RSGT2024参加してきました。1ヶ月遅れのふりかえりと感想。
スクラムやアジャイルに関心を持つ人達が集まるカンファレンス RSGT2024に参加してきました。
この記事ではインプットした内容の共有と、インプットを得て考えたことをまとめます。
Day0
Spectee おーのAさん、KAG小笠原さんの登壇からの知り合いを増やす会。
イベント参加者がオンラインで集まる。
数人のグループに分かれて自己紹介や参加の動機などを共有するワークを行ないました。
実際にグループになった大半の人と当日の会場でご挨拶できたので、初見の人に対して人見知り気質を発揮する僕には最高なスタートダッシュを切ることができたように思います。
一緒のグループだった人や企画してくださった方に大変感謝です。
Day1
"Dynamic Reteaming, The Art and Wisdom of Changing Teams"
Heidi Helfandさんのセッション
ここでいうDynamicは"動的な"という意味。
印象的だったのはタックマンモデルでいうチームの形成期において、過去のチームの文化を引き継ぐことができれば、リチーミングによって失われるコンテキストや文化を減らすことができるという話。
新しいチームを作ったら、今からのやることに目線が向くが、もし文化を継続したいのであれば過去在籍していたチームの文化の共有とふりかえりからはじめても良いかもしれない。
また、チームの構成を考えていく上での選択肢の引き出しとして書籍 Dynamic Reteaming: The Art and Wisdom of Changing Teams は活用できそうだと感じました。
Keynote後はスポンサーブース周辺をふらふら。
当初はセッションを聞くつもりでいたが、対面で久しぶりに会う方々と話していたらついつい時間が過ぎる。
同僚をはじめ、ROXXに元々在籍していたメンバー、のりっくさん、えわさんなどたくさんの方と話し情報共有することができた。
のりっくさんに紹介してもらった「コーチングアジャイルチームス」は見出しと序文を読んだだけで今後の軸にできそうな内容。
後ほど熟読します。(誰か一緒に読みましょう)
また、カオナビでスクラムマスターをされているこまっしーさんともお話した。
back check の開発組織の Team Vision を作ったときの話に触れ、発信することで知見として価値を感じてもらえることを実感できてとてもうれしかった。
まずは自分の中で組織課題となにに失敗しどう乗り越えたかの経験をシェアしていく文化を広げていこうと考えるきっかけになりました。
Day1 飲み会
のりっくさんに繋いでいただき、カケハシの皆さんとご一緒することに。
ベテランのエンジニアでもコンテキストの共有に重きを置いている様子や、可逆性のある変化を積極的に行い、不可逆な変化には慎重な姿勢で向き合う様子など参考になるお話をたくさん聞けました。
まさに自分の働くチームもこんなチームになれたら幸せだなぁと感じるロールモデルのような方達でした。
Day2
"Solving The Value Equation"
レガシーコード改善ガイドの著者としても有名なMichael Feathersさんのセッション
アジャイルとスクラムがもたらすものはプロセスの摩擦を排除すること。
選択しているアーキテクチャが現在の状況に最適ではなかったりすることで、副作用が大きくなっていく。
プロセス、アーキテクチャ、組織構造、チームのキャパシティ
これらのレイヤーを観察し、問題を一つ一つ解決していくことが重要。
個人的な学びとして、
各レイヤーで大きいモノから小さいモノに分割していった際に、小さくしたときの問題があるという部分。
小さくしたときの問題
小さいもの同士の組み合わせでどの組み合わせが価値を発揮するかわからない。
顧客との距離を縮めて対話によって探索することが重要
小さいものはピースであり、直接的な価値を生まない
ではどうする?
例えばAmazonはAmazon(EC)を自分達が効率よく運用・開発するためにAWSを作った。
既存の顧客 + a で新たな価値を築いていくことが大切。
顧客に価値を届ける < 新たな価値を生み出す
そして新しい価値がある側面で悪い影響を与える
例えばテスラはバッテリーの製造に大量のコストをつぎ込むことで、どんな価値を生むのか?に重きを置くことで自分達がオーバーエンジニアリングかどうかを考えることができる。
この文脈は直近開発しているプロダクトにも共通のことが言えそうで共感する部分があるように感じました。うちのチームで企画を考えてくれているPO, PMは凄いな〜と改めて尊敬し直すきっかけにもなったセッションでした。
セッション終了。
コーチーズクリニックへ。
長沢さんにコーチングセッションを実施してもらう。
サーバントワークス社でアジャイルコーチをされている長沢さんに1on1をしていただく。
30分間
長沢さんはアジャイルコーチとしてどのような活動をしているのか?
アジャイルコーチとしてのキャリアの積み方は?
などについての話を聞いた。
個人的にアジャイルコーチの職務も然り、アジャイルコーチとして活動している人達への尊敬があったため、自分の興味があった領域についてたくさんお話を聞くことができた。
ちなみにアジャイルコーチとしてのキャリアパスみたいなものは特になく。
どれだけお客さんからいい口コミをいただけたかと、書籍の出版、翻訳、講演などのアウトプットみたいなところがアジャイルコーチとしての実績になっていくとのことであった。
途中参加で講演中のセッションに参加。
"Living Process -ビジネスとチームと組織が自律的に連携と成長するフレームワーク-"
kyon_mmさんのセッション
kyon_mmさんの所属するアジャイルチームでビジネス、組織単位での計画、ふりかえりを行うプロセスの1つのフレームワークについての講演。
組織が大きくなるほど上から下まですべての視点を持って計画、ふりかえりを行うことは難しくなっていくのが一般的な中で、全体性を損なわないプロセスを創り取り組んでいく姿勢に対して昨年から引き続き感化されるものがありました。
"約30年の時を超えたデザインパターンの価値 -現代のスクラムチームの開発者がGoFのデザインパターンを学び直し得たもの-"
えわさんのセッション
デザインパターンを学び直したことによって設計原則を理解できるようになった話。
アジャイル開発において、健全に開発する速度を保つために小さくテスト可能な設計が必要になる。
自分自身GoFのデザインパターンは開発における共通言語であり、その目的や意図についてはうわべの知識しかなかったので、学び直しを決意した。
"スクラムとデッドライン、壊れゆくチームをつなぎとめるもの"
"いきいきいくお"こと、カケハシ小田中さんのセッション
ビジネス的に価値のあるデッドラインを活用することでチームの集中を活性させる?
時間、予算、品質、スコープ
品質が犠牲になりがち
デッドラインのWhyをなぜなぜ分析で考える。
Whyにあわせてスコープの調整を提案する。
リリース後の負債返済計画を持っておくとよい
自分達のいつものやり方が、いちばんパフォーマンスを出せる。
勇気をもってそれをやり抜こう。
自分事としても、日頃の開発で「このあたりのタイミングでは機能リリースしたいよね」という目安に対して終盤戦であたふたしてしまうことをやりがちなので、落ち着いて必要なことを見極めつつ、最大限のパフォーマンスを発揮し続けられるように判断していかねばなぁと感じるセッションでした。
いつも通りの開発(品質を落とさず)を続けつつ、如何に早くつくるかを考える取捨選択の判断の精度を高めていくことに注力したい。
"A True Story of Agile Coaching in Ukrainian Armed Forces"
ウクライナのアジャイルコーチDmytro Yarmakさんのセッション
Dmytro Yarmakさんがウクライナ戦争で中隊長として150人を率いたときの話をされていました。
アジャイルコーチの経験を参考にした「シチュエーショナルリーダーシップ」によって、寄せ集めの150人に結束をもたらしたということで、シチュエーションに応じて最も効果的な判断をすることの重要性を実感するセッションでした。
いざ自分に言葉にすると薄っぺらく聞こえてしまうのですが、重く、心に響くエピソードでした。
Day2 飲み会
げんさん(Tsukasa Isozaki)が声かけをしてくださり、15名程度の人が集まったような。
IT業界ベテランの方達に自分が本当にやりたいこと、ありたい姿について言語化するまで話を聞いてもらったり、他の人の話を聞いたりとても面白かった。
「経験も知識もどんどん学習するチーム」でものづくりすることが自分のやりたいことだと思っています。
Day3
"教育心理学概論を使って「人をより賢くするにはどうしたらいいのか」を探索するワークショップ"
KAG小笠原さん
教育心理学概論という本をActive Book Dialogue (ABD)っぽく分割し、グループごとに分割した章を理解し、全体でシェアすることで時間内に理解しようというワークショップ。
人は経験則から学んでいくが、学びのシェアと、協同学習、人との対話によって半直感的な概念を理論的に受け入れることもしやすくなるということだった。
※ 時間が経ってしまったこともあり、だいぶ要素が抜けている気はする。
個人的に日々同じ業務をする中で学びを大きくする方法にも興味があった領域だったということ。
またワークショップ内で学びのシェアと、協同学習、人との対話をしながら、教育心理学概論を理解している過程で、今まさに学んでいることに対する効果を実感できていた体験ができたという点でとても印象的でした。
教育心理学関係 勉強会/読書会 というconnpassのグループがあるので、興味がある方はぜひ参加してみてください。
"Quality and Attractive Quality Creation Learning from the Kano Model - Kano Modelと魅力品質理論"
狩野紀昭先生のセッション
言わずと知れた狩野モデルを考案した狩野紀昭先生のセッション。
「品質とは、ある事物に関して2つの品種が存在する時、それらの種差を指す」
というところから品質とはなんぞやを研究をしてきた過程についてお話されました。
またプロダクトが停滞してきたときは、無関心品質の中に魅力的品質の種を見つけられることもあるということを、コニカ株式会社でカメラにフラッシュ機能が内蔵された際のエピソードを元に語られていました。
Day3 飲み会
なんやかんや朝5時までワイガヤしてました。。
オンラインでよくお世話になっている方達と今までの経験や趣味などについてじっくり話す時間をとれ、体力的には限界だけどとても素敵な時間でした。
そして移動中、田中亮さんにSMからDeveloperに役割を変えたことについて話していたら紹介していただいた「ジェネレーター 学びと活動の生成」という書籍は絶賛読んでいる最中ですが、チームの中から新しい発見を創出していく在り方について書いてあり個人的にこの動き方のできる人間を目指そうと感じさせてくれる一冊でした。
終わりに
ぐだぐだとレポートを書いてしまい、まとまらない日記のような内容になってしまいました。
価値を小さく分割することの重要性への学びです。
今年もとても貴重な経験に繋がったイベントでした。
参加をサポートしてくれたROXX, イベントで交流してくれた人達、なによりRSGTの登壇者、スタッフの皆さん本当にありがとうございました!
また来年お会いしましょう!