見出し画像

ローカル中小企業のための直接金融勉強会はじめるよ

この春から、ファイナンス分野の新しい取り組み「SANIN FUNDING DESIGN LAB(山陰で資金調達のデザインを探求する勉強会)」を始めました。

構想との出会い

きっかけをくれたのは、2023.11月に開催されたMIXイベント「地域金融」でした。

今見返しても、ABAKAM松本さんとSIIF工藤さんの示唆深い雑談、って感じの雰囲気が面白いですね〜

この中で松本さんから
「実はファンド嫌いなんですよ」
「勝手にファンドが期間決めちゃう訳でしょ」
「起業家からしたらその期間に何の意味もないじゃないですか」
「20年くらいでも待ってくれてもいいですよね」
「期限を取っ払って、継続的に業績を上げるポテンシャルのある未上場会社の株式の流動性を高めれば、EXIT手段としてのIPOを目指さなくてもいい」
「だからもう、無議決権株式で良いんじゃないかなって思ってるんですよ」
「議決権があるからいろんな人に持ってもらいにくいわけじゃないですか」
というアイデアについて触れられます。

お2人のやりとりから、
『エクイティファイナンスはスタートアップだけのものじゃないんじゃないか?』
『ローカル中小企業が主役の直接金融の開発余地があるのでは?』
と思えてきました。
これがすべての始まりです。

考えてみたこと

↑のイベントの後も、MIX(松江の起業家達が集まるコミュニティ)のみんなと一緒にあれこれ考えたり、ABAKAM松本さんやRelic北嶋さんからアドバイスいただいたりしながら、僕たちなりに仮説を立ててみました。
この勉強会は「やりたいこと像」を明らかにしていくための1歩目です。

SFDL第1回のガイダンスにて

↑を僕なりの言葉でもう少し解説すると、

1は、
『直接金融も間接金融も、誰かを介さねば成立できない・このように使わねばならないと思い込んでいる』
『特に直接金融は、株式がカスタマイズできることがあまり知られていない・使いこなせていない』
ということを出発点に、「わざわざ島根で事業に挑戦しようとするマイノリティな自分たちや地域」にとって最適な株式を1から考えてみたい、ということです。

2は、アドバイスするより、いいお客さんになってくれたり、いい取引先になってくれたり、直接利益に貢献するために行動していこうとする株主が増えていくといいな、という願いです。

皆さんの身近に、こういう方がいませんか?
『その人自身がお客さんのはずだったのに、なぜか他のお客さんをたくさん連れてきてくれる』
『契約上では受注先・発注先なんだけど、実現したい社会像が共通しているからグループ会社と言っても過言ではない』
『経営観が近く、互いの事業に共感しているけれど、事業ドメインが違いすぎて、あるいは一般的には競合他社であるため協業に至らない』

こういう関係性、不思議だけどよくありますよね。
これは「応援したい!」という情緒だけに裏打ちされているんですが、この関係性の間に、経済合理性の塊のような株式を介在させることで、「この会社の事業を直接的に応援すること(利益貢献すること)が、自社・自分にとっての最適アクションだ!」と自信を持って言い切れるようになるはずです。

3は、もっと身近な企業を応援できる文化を作っていきたいということです。
島根で上場している企業は3社しかないため、「行動する株主」になれる機会自体が限られています。
でも本当は、大好きな飲食店やプライベートでお世話になった会社、親友がやってる会社などにも応援できると素敵ですよね。
お客さんとして売上げに貢献するのも、クラファンや寄附で応援するのももちろん良いですが、会社そのものである株式を分けてもらうという実感は、その人の価値観や行動を劇的に変える気がします。
もちろん、ポジティブな方に。

これらを実現できそうなキーワードが「上場しない中小企業による無議決権株式」というわけです。

島根らしい感性

島根県出雲市出身・コテンの深井さんは、コテンの資金調達に際しこんなことを仰っています。

(前略)
起業家の立場から、あまり「VCはこうするべきだ」と押し付けたいわけではないのですが・・・。「こうしたらもっと良くなるのでは?」という風に思っているので、それをベースに”議論”したいと思っています。
提案したいこと(新しい儀式のルール)は以下の4つです。
1.リターンがお金以外のものであるケースも考慮に入れた投資を行う
2.リターンの先が自分たちだけではなく、広い範囲のものも行う
3.リターンの期間が、長いものにも投資する
4.未来は予測が出来ない、という前提で投資する

1は単純に「国の教育が良くなるとか、気候変動を抑えられるとか、戦争がなくなる」といったような、リターンは大きいがお金ではない、というものにも投資をするということです。

2は「お金を出した主体だけにリターンが返ってくるのではなくて、他の人へのリターンでも良しとして投資をする」ということです。

3は「何十年、何百年とかかる事業であっても、投資を実行する」です。

4に関しては少し説明がいるかもしれません。未来予測は大事だし、特に現代人はそれを大切にしているので、これが入るのは違和感があるかもしれませんが、僕が歴史を見る限り、人類がした未来予測は何と一回も当たっておりません。
(後略)

「なぜCOTENは資金調達の時に、事業計画書も出さず、Exitも目指さないとしたのか? - COTENの資金調達について」株式会社COTENの公式noteより

これは、
「もしかしたら孫に返ってくるかもしれないし、隣人に返ってくるかもしれないし、お金で返ってくるとも限らない」と仰ってるのだと思います。
これを読んで(ラジオ聴いて)すごく共感したし、『深井さん、すごく島根の人だ』と親しみを感じました笑

ソーシャルグッド・リージョングッドな事業を手がける企業への投資リターンは割とこうなりそうだし、投資する側も「それがいい」と納得できると思います。

こういう価値観に自信を持って立脚し、1から考えてみたいですね。

講座の中で探索していきます

とはいえ、僕たちは株式の設計や会計、金融に明るいメンバーではありません。
そんなメンバーが2月から週1回MTGしつつ、この分野に関する勉強を進めています。
あるメンバーは実際に定款を作りながら、あるメンバーは税務会計周りの勉強をしながら、あるメンバーは資本主義経済の歴史を紐解きながら、実務から概念まで幅広く学び合う会をつくっていきます。

・資金調達を考えている方
・近い将来経営に携わる方、起業予定の方
におすすめな内容になるはずです。

❌ 一般的なノウハウを学ぶ場
⭕️ 新しい資金調達手法を研究開発する学び合いの場
なので、具体的な手法については書籍や地域のセミナー等で勉強されることをおすすめします。

参加申し込みはこちらから!

水曜日の10時〜11時というなかなか参加しにくい時間帯(笑)ですが、是非是非ご参加よろしくお願いします!
*参加申込いただいた方には過去のアーカイブ映像の再生リストURlとLINEオープンチャットURlを共有します

ではでは!勉強会でお会いしましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?