不純な動機は純粋な動機 映画「おっぱいバレー」
一度聞いたら決して忘れられないタイトル。私と同年代の人ならば必ず知っている映画だろう。しかし、実際に見た人は、知名度ほど多くないかもしれない。先日、神田伯山さんのラジオで、彼も本作を見たことはないが、多くの人と同様、先生のおっぱいを見るためにやる気のないバレー部が頑張るというあらすじは知っているとのことで、「何とハートフルな映画だろう!」と感想を述べていた。そう、タイトルのインパクトが強すぎて気づかなかったが、生徒にやる気を出させるために、文字通り一肌脱ぐという、とてもハートフルな映画なのである!そこに気づいた以上、見なければならないという使命感に駆られて見ることにした。
本作は、綾瀬はるかさんの熱演と思春期真っ只中にあるバレー部員の愛すべきおバカさ加減が胸を打つ映画である。インターネットがまだ発明されていない1970年代が舞台であり、おそらくは今よりも性に貪欲だった中学生たち。私も、大学を出たての女性教師が、ショートパンツをはいていただけで、学年中(の男子)が色めきだったアホな記憶を呼び起こされた。彼らがやる気を出す姿に、なんと不純な動機なのかと一笑に付すのは簡単だが、私はこれほど純粋な動機はないと思う。サッカー少年だった私は、プロになれないのに続ける意味などないだろうと、親族からも揶揄され、続けることを反対されていた。彼らなりに私の将来を案じてのことだったのだろう。しかし、将来金儲けをするためだけにスポーツをすることの方がよほど不純だと思う。それと比べて、動機がおっぱいだろうがなんだろうが、一つの目標のために必死に努力をする経験はなんと純度の高いことだろう。私も息子にはこんな経験をしてもらいたいなと強く思うのである。
ちなみに本作は実話を元にした話のようだ。おっぱい先生はきっと、生徒を思う熱意と、生徒をその気にさせる魅力、そして豊満さを持ち合わせた、ハートフルで素敵な先生だったんだろうな。
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