小説『人間きょうふ症』13
先生に準備してもらった教室で現代文のレジュメを読み始めた。20ページなんてあっという間に終わった。なので、次の日、そしてまた次の日と読み始めた。先生のプリントは読みやすいことから、全て読んでしまった。読み終わった140ページ、全てが頭の中に入った気がしたので、職員室へ行き、先生を呼んだ。
「わかりやすくて、次から次と読みたくなってしまい、全て終わらせちゃいました。全部理解できたと思うので、実践問題やりたいです。」
「早いのね。でも今日は問題は解かないよ。」
「それはどうしてですか?」
「忘却曲線って知ってる?」
「確か、今100%理解していたら、次の日には70%に、その次は50%定着しているってやつでしたっけ。」
「そうそう。だから無闇に演習プリントをやるのも意味ないと思うの。今一通り読んでいるのであれば、明日もう一度読んでもらいます。その後にどういったことをするのかを説明しますね。ちなみに、読むのがだるいとか言わせない。急いでると後から苦労するだけだから。」
先生は私の思考回路を理解し、頑なに言った。
「先生はなんでもわかるんですね。その読心術、今度教えていただけませんか?」
「読心術ね、。少なくとも、今のあなたにはまだ早いよ。まずは現代文の理屈を理解しないと。マスターできるようになる時期になったら教えるから。」
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