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#018 和魂漢才
エピソード
いやぁー、あれ見よう?オリンピック。
ははははは
自分もなん?そそそ、見てない見てない
あの収録しようのがさ、あの7月ー今27じゃないですか?
だからー、あれっ?はじまったのがぁー、えーと?あれっ?
開会式がぁー、だき、土曜?日曜?土曜やったっけ?
四日前ぐらいから始まったんかな?うん。
たまにねー、Lineニュースとかで言いようよ。
今回は、いつもと違ってXで #ニゲテラ でのポストを取り上げようと思います。先日の本編エピソード13に、さんすいさんがポストしてくれました。
ポストの内容を読み上げますね。
集団の頭になるか、集団の一個人になるかって全く意味や内容は異なりますよね。
私はどちらも経験してるしナウなのでメリットやデメットの感想は言えますが、メリットデメリットで説明ができないエモーショナルな部分もあります!
ありがとうございます。エピソード13への感想ですね。続きを読みますね。
あと私が好きな四字熟語は【和魂漢才】です!
単体の字の意味も好きですが、意味も好きです…
・武士の精神と商人の才能を兼備すること
・日本固有の精神と中国伝来の学問。
また、その両者が合すること
私、一兆個の言葉を知ってるんですけど、こういう知らない言葉を教えて頂けるの嬉しいですよね。
おおよそのところは、さんすいさんのポスト通りなんですが、今日はこの「和魂漢才」をちょっと掘り下げてみようかな?って思います。
まず「和魂漢才」の漢字を説明しますね。
「和魂」は日本を表す「和」に「魂」のコンです。漢才は中国を表す漢字の「漢」に才能・才覚のサイと書きます。
この言葉4文字熟語ですが「和魂」とあるので、中国伝来の言葉ではなくて、国産の言葉です。昔の中国からすると、日本は東の方の取るに足らない地方のひとつなんで、日本を表す「和」なんて言葉が残ったりしませんからね。この言葉、結構面白い言葉みたいで、出自もいまいち不明で、意味も時代背景で変わってきた経緯があるようです。
さんすいさんが紹介された説明は、比較的フラットな意味というか、戦後になってから意味のようです。
まずは前半と後半のそれぞれの意味を説明します。
それぞれは平安時代には普通に使われていたようです。
まず後半の「漢才」の意味ですが、平安時代の学問の意味で「からざえ」や「かんざえ」または単に「ざえ」と呼ばれました。当時は中国が先進国だったので、学問はこの「漢才」が主流でした。
これに対して、前半の「和魂」は、いわゆる知恵や処世術の事で「やまとだましい」とも呼ばれました。
最初は先進国の学問というところで「漢才」の方が「和魂」よりも若干イケてる感じだったんですね。それが時代が少し進むとどっちも大事だよねーって感じになってきます。
「和魂」が「やまとだましい」と呼ばれたと言いましたが、平安時代には「やまとだましい」には、今の意味はありませんでした。
「和魂」と「漢才」は単に「日本的なものと中国的なもの」とか、「生活の知恵と机上の観念」というような対比として使われていました。
それが江戸時代には「和魂」の方が良いものとされて、「和魂」も現在の「やまとだましい」の意味を帯びてきます。そしてやがて「漢才」の方はほぼ無視されていきます。
「和魂漢才」が現在の意味になったのは、戦後になってからのことらしいんですね。
まず「和魂漢才」という言葉を最初に使ったのが「菅原道真」だという話があるんですが、どうもこれは間違いみたいなんですね。
これが謬説だということを研究して発表したのが、昭和の教育学者の「加藤仁平(かとうにへい)」さんという方だったんです。
加藤さんは「和魂漢才」という言葉は、江戸時代になってから、神道や国学者の間で広められ、和魂は今の意味の「やまとだましい」にすり替えられ、国粋主義的な意味を帯びていき、やがて「和魂」が主で「漢才」はないものになっていったという説を唱えられました。
この加藤さんの説を聴くと、その後の軍国主義につながったともいえる、このすり替えを非難して、国粋主義的な考えを批判されていたのだと思いがちですが、ところがどっこい、加藤さんは、戦後公職追放をされています。
加藤さんは「和魂漢才」の発生や変遷を客観的に論じただけで、なぜそのような変遷をたどったか?については、その考え方に価値があったからと肯定的な立場を一貫して取られていたようです。
言葉の意味ってどんどん変わって行くものですし、そういうものと考えています。なんでこの「和魂漢才」という言葉も、そんな言葉の一つと思います。
この「和魂漢才」の意味の変遷で面白い考察があるんです。
その昔、日本が世界とつながっていた頃は、外からの視点を取り入れて「和魂」と「漢才」の両方共大事って意味だったのが、鎖国をして外とのつながりを絶った事で、外からの視点がなくなり「和魂」だけが価値の有るものになってしまった。
その後、明治になって鎖国は解かれたが、なぜ元に戻らなかったのか?
それは、平安時代の中国は圧倒的な超大国で、日本は太刀打ちできなかったのが、日清・日露戦争の勝利で、驕りが出てしまい客観性を欠いてしまったという考えです。その後、また新しい超大国にコテンパンにされたので、今は驕りはない状況ですね。
平安時代は大国の驚異はあったものの、卑屈にならずに日本独自の文化が開花しました。
この状況は今とよく似てるなあと思います。
今はちょっと卑屈になっているところはあるけど、驕るよりは良いのかなって思います。
どうでしょうか?「和魂漢才」。
私は、かなり面白い4文字熟語だと思いました。さんすいさん。ありがとうございました。
さんすいさんは、「聴くまでもないラジオ」というポッドキャスト番組を配信されています。
「聴くまでもないラジオ」って、ちょっと謙遜しすぎでは?と思いますが、「かならず聴きべきラジオ!」よりは良いタイトルと思います。
概要欄にリンクをはっておきますね。
「聴くまでもない」かどうかは、一度聴いてみて判断してみてください。
いかがだったでしょうか!えー、では、失礼いたします、ありがとうございましたー
エピソードのメタ情報
第18回の台本です。
配信日は2024/08/17でした。
まずXで感想ポストをいただいた「さんすい」さんに感謝です。
「さんすい」はいわゆる「篤志家」さんだと思います。溶接のお仕事をしながらバンドなんかもしながら社会活動なんかもされています。
「和魂漢才」は「言葉は生き物」を地で行く例のとっても面白い言葉でした。
もしよかったら、このエピソードのポッドキャストも聴いてみてください。
「和尚は逃げても寺は逃げない」はポッドキャストで配信していて以下プラットフォームで聴取可能です。