ハーブ屋さんを始めたわけ(4)
家を残すと決めたあとも、残してどうするかを悩みました。
その時やっていた仕事をやめるつもりは全くなかったし、貸して欲しいという人もたくさんいました。
でも、貸して欲しいという人の、どの話を聞いても、ぴんときませんでした。
この家は、どうしてほしいんだろう。
悩んでいるうち、週末だけ、自分で何かをやってみようかな、と思い始めました。
この地域にない店がいいな。ハーブ屋さんとかどうかな。
そこからリサーチを始め、やれそうだと思い、資格を取り、仕入れ先を探し。
2009年の元旦、お店をオープンさせました。
どうしても自分の店を持ちたかったわけではなく。
どうしてもハーブ屋をやりたかったわけでもない。
成り行きで始めた商売。
でも、不思議なことに、自分でやろう、と決めたあとは驚くほど迷いや戸惑いがありませんでした。
まるで何かに操られているかのように、せっせと行動し、せっせと準備をしたのです。人生における役目を果たすときは、そんなふうなんだろうな、と思います。
とはいえ、いざ開店、というその日はさすがに恐怖と不安に震えました。
本当にやっていいんだろうか。
週末だけの店なんて、当時はほとんどありませんでした。
こんなやり方、通用しないんじゃないか。
始めたら、もう歩き出すしかない。本当にいいのか自分?
9時開店のはずが、どうしても看板を出せず。
オープンしたのは11時半だったと思います。
その日のお客さまは一人。
売上は370円でした。
(あと一回続く)
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