小説『人間きょうふ症』23
「あら、そうでしたのね!では、これはどうでしょう。«エディアールのアールグレイ・インペリアル≫。このティーの特徴を語ってみてくださいます?」
「確か、1854年からのフランス老舗で売られている高級食材が扱われていると言われていて、黒い缶に入っているあの紅茶、ね…。インペリアルということもあるから、ベルガモットの香りに華やかな感覚を味わえる、色が多少暗めの紅茶よね。」
「、そ、そうね。正解ですわ。よくご存知で。なら、«クスミティーのアナスタシア≫はどうですの?」
「簡単にいうと、100グラムで約3500円くらいする多少高価な紅茶で、ストレートすぎず、甘すぎず、というところが特徴的。同じくベルガモット、さらにはライム、レモン、オレンジフラワーの香りがとても芳ばしい、ってところかな。」
こうやって語っていると、チャイムがなる。
「今回は答えられたかもしれないけど、今度は答えられないようにしますわ。」
A花さんは、少し悔しそうな顔をしつつも、傲慢な笑顔でこの場から去った。
そして授業は始まる。2年生初の授業はどんな感じなのかは知らないけれど、さっきからある不吉な予感は段々と大きくなっていった。
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