見出し画像

問題Ⅱ-2の対策法:衛生工学部門「建築物環境衛生管理」~技術士第二次試験~

技術士第二次試験「選択問題Ⅱ-2」の対策法について、衛生工学部門の「建築物環境衛生管理」科目を対象として以下に私見を述べます。

【1】 注意事項

・100点の答えにはなりません
・60点を目指すヒントとして捉えてください
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。


【2】 問題Ⅱ-2の過去問

 「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。

【3】 科目の変更

 衛生工学部門では、以下に示すようにH30年度試験以前まで5つの科目があったが、試験制度の改正に伴い下記に示す3つの科目がR01年度試験以降より「建築物環境衛生管理」1科目へ統一された。

 ● H30年度以前の「科目番号:科目名」
  ・11ー1:大気管理  → R01年度以降「建築物環境衛生管理」へ
  ・11ー2:水質管理  → R01年度以降「水質管理」のまま
  ・11ー3:廃棄物管理 → R01年度以降「廃棄物・資源循環」へ
  ・11-4:空気調和  → R01年度以降「建築物環境衛生管理」へ
  ・11-5:建築環境  → R01年度以降「建築物環境衛生管理」へ
 
 ● R01年度以降の「科目番号・科目名」
  ・11ー1:水質管理
  ・11ー2:廃棄物・資源循環
  ・11-3:建築物環境衛生管理

 次節以降の過去問題の調査では、現行の1科目へH30年度以前の3科目が集約されていることから、この3科目についても分析する。

【4】 過去問題の傾向の整理

4.1 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)

 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)は、非常に多岐にわたっている。H25年~R05年の問題Ⅱ-2の各テーマを以下に記載する。なお、R01年の試験制度改正前後で各問題のテーマの整理を区分する。

 4.1.1 H25~H30年「大気管理」科目

1)H25(2013):Ⅱ-2-1
 
近年、地球温暖化対策として木質バイオマス燃料を用いたボイラーが導入されつつある。このうち大気汚染防止法のばい煙発生施設に該当する施設を計画する。

2)H25(2013):Ⅱ-2-2
 
沿岸部に工業地域、内陸部に交通量の多い幹線道路と住宅地を抱える地域において、沿岸部に新たな高速道路の立地計画が立てられている場合を想定する。事業主体、又はその業務を支援する立場として大気環境保全に関わる計画立案業務を行う。 

3)H26(2014):Ⅱ-2-1
 
居住空間における室内空気汚染に関して、厚生労働省により室内濃度指針値が定められた13種類以外の揮発性有機化合物(VOC)、 準揮発性有機化合物(SVOC) とともに微小粒子 (PM2.5)の汚染実態と発生源調査を、健康影響の視点から行う。

4)H26(2014):Ⅱ-2-2
 2011年の環境影響評価法の改正に伴い、2013年から計画段階環境配慮書の作成が求められるようになった。大気環境保全の観点から、都市部の臨海地域に大規模固定煙源を有する事業の計画段階の環境配慮を行う。

5)H27(2015):Ⅱ-2-1
 
一般廃棄物焼却施設の新設・建替における排ガス中のダイオキシン類対策について、ストーカー式焼却炉を計画している施設の設置・運営主体である地方自治体にアドバイスする。

6)H27(2015):Ⅱ-2-2
 
法律の環境影響評価の対象とならない小規模な煙源施設が、全国的に多数、計画される場合を想定する。小規模な煙源施設を計画する一事業者の立場として、大気環境保全措置の業務を行う観点から、環境保全措置を計画する。

7)H28(2016):Ⅱ-2-1
 
2015年に大気汚染防止法の一部を改正する法律が成立し、 水銀及びその化合物(水銀等)の規制が追加された。今後、水銀に関する水俣条約の発効から2年以内に改正法も施行されていくことになるが、この状況を踏まえ、水銀等の排出低減対策を検討・助言する。

8)H28(2016):Ⅱ-2-2
 
大型の商業施設の建設計画について立地場所や規模が決まった段階で、あなたが大気環境や温暖化防止の担当責任者として参画することになり、施設の建設計画を進める。

9)H29(2017):Ⅱ-2-1
 
面的な造成工事を伴う建設工事において、造成工事中において影響を及ぼす恐れのある地域に居住する人に対する大気汚染の影響を予測・評価する。

10)H29(2017):Ⅱ-2-2
 
大都市近くの人工島に大規模なレジャー施設の計画が決まったばかりとする。事業者は「低炭素社会の実現」をスローガンに計画を進めることにした。 あなたが事業者の大気環境部門の責任者として、当施設の計画を進める。

11)H30(2018):Ⅱ-2-1
 アスベスト(石綿) 使用の有無が不明な既存の建築物を解体する場合について、石綿以外の大気汚染物質も含めて環境に配慮して施工する。

12)H30(2018):Ⅱ-2-2
 
高い煙突をもつ大規模な煙源施設の工場敷地内に、同規模の煙源施設の増設を計画している。会社の環境部門は、意図的、非意図的を問わずデータの誤りをなくすことを方針としてあげている。あなたは大気管理の責任者として、既設施設の管理、新規施設の計画を進める。

 4.1.2 H25~H30年「空気調和」科目

1)H25(2013):Ⅱ-2-1
 
地域の災害拠点機能を持つ市立総合病院の空気調和設備の基本計画を担当することとなり、その計画を進める。

2)H25(2013):Ⅱ-2-2
 築20年の30,000m2の事務所ビルにおいて、セントラル空気調和設備の居ながら工事のリニューアルが計画されている。 空気調和設備のリニューアル計画の担当責任者として業務を進める。

3)H26(2014):Ⅱ-2-1
 
地方の中核都市の中心部に建つ複合用途建物〔延床面積:約50,000m2、用 途:低層部(商業施設)・中層部(事務所施設)・高層部(ホテル施設)〕の空気調和設備の基本計画策定業務を行う。

4)H26(2014):Ⅱ-2-2
 環境配慮型高齢者福祉施設の設計プロジェクトに、 空気調和設備の担当責任者として参画することとなり、その計画を進める。

5)H27(2015):Ⅱ-2-1
 
グローバル化の急速な進展に伴い、海外の企業誘致を目的とした、延床面積86,000m2、地上20階・地下2階、 3,600m2の片コア基準階 (貸室面積3,000m2) を 有するオフィスビルの計画がある。省エネルギーと環境意識が高い外国企業のテナントを誘致するため、2次側空気調和設備に付加価値をつけた基本計画が要求されており、あなたが主担当者としてこの計画業務を以下に示す計画条件で進める。
 計画条件
 ① 熱源計画は中央熱源方式であり、 基準階に冷水、 温水、
   加湿用給水が供給される。
 ② 必要に応じてビル用マルチパッケージ室外機が設置可能な
   バルコニーがある。
 ③ 本計画はインテリア空調を対象とし、 ペリメータ空調は
   対象としない。
6)H27(2015):Ⅱ-2-2
 
寒冷地に建設される工場の中にドライルーム作業室がある。このドライルームの空調設備計画を担当する。
 なお、ドライルームでは、製造工程の一部を担っており、コンベアにて一般作業室とつながっている。ドライルームの温湿度条件は、室内温度23±2°C、室内露点温度-40°C以下である。

7)H28(2016):Ⅱ-2-1
 
延床面積約10,000m2の特別養護老人ホームをユニットケア型にリニューアルする計画の中で、省エネルギー化と建設費削減を中心とした空気調和設備の計画を行う。
 当該施設はデイサービスを併設し、地上5階、地下1階である。また、建物には上下水道、電力、都市ガスが供給されている。現状のシステムはガス焚き冷温水発生機、給湯ボイラ、 ファンコイルユニット、換気扇の構成であり、冷温水 (2管式)、冷却水、空調排水、 給湯の各配管は使用可能である。
 また、入居者等が居ながら行う改修工事は考慮しなくて良い。
 このような状況を踏まえ、において、 以下の問いに答えよ。
 ※「ユニットケア」とは、入居者のプライバシーが守られる「個室」と、他の入居者や 介護スタッフと交流するための居間(リビングスペース)で構成され、 入居者10人 程度をひとつの「ユニット」として入居者の個性や生活リズムを尊重した暮らしをサ ポートするケア手法である。

8)H28(2016):Ⅱ-2-2
 
24時間稼働の電子部品工場の建設にあたり、 空気調和設備の設計を担当することになった。主な製造エリアである製造室Aは、JIS B 9920 による清浄度クラス6(Fed.Std.209Eクラス1000)、部分的にクラス5(Fed.Std.209Eクラス100)の クリーンルームで、床面積は1,000m2、天井高さ3.0mである。その他の条件を以下に示す。
 ・室内条件は、25°C、 50%で、年間冷房である。
 ・床はグレーチングで、床下にユーティリティスペースを持つ。
 ・空調システムは、他のエリアと系統を分けて計画する。
 ・外気処理空調機は製造室A単独とし、ケミカル対応として
  エアワッシャを設け、水溶性ガスを除去する。
 ・外気処理空調機は、凍結防止対策を考慮する。
 ・二次側空調システムには、ケミカル対策は不要とする。
 ・熱源は、敷地内のエネルギープラントから冷水、温水、 蒸気が
  供給される。
 ・夜間は、製造能力を小さくし稼動する場合がある。
 以上のことを考慮した計画を行う。

9)H29(2017):Ⅱ-2-1
 
近年の都市開発は施設用途が複合化されるに伴い、都市機能の集約化を図るため一棟のタワーで構成されることが多い。ここに延床面積220,000m2、地上50階、地下4階、建物高さ230mの複合施設 (主な用途の内訳は下表に示す。)における、中央供給式の熱源設備の基本計画を行う。
 ただし、 オフィスは本社機能を有し、住宅については個別熱源も含むものとする。また、熱源設備及び空調設備の運転管理は同一事業者で行うものとする。

表:主な用途の規模

10)H29(2017):Ⅱ-2-2
 
医薬品固形製剤工場の建設に当たり、空気調和設備の設計を行う。
 その中で、空調ゾーニングにおいて、内部発熱の異なる3室の製造室を同一系統の空調機で空調する。室内条件は3室とも同一であり、次の通りである。
 ・室内面積: 40m2、 天井高さ3m
 ・室内温湿度: 24°C±2°C、50% ±10%
 ・清浄度: JIS B 9920 による清浄度クラス 7(Fed.Std. 209Eクラス10000)
 ・製造時間 : 24時間対応 (非製造時あり)
 ・医薬品製造施設特有の留意事項に配慮する

11)H30(2018):Ⅱ-2-1
 芸術を中心とした施設では、文化交流を目的として用途の複合化がみられる。この背景を踏まえ、市民文化ホールにおける空気調和設備の基本計画を行う。
 ただし、主な施設内容、規模は下表のとおりで、市民ミュージアム以外は災害時の避難施設として利用される。

表:市民文化ホールの施設内容

12)H30(2018):Ⅱ-2-2
 
24時間稼働の半導体ディバイス製造工場の空気調和設備の設計を行う。
 この設計に当たり、主な製造エリア(製造室A)の条件を以下に示す。
 ・規模:床面積400m2、天井高3.5m、
  グレーチング床(床下ユーティリティスペース)
 ・清浄度:ISO クラス3 (Fed. Std. 209Dクラス1)
 ・室内温湿度: 24°C±0.5°C、 40% ±5% (室内代表点)
 ・空調方式: 一方向流(年間冷房)
 ・化学汚染物質対策:
   外気処理空調機にエアワッシャを設置(製造室A 単独系統)、
   製造装置用にケミカルフィルタを装着した空調機を設置
 ・熱源:敷地内エネルギープラントから供給
     (冷水6°C、温水45°C、蒸気0.78MPa)。

 4.1.3 H25~H30年「建築環境」科目

1)H25(2013):Ⅱ-2-1
 350床の総合病院におけるBCP(事業継続計画)を考慮した設備計画を立てる。立地条件などは各自想定してよい。
 【条件】
  階数: 5階
  ベッド数 : 350床
  災害対応想定
  ① ライフライン(給水、排水、電気、 ガス)は機能しないものとする。
  ② 災害時の想定スタッフ :300 人
  ③ 災害時は、ベッド数の1.5倍の患者を入院させるものとする。
  ④ 外来患者: 200人/日
  ⑤ 過去の経験から災害発生から4日目には災害支援が受けられる
    ものとする。
  ⑥ 災害断水時には、受水槽に70%の水量が確保されているものとする。
  ⑦ 使用制限をした災害時の水使用量
     飲料水:4L/人 ・ 日、
    雑用水(便所・手洗い等) : 30 L/人・日
    厨房(調理等): 12 L/人・日
    医療用水:入院患者 20 L/人・日、
    外来患者 10 L/人・日
  ⑧ 空調用のクーリングタワー補給水や特殊医療機器への給水は
    見込まないものとする。

2)H25(2013):Ⅱ-2-2
 持続可能な循環型社会を構築するための基本的な考え方として、3Rの取組を進めていくことが必要であるとされている。
 この背景を踏まえ、あなたの専門分野における3Rの計画をたてる。

3)H26(2014):Ⅱ-2-1
 観光立国という政府の方針や2020年のオリンピック開催を控えて、大型ホテルの計画が予測されている。その状況を踏まえて、都市部に建設される事務所+シティホテルの複合施設の計画における給水設備 (水利用計画を含む。)を計画する。

大型ホテルの概要

【条件】
 ① 延べ床面積: 120,000m2
 ② 基準階面積: 2,200m2
 ③ 階数: 地下3階、 地上38階
   地下3階:中央機械室、駐車場
   地下2階~地下1階 駐車場
   1階:エントランス階 (ホテルエントランス、事務所エントランス)
   2階~4階: ホテル宴会場、 商業ゾーン
   5階~22階: オフィス階
   23階: 配管展開階
   24階~29階: ホテルロビー、宴会、
   30階: 設備階 レストラン他
   31階~37階: 客室階
   38階:展望レストラン
   塔屋階:機械置場
 ④ 事務所ゾーン
  ・事務所階: レンタブル比75% 在室人員 0.15人/m2
 ⑤ ホテルゾーン .
  ・客室: 全室ツイン、 34室/階 × 7階=238 室
  ・宴会場 : 3,300m2 人員密度:0.5人/m2、 回転数 : 1.5回/日、
       単位給水量:30 L/人
  ・宴会場厨房: 対象人は宴会場使用人員、単位給水量: 40 L/人
  ・レストラン : 700 m2 人員密度:0.25人/m2、 回転数 : 3回/日
  ・従業員食堂:全従業員を対象、回転数 : 1.5回/日
  ・従業員: 650人 (商業ゾーン従業員も含む。)
 ⑥ 商業ゾーン
  ・店舗 : 2,000m2 人員密度:0.1人/m2、 回転数: 3回/日、
     単位給水量: 10 L/人 回転数:3回/日、単位給水量:10
  ・レストラン: 1,500m2 0.6人/m2  5回/日
 ⑦ その他
   敷地は、都心にあり、上水道、下水道等のインフラは、
  確保されている。 屋根面を利用した雨水利用が計画されていて、
  貯留することにより30m2/日の利用が可能とする。
  井水の利用は不可である。
  ホテルの平均稼働率は、70%とする。
 ④~⑥で設定されてない単位給水量は、各自適切に設定すること。

4)H26(2014):Ⅱ-2-2
 設備の長寿命化計画をたてる。

5)H27(2015):Ⅱ-2-1
 
地方の中核都市に建つスポーツ施設の給排水衛生設備の基本計画策定業務を行う。
 規模及び利用形態等は、以下のとおりとする。 その他、必要な数値は各自で設定する。
  延床面積:約20,000m2
  施設概要: メインアリーナ 3500席、天井高さ 20m
        サブアリーナ 500席、天井高さ 15m
  利用形態:市民利用以外に興業利用も想定
  利用人員: 4000人/日

6)H27(2015):Ⅱ-2-2
 
高層ホテルにて、 地下機械室に設置された揚水ポンプが運転したときに、宿泊客から騒音を感じるとの指摘があり、調査した結果、 図1に示すように125Hz付近に卓越したピークを有する騒音が確認された。
 この条件をもとに、減音対策をたてる。

図1 客室内 1/1 オクターブバンド別 音圧レベル

7)H28(2016):Ⅱ-2-1
 
大都市に計画されるシティホテルおける給排水衛生設備の基本計画策定業務を行う。
  発注者からは、 ①シティホテルとしてのグレードの確保、②経済性・省エネルギー、③耐震対策、④維持管理、⑤長寿命化・将来のフレキシビリティー が要望されている。 発注者の要望を踏まえて、客室系統の給湯設備の計画をたてる。なお、規模利用状況は、以下とする。その他、必要な数値は各自設定する。

施設概要

8)H28(2016):Ⅱ-2-2
 
著しい騒音を発するエアーコンプレッサーが設置された屋内作業場において、作業者の騒音性難聴予防を目的に、労働安全衛生規則・ 騒音障害防止のためのガイドラインに示されている作業場での騒音測定の内容と、作業場の騒音低減対策を検討する。

9)H29(2017):Ⅱ-2-1
 
大都市に計画される事務所と商業からなる複合施設における給排水衛生設備 基本計画策定業務を行う。
 発注者からは、①環境性、②長寿命化・フレ キシビリティ、③BCP対応が要望されている。 なお、計画地域は地域冷暖房供給エリアであるため、空調設備の冷却塔の補給水は給水計画において見込む必要はない。
【概要】
 延床面積 : 60,000 m2
 基準階床面積 : 2,700m2
 階数::地下2階、地上20階
 構造 : SRC造、RC造、S造
 各階の構成 : 20階 レストラン、 バー (600m2)
       19階~4階 事務所
       3階~2階商業(物販) 施設
       1階ロビー
       地下1階 飲食店舗 (800m2)
       地下2階 駐車場、 設備諸室
 大規模災害時の想定と対応
  上下水道は3日間程度外部供給が途絶
  災害当日の事務所内在籍率70%
  災害発生後2~3日は事務所内の人員は通常の30%程度
  事務所階以外は全て閉鎖、
  周辺地域の避難や帰宅困難者の受け入れは 行わない。

10)H29(2017):Ⅱ-2-2
 
30階建ての既設の鉄骨造ホテルにおいて、改修時に、29階に新たにジャク ジー風呂を併設したフィットネスクラブが設けられた。工事完了後に、フィットネスク ラブの直下に位置する客室より、突発的に水の流れる音や泡が弾けるような音が聞こえるとの指摘があり、騒音対策が必要となった。客室上部にはジャクジー風呂が設置され ており、ジャクジー風呂の排水管は客室上部天井内を横引き、廊下側に設けられたパイ プシャフトにて立て管に接続されている。
 これらの要件を踏まえ、騒音対策をたてる。

11)H30(2018):Ⅱ-2-1
 高層事務所テナントビルにおける給排水衛生設備の基本計画策定業務を行う。
 建物概要
  延床面積     :50, 000m2
  基準階床面積:2,300m2
  基準階 階高   :4.5m 
  階数    :地下1階、地上20階、 塔屋1階
  建物高さ  :95m
  構造    :鉄骨造
  用途構成     :地下1階 駐車場、 機械室、 1階エントランスロビー
            2~20階事務室

12)H30(2018):Ⅱ-2-2
 
近くに地下鉄が走っている敷地に建設予定のコンサートホール (客席数1,500席、客席3階、クラシックコンサートにも利用される予定) にて、1階客席下部(後ろ側)にホワイエ用のトイレ、客席2階の両サイドの廊下に客用トイレが計画されている。各トイレには、節水型の洋風大便器・小便器(フラッシュバルブ方式)と手洗用の自動水栓が採用され、給水方式は加圧給水方式(別棟地下機械室設置、2poleモータ、3,000rpm)で水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管を採用している。1階部分での空調の吸い込みは、舞台前面及び客席足元のマッシュルームからで、客席下部にホワイエ用トイレとも接している吸い込み用のコンクリートピットが設けられている。
 これらの条件を踏まえ、コンサートホールという建物用途を基に、建築計画及び設備計画において、 想定した全ての発生源からの騒音を低減させる具体的な対策をたてる。

 4.1.4 R01~R05年「建築物環境衛生管理」科目

1)R01(2019):Ⅱ-2-1
 
近年の都心における都市開発において、交通機能との連係を含めた都市機能の集約化を図る複合用途建物の計画が多数みられる。鉄道ターミナル駅に近接し、周辺に建物高さ約200mの超高層建物が複数存在する立地条件の中、延床面積200,000m2、地上40階、地下4階、建物高さ190mの複合施設 (主な用途の内訳は下表に示す。)の空気調和設備の設計担当責任者として参画することになった。
 中央供給式の空調熱源システムを採用することを前提とした上で、省エネルギーと災害時の事業継続に配慮した計画を行う。

表:主な用途の規模

2)R01(2019):Ⅱ-2-2
 高さ200mの超高層ホテルの建設プロジェクトに給排水衛生設備の設計担当責任者として参画することになり、ホテルの給水衛生設備を計画する。

3)R02(2020):Ⅱ-2-1
 15階以上の高層建物が密集した都心部にて、延床面積 30,000m2、地上18階、地下2階、オフィス基準階面積1,400m2で、そのうちオフィス専有面積1,000m2のグローバル企業の本社オフィスビルの建設プロジェクトに空気調和設備設計業務の担当責任者として参画することになった。
 優れた省エネルギー性能を有し、かつ地震や洪水等によりそれぞれの公共インフラ(電力、上水道、下水道、都市ガス)機能が停止した時に事業継続が可能となる中央供給式の空調熱源システムを計画する。
 なお、ここで言う事業継続が可能となる空調条件とは、企業の基幹部門が入居する6フロアのオフィス階にて、 最低3日間は通常と同じ事業活動が可能であることを指す。

4)R02(2020):Ⅱ-2-2
 スポーツ施設の建設プロジェクトの給排水衛生設備の設計担当責任者として参画することになり、スポーツ施設の給排水衛生設備を計画する。
 条件:アリーナは市民利用以外に興業利用も想定する。
    : アリーナは災害時に避難所として利用する。
    : 屋内温水プールはジャグジー採暖槽を併設している。
   :周辺インフラは、上下水道・都市ガスが完備されている。
    都市ガスは中圧ガスを想定しても良い。
   :給排水衛生設備には給水・給湯・水泳プール設備を含む。

5)R03(2021):Ⅱ-2-1
 
地方中核都市において、地上6階で延床面積7,000m2の市庁舎建設プロジェクトの空気調和設備設計担当責任者として参画することになり、ZEB Readyを目指すための空気調和設備を計画する。

6)R03(2021):Ⅱ-2-2
 総合病院建設プロジェクトの給排水衛生設備の設計担当責任者として参画することになった。計画する病院は、急性期の一般診療に加え、救急医療の提供及び災害時拠点病院としての役割を担う予定である。このプロジェクトにおいて給排水衛生設備を計画する。

7)R04(2022):Ⅱ-2-1
 
延床面積10,000m2、地上10階、地下2階、オフィス基準階面積700m2で、そのうちオフィス専有面積500m2の本社オフィスビルの建設プロジェクトの空気調和設備設計担当責任者として参画することになり、ZEB Readyを目指すための空気調和設備を計画する。
 なお、Webプログラムを用いて、 ZEB Ready達成の確認を含めた空気調和設備を計画する。

8)R04(2022):Ⅱ-2-2
 
大都市に計画されるシティホテルの給排水衛生設備の設計担当責任者として建設プロジェクトに参画することとなった。クライアントからは、シティホテルとしての相応しい機能と設備グレードを確保することとともに、省エネルギーの観点からヒートポンプ給湯機の採用を要望されている。クライアントの要望を踏まえ、全館中央式給湯方式とした場合の給湯設備を計画する。
 条件
 ・建物概要は、延べ面積 20,000m2、11階建て、高さ60m、客室 160室、  
  レストラン、バー、 宴会場、BOHなどから構成される。
 ・インフラ条件は、上水道、下水道、都市ガス、電気の供給地域で
  ある。
 ・ヒートポンプ給湯機を採用するに当たり、機器や給湯負荷の特性を
  踏まえたシステム構成とする。

9)R05(2023):Ⅱ-2-1
 
延床面積9,500m2、地上7階、地下1階の市庁舎新築計画において、空気調和設備設計担当責任者として参画することになった。本施設において、令和4年10月1日施行された建築物省エネ法が示す事務所等の誘導基準のBEI値を達成し、かつ地震や洪水等の災害時にそれぞれの公共インフラ(電力、上水道、下水道、都市ガス)機能が停止したときに最低3日間事業継続対象エリアの空調が可能となる空調システムを計画する。なお、 施設内容は下表のとおりとする。

表:施設内容

10)R05(2023):Ⅱ-2-2
 
市街地に計画される市庁舎の給排水衛生設備の基本設計策定業務を行うことになり、雨水利用システムを計画する。
 計画概要
 ・延べ面積 35,000m2、地上10階建て
 ・敷地面積 10000m2
 ・敷地内は駐車場のほか、市民の憩いの場として広場や緑地が
  計画されている。
 ・下水道普及地域であるが、都市型集中豪雨対策として最大限の
  雨水流出抑制が求められている。
 ・大規模災害時には防災拠点となる他、地域住民や帰宅困難者の
  避難施設としての機能も求められている。
 ・構造計画は耐震性を考慮し基礎免震工法を採用している。
 ・清掃頻度が少なく簡易な雨水システムの提案が求められている。
 ・雨水貯留により流出抑制を行い、貯留した雨水の活用を図る。

 4.1.5 「テーマ」設定の有効性

 これらの「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を参考に、「廃棄物・資源循環」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを抽出することが、R06年以降の想定問題作成に有効と考える。

4.2 設問(1)の傾向・対策

 R01年以降、設問(1)~(3)の問題文は、部門・科目により違いがあるものの、おおむね統一されている。「建築物環境衛生管理」科目のR01年以降の設問(1)では、問題文がおおむね以下の問いかけとなっている。

 ★ 調査、検討すべき事項を3つ以上挙げ、その内容について具体的に
   説明せよ。

 また、過去問題の課題文において「・・・の設計担当責任者として、・・・」と記載されたケースが多い。これを引用して、設問(1)の標準問題文を下記のとおり設定する。

★「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の設計担当責任者として、調査、検討すべき事項を3つ以上あげ、その内容について具体的に説明せよ。

 この「テーマ」は、H25~H30年(旧試験制度)の過去問題、または受験生自身の体験業務を引用するのがよいと考える。

4.3 設問(2)の傾向・対策

 R01以降、「建築物環境衛生管理」科目の設問(2)は、年度及び問題番号によって多少異なるものの、以下の問題文でほぼ共通である。

★ 業務(または計画)進める手順を列挙して、 それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。

 R06年以降の設問(2)は、上記問題文をベースとして出題されると考える。

4.4 設問(3)の傾向・対策

 R01以降、「建築物環境衛生管理」科目の設問(3)は、以下の問題文でほぼ共通である。

★業務(または計画)を効率的、効果的に進めるための内外の関係者との調整方策について述べよ。

 R06年以降の設問(3)も、上記問題文で出題されると考える。

【5】 問題Ⅱ-2対策

 「建築物環境衛生管理」科目の問題Ⅱ-2対策として、前述した内容を踏まえ、以下に示す3つのレベルに対応する想定問題を作成し、その問題への解答論文の作成を提案する。さらに、本対策では既技術士等に添削を受けることで、解答の質を上げられると考える。
 なお、各レベルの課題文{設問(1)より手前の問題文}は、受験生各自で設定してください。

5.1 レベル1

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる){4.1.4節 参照}として、R01~R05年過去問題の課題文のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の設計担当責任者として、調査、検討すべき事項を3つ以上あげ、その内容について具体的に説明せよ。
(2)業務(または計画)進める手順を列挙して、 それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務(または計画)を効率的、効果的に進めるための内外の関係者との調整方策について述べよ。

5.2 レベル2

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる){4.1.1~4.1.3節 参照}として、H25~H30年過去問題の課題文のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の設計担当責任者として、調査、検討すべき事項を3つ以上あげ、その内容について具体的に説明せよ。
(2)業務(または計画)進める手順を列挙して、 それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務(または計画)を効率的、効果的に進めるための内外の関係者との調整方策について述べよ。

5.3 レベル3

 「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、「建築物環境衛生管理」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを1つ挙げ、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。

(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の設計担当責任者として、調査、検討すべき事項を3つ以上あげ、その内容について具体的に説明せよ。
(2)業務(または計画)進める手順を列挙して、 それぞれの項目ごとに留意すべき点、工夫を要する点を述べよ。
(3)業務(または計画)を効率的、効果的に進めるための内外の関係者との調整方策について述べよ。

【6】 添削を受け付けております!

 私、小泉は有料で添削を受け付けております。
 ご希望の方は、私のメールアドレスへ
 メッセージをお送りください。
 詳細は折り返しお知らせいたします。

 Gmail:restart171111@gmail.com

おわり

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!