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理性・技術・論理と、カウンセラーの敗北|アンチクライスト

映画「アンチクライスト」には、カウンセラーの敗北をまざまざと突きつけられた。

対象に愛を向け、理性的で包容力があり、辛抱強いカウンセラーの夫。
それだけ聞くと、深い悲しみの中で自責の念に引き裂かれつつある妻を救えるのにこれ以上の適任はいない気もする。

その期待は一切砕け散った。

夫の行動には確かに落ち度はあった。
カウンセリーと身体を交わしたこと、自分の正しさをさりげなく正当化したこと、あまりに冷静すぎて感情的な妻と距離が生まれていたこと。

だが映画を見ればわかるが、そんな小さなミスは取り立てて責められる内容ではなかった。

プロのカウンセラーとして最善を尽くしたのにも関わらずこの結末。
圧倒的な虚無感を感じた。夫は何をすれば良かったのだろうか。もうどうしても救えない。


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