小説『人間きょうふ症』③
次の日の放課後、私は学校へ向かった。久しぶりの学校は自分にとって億劫であった。ただ、学校側の配慮もあるから行かなければ、迷惑になるかもしれない。そんな思考が脳内で彷徨っていた。
学校に近づくと、校門前には背丈が高い、長いフレアスカートに涼しそうなブラウスと歩きやすそうなコットンパンプスを履いている女性が立っていた。あの気がかりな視線からしたら、きっとこの人がK先生なんだろう。私は咄嗟に目を逸らしながらも、挨拶した。
「佐藤さんね。待ってたわ」
「、、ども」
「調子はどう?」
「、、まあ。」
「んじゃ、準備室いきましょうか。教材がそこにあるので。」
私は少し頷き、K先生と一緒に準備室へ行った。
「どうぞ。どこでもいいから座って。」
「、、ども」
「んじゃ、説明するね。佐藤さんの課題はこのプリント全てやることです。期限は再来週の金曜日なので、毎日コツコツやれば終わります。」
「わかりました」
「何か質問はある?」
「、、特に」
「んじゃ、これで終わりにします」
私は教材をすぐにカバンの中に入れ、学校を出て帰宅する。桜吹雪に焼け爛れた真っ赤な空の下で一人歩く道は何だか寂しいような、そんな感じがした。
課題はどの科目でも解きごたえがあった。現代文だけは、難しくて諦めたけど。一応、青ペンで添削したら終わりだ。早く出して、読書の時間を増やしたいから学校に電話をかけた。
「もしもし、お電話失礼します。2年の佐藤と申します。K先生はいらっしゃいますでしょうか。」
「少々お待ちください」
数秒後、。
「お電話変わりました。Kです。」
「佐藤です。課題終わったのですが、出しに行ってもいいですか?」
「もう終わったの?」
「はい、本読んでひとときしたいので頑張って終わらせました。」
「んじゃ、どうしよっか。明日くる?」
「そうします。」
「わかりました。午後三時に来てもらえれば、と思います」