でもあります。
映画に興味のない人は、「開発中だったりモデリング中だったりの作業中に、吹き替え」で上で紹介した映画を見るといいかもしれません。話も面白いし、上二つはシリーズものなので。流し見程度でもいいので見始めたら案外ハマるかもしれません。好きになったらぜひ映画館に行ってみてください。(ただ倍速にするのは話のテンポが全然違くなるのでいい経験にはならないと個人的に思っています。)
6.終わりに
こんなに長々と偉そうに記事を書いておりますが、あくまで未経験の私なりのかなり頑張った二か月間のスクリプトや映像に関しての勉強記録です。また、私自身過程を忘れっぽいので勉強記録を残そうという自己満足の記事でもあります。(私は中学の思い出を半分ほど中学の友達の思い出話で補填するような忘れっぷりです。)
つまり、「俺たちの戦いはここからだ!」の状態でよく言えば発展途上、悪く言えば素人に毛が生えたレベルです。
ただ、いきなりスクリプトを制作することになって「どう演出勉強したらいいの?」となった未経験の人のちょっとした参考になれば幸いの記事です。(長い記事なので読むのが大変かと思いますが、)
というわけで次回作にご期待ください!
蔵茶