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ソトノバ・オープンゼミ#03「コンテンツと稼げる公共」 記録
ソトノバ・オープンゼミ#03「コンテンツと稼げる公共」 記録
2018/08/23/thu
細かい議論の内容を記録します。ゼミ中いつでも、参加者が全員、自由にコメントや感想、参考事例などを書き込むことができます。
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テーマ「コンテンツと稼げる公共」という視点から、
パブリックシーンをどうつくるかを考えます。
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【19:10-19:30 プレゼン(1)コンテンツの分類と事例紹介】
前回のテーマ:経済・収益性・稼げる公共
・パブリックスペースで稼ぐ理由と意味
・規制との向き合い方
・評価する方法
・場所や状況にあった稼ぎ方の選択 ➡︎コンテンツ
・パブリックシーンへのお金のまわりかた
議論1:コンテンツの分類をアップデートする。➡︎議論2の中でやることに。
議論2:具体的なコンテンツの想定から、今後の課題点や新しい可能性などを探る。
コンテンツの分類:
場所(都市/地方、道、公園、空地(私有、民有、公有))
目的(趣味、社会貢献(アート、慈善、風潮づくり)、運用、地域貢献(防災、コミュニティ、経済効果)、ビジネス)
誰が(個人、民間(デベ、NPO、広告・メディア、BID)、行政、住民団体(町内会、商店会))
何で(食、運動(ヨガ、ゴルフ)、音楽、映画、本、酒、出会い)
スパン(1日、1週間、週一、月一、夜だけ、季節限定)
規模…etc
事例1:ソニーパーク(空地/運用/民間/パーク/数年間)
・民有地
・公園の少ない銀座に公共的なスペースを作りたい。
・民間(ソニー)
・地上と地下が一体となった立体公園
・「公園」なのか?という議論。
・植物販売に批判の声も。
・#ソニーパークださい
・イベント(ローラースケート、ライブ、ラジオ、ゲーム、水槽、アートスペース、、)
事例2:新宿モア4番街
・本来、道路上での個人の私的な営利活動は禁止されている。
・これは、個人の営利活動でやっているのではない。違法駐輪などの環境改善のために、社会実験を経て、食事 施設や販売施設が占用を認められた。←平成23年10月に改正された、都市再生特別措置法を利用。
・運営的課題、人件費が必要となり、稼ぐということが必要になっている。
ソトノバ・アワード2017より
・審査の基準となったのは、「共感性・独自性・デザイン性・アクティビティ・持続性」の5点。
・地方では特に、コンテンツとの絡め方が重要。住民の声に応えること。
・イベントが日常利用のきっかけになる。
・まちのどこでやるか。
・いきなりハード整備だけしても誰も使わない。「個人の妄想に公共性が付加してくる時代。顔の見える主体が 自らの色で運営できる。」
・プロデューサー的な役割
・使い手が自ら場を作る側として主体性を持っているかどうかが、持続性に繋がる。
事例3:大手町ファーストスクエアガーデン(ソトノバ・アワード2017 ソトノバ都心賞)
・大手町の公開空地
・近隣のオフィスワーカーなど、実際にこの場所を使う利用者ならびに今後想定される利用者を交えたワークショップを開催。➡︎ハードのデザインに落とし込み
・デザイン性は高いけれども結局は座るだけの場所になっており、使用者が主体を持つ場面が乏しいため持続性に疑問を抱く意見 ➡︎都心では空間ができた時点で持続性は確実では?
・大きな投資ではなく、小さな投資から徐々に巻き込んで展開していくプロセスに評価。
事例4:左近山みんなのにわ(ソトノバ・アワード2017 準大賞)
・左近山の団地広場
・まずそこに行こうとするきっかけや、目的になるコンテンツをセットで上手く絡めているかどうかが成功の
鍵。
・コンテンツを上手く組み込むことで、周囲を巻き込み、だんだんと参加者を増やし大きなムーブメントへ発展。
・様々な趣味活動に応えるようなイベントの企画が、利用の入り口を広げている。
事例5:松山中心市街地賑わい再生社会実験「みんなのひろば」(ソトノバ・アワード2017 準大賞)
・商店街からすぐ近くの駐車場
・場所も機能もワークショップで検討。
・芝張りや、イスや柵を作るDIYワークショップなどを経て、「私たちが作った」という愛着をもたせる。
・「場づくり」そのものをコンテンツ化。
・公民学が連携し、まちづくりを推進する組織「松山アーバンデザインセンター(UDCM)」が日常的な管理やイベントの運営を担当。近くに常設の事務所もある。
・まちの人々から寄せられた声をもとに、あらゆるコンテンツを提供。人々の暮らしの日常の中に溶け込むことができている。
事例6:宇部まちなかにぎわい拠点プロジェクト(ソトノバ・アワード2017 ソトノバ地方賞)
・暫定空地や未利用地を3年ごとに移動するコンテナハウス。
・民間がイベントを開催。
・評「常時人がいるような拠点を置くなど、コンテンツをもっと練ることでより良くなるはず。」
事例7:多摩川『川の家』プロジェクト(ソトノバ・アワード2017 大賞)
・多摩川河川敷
・住民によるチーム「コマエカラー」が主体。
・にぎわいがなくなっていく周囲の環境にもったいなさを感じた異業種の大人たちが、「ここであんなことしたら面白そう」「こんなこともできるんじゃないか」と、それぞれ出入りするバーで妄想を交わしていくうちに、チームが立ち上がった、という経緯。
・純粋な思いに共感が集まっていけば、大きなムーブメントになる。
・“ソトノバ・スピリッツ” ソトノーバは誰でもはじめられる!
【議論2:視点や課題点の洗い出し(20:00-21:30)】
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--前半--
*グループA(三栗野、田邊、熊澤、軽部、中尾、西)
場所:地方の中で細分化されそう
都心では、何かしら作れば、人が集まる場所にあなってしまう。
都市で考えるか、地方で考えるかによって、テーマが変わってきそう。都市だと、いかに公共の価値を高めるか。地方だと、どう人を集めるのか。
企業がやるとブランディングのイメージが強い。
■以下、具体的な場所をCASEとして議論:
東京郊外の民間の芝スペース+倉庫をどう使うか。
誰が:
土地を持っている人間と、アクティビティを繰り広げる主体が、別にいる場合も考えられる。
➡︎「貸す」にしても、労力やコストはかかる。意味やメリット、あるいは地域への還元として?意義づけを考えるべき。〈誰がと目的は影響し合う〉
目的:
ステップみたいなものがコンテンツの中にある。
「目的」スタートか、「誰が」スタートか。
でも、「誰が」がいない限り何も起こらない。
ex)
芝生と倉庫➡︎横浜のDeNAの野球場、街をあげて人が集まる場所になっているのを思い出した。とりあえず人が集まるきっかけを作っているのが上手だな、と思う。どんどんついでにあっちも行ってみよう、と展開していく。特別感が付加価値になっている。
コンテンツは土地の固有性と結び付けたほうが、特別感につながるのでないか?
主体が仕組みを作って、主体性を地域に移していくには?継続して人がくるような仕組み作りを、どうやるのか?
まずは目的や動機があるのかどうか。
方法論:
➡︎そのための地域住民の意識調査:どう思っているか、やりたいことはあるのか?周辺住民との関係性の中からイベントが生まれる。
ワークショップ自体が、あの場所は使ってもよいのだな、という意識づけや宣伝にもなる。「背景づくり」。
➡︎知識の搾取のような見透かしをするような人もいるのでは?
➡いずれにせよ、最初の一歩は「やりたい」発声を土地のオーナーがしなくては話が進まない。
その土地が開かれたものだと、地域住民に気づかれていない可能性が高い。
*グループB
具体的な場所で考えてみる
場所:
都市(渋谷)、遊歩道(渋谷川沿いにできる)
目的:
南側にも人を呼び込むきっかけ作り→代官山まで人の流れを繋ぎたい、
(将来的には…?)
目的にも順番がありそう(主体の数だけ目的がある)
最終的にはいつもそこに人がいる
誰が:
渋谷・東地区まちづくり協議会、渋谷区商店会連合会、渋谷川広場運営連絡会、国学院大学、渋谷区、渋谷ストリーム
何で:
同じ場所で行われることだが統一性がない?
(実験的に様々なコンテンツを行う段階がある→最終的な用途の決定)
課題:
・渋谷駅の南側は北側に比べると行かない…?
・渋谷の人を面的に広げるには…
・南側ならではの価値
・川に対してそっぽを向いている?
・親水空間に将来的になるのだろうか(突如生まれた川沿い?)
→親水空間になるような川ではない?
・他の地域に波及していくようなコンテンツとは
・これまで渋谷にいなかったユーザーに対するコンテンツもありかもしれない(子供?)
・川の反対側までを考える人はいない
・川幅がせまいので、魅力的とはいえない。
・土手の高さも親水性を下げているが、川の増水を考えると下げることはできない。
・川をきれいにすることから始める。
・川の掃除
・川をきれいにすることをコンテンツ化する。
・オーバーフローがあると汚泥が流れているように
なっている。下水の合流式を変えないといけな
い。
--後半--
*グループA(三栗野、田邊、熊澤、軽部、中尾、西)
楽しさイニシアティブを集める仕組みづくり
10人いれば10個やりたいことがある
イベントを一発やるとしたら、おそらくメインのことをやる。↔︎一つ一つ、小さいことをやる。
民間がやるのは、メインで1回イベントをやるイメージ。
メディアと公共性
リアルな場所との違い
生放送が増えている
メディアだと顔が見えない、数字でしか現れない
SNSやyou tubeの台頭、生の情報とスピード
その中でのメディアの価値とは?
場所の価値の再考
コワーキングスペースwework
マッチング、新しい結び付け方を提供している。
熱量をどう生み出すか、どう熱量で集めるか。
熱量は同じベクトルでなくてもよい。
偶発的に集まった人と人の相互作用。
「踊る阿呆」を集めるしくみがあれば、シーンが生まれる。
「踊る阿呆」がいっぱい集まれば、「見る阿呆」も集まって、「熱狂的な踊り」が始まる?
いけば何かあるんだろう、という期待に繋がる。
偶発性の面白さが人を街に惹きつける。
楽しさイニシアティブのインタラクションの層を厚くする事。そのために調査や仕組み作り、人間関係作りが必要。
エモーションの交換に立ち会えるかどうか。
「シェア世代」楽しいことはSNSでシェア。楽しいと思うことは、楽しいと思う人と一緒に共有できることに価値を見出している人が多いのでは。経済合理性とかではなくて、ただその関係性が欲しくてやっている。
コンテンツそのものの魅力?よりも、それをやりたいと思う人の熱量が大事なんじゃない?
その熱量は同じベクトルじゃなくてもいい。バラバラでも集まればおおきな熱量、熱狂になる。
その器をどう用意するか。
EX)渋谷スクランブルなぜ熱狂の場として有名?
そもそもみんな目的は違う、飲みたい、出会いたい、、、
でもスクランブルの前でラッパーがたまたまバトルしている。目的の違う人がそれを一分だけみて熱狂して解散。(マリオカートもたまたま通りがかってみんなが注目する→運転してる人も道を歩いてる人もその状況を楽しむ。そういう器のある街だから渋谷には熱を持った人が自然と集まる?)
*グループB
・渋谷川でPVを取っているアーティストがいる。そういうプロモーションのやり方もある。
そういうプロモーションのやり方もある
・こういったプロジェクトは10年かかるので、事業計画者と実行者の意思疎通が課題
・これから水をきれいにする20年かかる
・汚泥が流れるので、問題
・大雨が降ると匂いが問題
・探検的要素を取り入れることも可能
・ただ掃除するだけだと、、
→川掃除は意外と面白い
→根源的な欲求に訴えかける
そうした体験が人をあつめる
9月4日に渋谷でゴミ拾い
人が多すぎてゴミがない
→地元の団体と企業の人
【まとめ:両グループの発表からの自由議論~まとめ/次回予定(21:30-22:00)】
・何の活動を行うにしても、どの場所で行うにしても、目的やビジョンがほしいところ。
・最終目的・ビジョンを作ることの意義:活動主体をつくることができる。
ex) 盆踊り、そもそもの祖先供養的な目的は形骸化してきている印象もあるが、とりあえずやる、という担い手がいるので続きているのでは。近年、各地で盆踊りが若手の担い手によって進化/継承されているのは、実は「踊る」「祭り」へのある種原始的で普遍的な楽しさへの共感があるのでは。大それた目的がなくても、「楽しさイニシアチブ」で活動が駆動されていくというケースもあるはず。(西)
・目的がないと動けない国民性?
・目的が何かわからなくてもとりあえずやれることをやっていく積み重ねで、できていく事例もある
ex) JRの高架下とか。何かそこでやるんだったら、デザインコード、フリーペーパー作ったり。中央線沿いの面白いことをやる人が集まる場所にしようね、というなんとなくのデザインコードで上手くいった事例かな、と。将来的なビジョンを決めるための小さな積み重ね。
・例えば、渋谷に渋谷川が現れたら何をしたいと思う?
・盆踊ラー(盆踊りを楽しいと思う人)がいるから目的は形骸化しても、続いている。
・コンテンツに対して、それを楽しいと思う人を集める段階。上手く集まれば、継続的になっていく。
・(グループA 三栗野さんのまとめ図に対して)主催者と利用者、その間のキャスト・出店者、それらの関係性の多様化が起きている。上下関係ではなく、フラットな互恵関係を構築すると、その場がうまく回っていく事例がある。 (泉山)
ex) 南池袋公園 カフェ
・持続性のことを考えると稼ぐ必要、の問題に戻ってきそう。
・「稼ぐ公共」とはなんなのか。そもそも、今稼げている公共はそんなにない。実際はとんとん。
・「稼ぐ」と「稼げる」はニュアンスが違う。
・公共の定義を考えると、「稼げる」ではなく「稼ぐ」=赤字を出さない持続性づくりが出来れば上等なのではないか。