「彼女たちの部屋」
「彼女たちの部屋(レティシア・コロンバニ著)」を読んだ。
パリ。難民やホームレスの女性のシェルターで代書人のボランティアをしている弁護士のソレーヌと、実在するこの施設を100年前に作ったブランシュの物語。
世の中には様々な理由でホームレスになる人がいるんだなぁ。寒空に家のない人たちがどれほど辛いか、女性のホームレスであることがどれほど危険か、想像して心を痛めることは多かったけれど、その実態を読んだことで改めて恐ろしさを知った。私だって、今はたまたま衣食住に恵まれた暮らしをしているけれど、来月、来年、いつ自分がホームレスにならないとは限らない。ひ弱な自分に耐えられるとはとても思えない。
寒さに震える人がいれば自分も共に寒さに震えるブランシュ。自分の暮らしよりも他人を救うことを優先し、そのためだけに人生を捧げたブランシュ。社会的弱者を救うことに奔走するブランシュとソレーヌに感動した。他人に必要とされていることがどれほど心の安定につながるかも、改めて実感した。
私は保護犬猫活動に毎月寄付しているが、恵まれない人たちに手を差し伸べたことはほとんどなかった。貧困に苦しむ人たちのためにも、どんな小さなことでも、自分に何かできないだろうか。考えるきっかけをこの本は与えてくれた。