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新薬開発のトレンドを考える

こんにちは、そーすけです。
今回は新薬開発のトレンドを考えてみたいと思います。いわゆる創薬といわれる領域です。
昨今、アルツハイマー治療薬や抗肥満薬の開発など話題に事欠きません。
製薬メーカーが今後開発を進めている疾患領域はどこなのかみていきたいと思います。


新薬開発の歴史

2000年代の治療薬

ご存知の通り、薬というものは古くからあります。天然成分から偶然見つかったものや先人の経験から得られたものなど、多種多様な方法で薬は開発されています。
私が製薬会社に就職した2000年代は、いわゆる生活習慣病や感染症、アレルギー疾患に対する治療薬の開発が多く行われていました。

対象患者は非常に多く、新薬として発売されれば1錠100円くらいの薬が毎月何百、何千、何万錠と売れていました。似たような薬が多く出回り、処方されるかされないかは医師の匙加減次第でした。そのため営業担当者は必死で医師にアプローチし処方獲得に粉骨砕身活動していました。
また当時は患者さんが薬剤を選択することは少なく、基本的に医師が治療方針や薬剤選択をすることが大半だったかと思います。

2020年代(現在)の治療薬

上記のような時代を経て、予後は改善し患者さんの治療満足度は高まりました。治療満足度が高まれば、そこに新たな治療薬は必要ありません。
新薬開発は治療満足度の低い疾患へとトレンドが移行しています。
今まで治療が難しいとされていた、がん、自己免疫疾患、神経系の疾患において新薬開発が行われています。
これら領域の治療薬が製品化されれば、患者さんにとってこの上ない福音になります。製薬メーカーにとっても売上増加が見込め、将来の新薬開発への原資とすることができます。
ただし製品化することは従来の薬とは比べ物にならないほど難しいため、メーカーにとって非常にチャレンジングでリスキーな状況であると言えます。

現在の新薬の開発状況

新薬開発のマトリクス

ここで興味深いスライドをご紹介します。こちらは医薬産業開発研究所からの資料の引用になります。
下のグラフは『治療満足度』『治療に対する薬剤の貢献度』を軸に、各疾患を4象限のマトリクスで表したものです。
2020年のものなので内容が若干古い点はご了承ください。

新薬開発のマトリクス

これを見ると『治療満足度が低い』かつ『治療に対する薬剤の貢献度が高い』領域、『治療満足度が低い』かつ『治療に対する薬剤の貢献度が低い』部分があります。(グラフの左側です)
ここが製薬メーカーが新薬開発に挑んている疾患です。

治療満足度低く、薬剤貢献度高いが高い疾患とは

下記のとおりです。

うつ病(6品目開発中)
パーキンソン病(4品目開発中)
不安神経症(開発品なし)
むずむず脚症候群(開発品なし)
非結核性抗酸菌症(開発品なし)

治療満足度低く、薬剤貢献度低い疾患とは

下記の通りです。

アルツハイマー病(9品目開発中)
膵がん(6品目開発中)
ALS/筋萎縮性側索硬化症(2品目開発中)
特発性肺線維症(1品目開発中)
多発性硬化症(1品目開発中)
全身性強皮症(1品目開発中)
線維筋痛症(開発品なし)
糖尿病性神経障害(開発品なし)
サルコペニア(開発品なし)
血管性認知症(開発品なし)

これらのことから、『うつ病』『パーキンソン病』『アルツハイマー病』『膵がん』などは今後新薬誕生の機運が高まっていると言えます。
先ほど述べた通り資料が若干古いので、アルツハイマー治療薬のレカネマブなど、すでに製品化された治療薬もあります。

まとめ

今回は新薬開発のトレンドについて紹介してみました。
今まで有効な治療法がなかった難治疾患に対して製薬メーカーが果敢にチャレンジしていることがお分かりになったかと思います。
先に述べたような疾患で苦しんでいる方々に一刻も早く有効な治療が開発されると嬉しいですね。
また私のようなヘルスケア株が好きな方にちょっとでも役にたつ内容が含まれていれば幸いです。

では。




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