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「ZeroCovid / NoCovid 」  ドイツの、ゼロコロナ戦略

キーワードは連帯 欧州で能動的に「ZeroCovid」「NoCovid」をめざすムーブメント で、2つの提案の相違点などについてまとめました!

2020年(コロナ・イヤー)に起こったことをまとめておこうと思ったが、ブランクがあってなかなかまとまらない……ので
いま気になることを書きつつ、「コロナ危機」下にある、ベルリン暮らし、も常時更新していきたい。

さて、現時点(2021年1月24日)、昨年12月16日から始まったドイツのロックダウン措置は2月14日まで延長が決まっている。ドイツ語では「サラミ戦術 Salamitaktik」と言われる、サラミを薄切りしていくように、感染者数などを見ながらちょっとずつロックダウンを延長していくやり方は、理にかなっているのかもしれないが、肉体的にも精神的にもかなりのダメージを与えるように思う。サラミは美味しいけどね!

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しかも結局のところ、人口10万人あたりの1週間の新規感染者数が50まで下がったらロックダウン緩和と、一応の目標設定をしているわけだが、ドイツ全土ではなかなか50にならないだろうし、なったところで「緩和」はできても「フツーの生活」は戻ってこない。
つまり、
その後も、飲食店は外しかやっぱり怖い、となんだか結局行きづらくなりそうだし、ミュージアムや劇場は閉鎖が続くかもしれないし、大人数が集まるイベントなどは開催が見込めない可能性が高い。
学校は開いたと思っても交代制で1週間に1度くらいになるかもしれないし……
気が遠くなりそうだ。

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ウイルスがそこにある限り、ワクチンが大多数に行き渡るまでは(集団免疫が獲得できるのは9割〜と言われると絶対今年中は無理だろう)、結局なんらかの「ロックダウン状態」を続けざるを得ない。
そして政府発表を待ちながら、それまでに小出しにされる報道に一喜一憂する。その「待ち」の体制がジリジリと辛いのだ。

短期集中型でウィルスをできる限り減らす。     「急がば回れ」

そんな中、ニュージーランドや台湾など、初めの方にがっつりとロックダウン&水際対策を集中的に行って、発生率をゼロに近づけ、マスク着用などはあれど、ある程度「フツーの生活」が戻ってきているという話を目にするようになった。今更だけれど、やはりこの方が良かったんじゃ……と思っていた頃、「ゼロ・コヴィッド #ZeroCovid 」や「ノー・コヴィッド No Covid」の話を読んだ。

発生率をゼロに近づけ、貧富の差や医療・介護関係者の負担をも軽減させよう、と連帯を呼びかけるZeroCovid

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現在はどちらかというとプライベートだけで、仕事場では行われていないロックダウン。「ゼロ・コヴィッド #ZeroCovid」は全方面での厳格なロックダウンで「発生率を限りなくゼロにする」を目標に掲げるだけでなく、社会連帯に重点をおく。コロナ禍で拡大し続ける貧富の差に目を向け、欧州全体でのコロナ連帯税を高額所得・企業利益・金融取引を求めるなどの提案も。現在も警戒しつつも経済活動はかなり通常に戻りつつあるニュージーランドをお手本に、ドイツ、スイス、オーストリアなどドイツ語圏のジャーナリストや医療関係者、介護士、労働組合などが発起人として集まり、欧州全土での同時シャットダウンを呼びかけるものだ。以下、#ZeroCovid の公式サイトのステートメントの概要を訳する。

1:
第一の目的は、みんなで感染者ゼロを目指す。

連邦と州の間のズレを避け、迅速かつ同時に行動を起こさなければならない。共通の長期間なヴィジョンを作る。これには、ワクチン計画やリスクの高いグループ、パンデミックの影響が顕著なグループを守る支援も含まれる。
この目標を達成するためには、数週間ながら「連帯的なシャットダウン」が必要である。
「シャットダウン」とは:
人との接触を限りなく少なくすること。
それは仕事に関しても同じく。現在は労働時間外への措置のみではあるが、緊急に必要な職以外は止めてもらう。同時に労働組合に対し、労働者の健康のために立ち上がり、必要とされる大規模かつ同時の休憩をオーガナイズすることを求める。
2:
第二に、取り残される人を出してはいけない。

経済的安定がなければ、人は家にいることはできない。所得が低かったり、家が狭かったり、DV環境であったりまた、ホームレスなど閉鎖の影響が大きい人たちには特別支援を行う。子どもたちは必要に応じて少人数でのオンライン授業を行う。
3:
第三に、より社会的な健康インフラの強化。

医療と介護分野全体を即、持続的に拡大しなければならない。感染経路追跡担当の保健所なども同様。増員のためには、健康、介護の分野で働く人たちの賃金を大幅に上げる必要がある。医療や介護を利益重視にすることは集団の健康を危険に晒す。これまでに行われてきた民営化や閉鎖の撤回を求める。また、症例ごとの定額料金制で資金調達をしてきた病院の体制自体を、ニーズに応じたより連帯的な形に変えるべきである。
4:
第四に、ワクチンはグローバルな共有財産である。

世界的なパンデミックは、グローバルなやり方でしか倒すことはできない。公的、民間企業は必要なだけのワクチンの製造を直ちに準備して、実施しなければならない。ワクチンは民間の儲け主義からは外すべきだ。数多くの人々のクリエイティブな協力の結果であるからして、人類全体のものであるべきなのだ。
5:
第五に、連帯的な資金繰り。

必要な対策にはお金がかかる。欧州の社会は莫大な富を持っているが、一部の裕福な層だけがそれを有している。この富があれば大規模な一斉休業も、連帯的な対策も問題なく財源を確保できるのだ。我々は欧州全体でのコロナ連帯税を高額所得・企業利益・金融取引に求める。

人々の健康を守り、パンデミックと戦うことは、民主的権利や法治国家を守ることとは矛盾しない。
健康を守らない民主主義など、無意味で冷笑的なもの。
また民主主義のない健康の保護は、権威主義国家につながる。
両者の統一こそが、連帯に基づくコロナゼロ ZeroCovid 戦略の決定的な鍵となる。2021年1月12日

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……

発生率はまず10へ。「グリーンゾーン」モデルを提案する NoCovid

「No Covid」を提案しているのは、ウイルス学者などの専門家が中心。起草者は、独ヘルムホルツ感染症研究センターのウイルス学者らで、その主軸は3つ。
独ZEIT紙の記事の最後に、「戦略ペーパー」がまとめられている。

①発生率をまずは10を目標に落とし、その後限りなくゼロに近づける。
②ゼロになったところを「グリーンゾーン」とし、ここでは措置を緩和。フツーの日常生活を可能にする。
レッドゾーン(グリーンゾーン以外)との移動は制限、検査や自主隔離を行う。
③新規の感染者が発生した場合は、再びその場所で局地的かつ厳格なアウトブレイク管理を行う。

ベルリンのウイルス学教授、ドロステン博士のPodcastでもこの戦略について述べられている→ (72) Menschen, Maßnahmen, Mutationen

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・・・
とはいえ、肝心の、具体的にはどうやってウィルスを限りなくゼロに近づけるのか?が悩ましいところだ。「戦略ペーパー」には詳細な提案があるが、ぶっちゃけ、ただでさえ「コロナ疲れ」が出ているところにさらにまた措置を厳しくされたらかなわん!というのが多くの人の気持ちではないか。しかし、現行のルールですら結局ずるずると守っていない人が多いのだから、いまのルールを徹底厳守すればいいという意見もある。

つまり、コロナルールの基本に戻る。
「密を避ける」だ。
人との接触を限りなく少なくすることーを徹底すればいいのだ。
がっつり、3週間。本当に厳密にやれば、3週間ほどで大きな効果がでる可能性が高いと聞く。

ゼロコロナにしろノーコロナにしろ、私がいいと思ったのは、発想の転換である。「グリーンゾーン」というにんじんをぶらさげて、一致団結して同じ目標に向かうー 一つの目標に向かって誰もが「能動的に」コロナと戦う。やってることは同じようであっても、政府の発表に振り回される「受動的な」ものと違うー
なるほど、それならもっとポジティブになれそうだ。

私個人的には、この「ZeroCovid / NoCovid」ゼロコロナ、ノーコロナ戦略を支持したい。
なまぬるい措置で開けたり閉めたり、ずるずるまた1年やられたら、アートもカルチャーも飲食業界もたまったものではない。観光も旅も頭打ちだ。人間の気力にも国の支援にも限界がある。
そして、これで取り残されるやこぼれ落ち苦しむ人を出してはいけない。ここが、一番難しいところなのだろうけれど。

注:1月31日、「ZeroCovid 」「 NoCovid 」 の違いなどを追記しました。

参照:Lage der Nation Podcast 226 2021年1月28日 
独ZEIT紙 ウイルスなしの生活が目標  2021年1月20日 
Deutschlandfunk 独ヘルムホルツ感染症研究センターのウイルス学者Michael Meyer-Hermann インタビュー 「コロナゼロは合理的な目標だ」
Tagesschau ベルリンのウイルス学者、ドロステン教授による、早すぎる緩和の危険性についてのインタビュー。

BR 発生率を10に抑える〜専門家が提示する「NoCovid」戦略


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