問題Ⅱ-2の対策法:衛生工学部門「廃棄物・資源循環」~技術士第二次試験~
技術士第二次試験「選択問題Ⅱ-2」の対策法について、衛生工学部門の「廃棄物・資源循環」科目を対象として以下に私見を述べます。
【1】 注意事項
・100点の答えにはなりません
・60点を目指すヒントとして捉えてください
★あくまでも、自力で考えることを忘れないでください。
【2】 問題Ⅱ-2の過去問
「日本技術士会」HPに公表されていますので、上記リンクより参照してください。
【3】 科目名の変更
衛生工学部門では、R01年度の試験制度改正に伴い、科目の再編が行われた。現科目「廃棄物・資源循環」は旧科目「廃棄物管理」に相当する。したがって、後述の過去問題の傾向の整理において、H30年以前の問題は「廃棄物管理」を対象とする。
【4】 過去問題の傾向の整理
4.1 過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)
過去問題の「テーマ」(△△△を○○○する or させる)は、非常に多岐にわたっている。H25年~R05年の問題Ⅱ-2の各テーマを以下に記載する。なお、R01年の試験制度改正前後で各問題のテーマの整理を区分する。
4.1.1 H25~H30年(試験制度改正前:当時の科目名は「廃棄物管理」)1)H25(2013):Ⅱ-2-1
今後も災害の発生が想定されているなかで、災害廃棄物の処理計画を各地の状況に即して作成することが重要になっている。
この背景を踏まえ、某市の災害廃棄物処理計画を作成する。
2)H25(2013):Ⅱ-2-2
廃棄物処理施設の維持管理においては、所定のパフォーマンスを継続的に発揮させることに加え、 処理効率・経済効率の向上などが求められている。
この条件を踏まえ、廃棄物処理施設の維持管理業務を進める。
3)H26(2014):Ⅱ-2-1
平成25年5月に閣議決定された「廃棄物処理施設整備計画」において、「強靭な一般廃棄物処理システムの確保」が計画の基本理念の1つとされている。
このことを踏まえて、某市の一般廃棄物処理の施設整備計画を策定する。
4)H26(2014):Ⅱ-2-2
廃棄物の搬出、処理に伴って、廃棄物の中に有害廃棄物があることが分かった。
この状況を踏まえ、廃棄物管理の担当者として有害廃棄物を適正に処理する。なお、有害廃棄物の種類は、石綿、PCB、ダイオキシン類、水銀の中から1つ選んで、具体的に解答すること。
5)H27(2015):Ⅱ-2-1
廃棄物系バイオマスの利活用については、循環型社会の形成と地球温暖化に資するとして、国は廃棄物処理施設の整備に際しては地域特性を踏まえて推進するものとし、その1つとしてメタンガス化施設を挙げている。
この背景を踏まえ、廃棄物管理の担当者としてメタンガス化施設の導入を検討する。
6)H27(2015):Ⅱ-2-2
震災などにより致命的な被害を負わないねばり強さと、速やかに回復するしなやかさを持つ、強靱な廃棄物処理システムの構築が求められている。
この背景を踏まえ、廃棄物処理施設の強靱化対策業務を進める。
7)H28(2016):Ⅱ-2-1
廃棄物のリサイクルについては、これまで進んできたリサイクルの量に着目した取組に加えて、社会的費用を減少させつつ、高度で高付加価値なリサイクルの推進が求められている。
この背景を踏まえ、あなたの専門とする分野でリサイクルを推進する。
8)H28(2016):Ⅱ-2-2
エネルギー戦略が見直される中、廃棄物発電は自立・分散型の再生可能エネルギー電源として期待されているとともに、災害時のエネルギー供給拠点としての役割も期待されている。
この背景を踏まえ、災害時のエネルギー供給拠点機能を併せ持つ廃棄物処理施設建設に向けた計画を策定する。
9)H29(2017):Ⅱ-2-1
廃棄物系バイオマスの利活用は、循環型社会の形成だけでなく、温室効果ガスの排出抑制による地球温暖化の防止にも資するものであり、国は廃棄物処理施設の整備に際し地域特性を踏まえて推進するものとして、ごみ飼料化施設、ごみ堆肥化施設、バイオディーゼル燃料化施設及びメタンを高効率に回収する施設等を挙げている。
この背景を踏まえ、あなたの専門とする分野において、廃棄物管理の担当者としていずれかの資源化施設の導入を検討する。
10)H29(2017):Ⅱ-2-2
廃棄物処理施設は、施設全体として耐用年数が短いと見なされている。経済的観点から延命化対策を実施することが求められている。
この背景を踏まえ、、施設整備担当者として施設の長寿命化計画を進める。
11)H30(2018):Ⅱ-2-1
厚生労働省が示している 「廃棄物焼却施設関連作業におけるダイオキシン類ばく露防止対策要綱」では、焼却炉等の運転、点検等作業及び解体作業に従事する労働者のダイオキシン類へのばく露を未然に防ぐことが重要であるとしている。
この条件を踏まえ、廃棄物管理者として上記事項への対策を計画する。
12)H30(2018):Ⅱ-2-2
廃棄物処理において、廃棄物の不適正処理を防止するための取組を行う。
4.1.2 R01~R05年(試験制度改正後)
1)R01(2019):Ⅱ-2-1
近年自然災害が多発している。特に地震立国である我が国はいつ東日本大震災のような巨大地震が起きても不思議ではない。自然災害発生を防ぐことは不可能であるが、発災後の廃棄物処理は環境衛生面から重大な事柄である。
これらの背景を踏まえ、災害廃棄物処理に当たり早期に被災地を復旧させる。
2)R01(2019):Ⅱ-2-2
廃プラスチックについては、中国による輸入規制等を受けて、国内でのリサイクルや資源化を進めることが喫緊の課題になっている。
この状況を踏まえ、プラスチックのリサイクルおよび資源化を進める。
3)R02(2020):Ⅱ-2-1
地域に新たな価値を創出する廃棄物処理施設の整備が求められている中で、廃棄物処理施設の整備計画を策定する。
4)R02(2020):Ⅱ-2-2
加工食品の製造過程や流通過程で生ずる売れ残り食品、消費段階での食べ残し・調理くず等の食品廃棄物は、循環型社会の実現を目指す観点から排出 抑制や再生利用が求められている。
この状況を踏まえ、食品廃棄物の排出抑制や再生利用を図る。
5)R03(2021):Ⅱ-2-1
廃棄物処理施設を建設するに当たっては、地域住民との合意形成は欠かせない。一方で施設に求められる役割・機能は今日、多様化してきている。
こうした中において新たな施設整備を計画する。
6)R03(2021):Ⅱ-2-2
廃棄物処理施設は廃棄物を適正に処理することはもとより、循環型社会の推進や災害対策等の拠点となるインフラである。
そこで、廃棄物処理施設の長寿命化・延命化を図る。
7)R04(2022):Ⅱ-2-1
世界的なエネルギー資源価格の高騰やカーボンニュートラルの実現において、再生可能エネルギーとして位置づけられている廃棄物発電の重要性は今後さらに増してくる。
こうした発電設備を備えた廃棄物処理施設を計画、建設する。
8)R04(2022):Ⅱ-2-2
廃棄物処理施設は衛生的な生活環境維持のため不可欠な施設であり、搬入された廃棄物が滞りなく処理されるための十分な処理能力を有していなければならない。様々な変動要因・条件・リスク等を考慮した設計が必要な一方で、過大設計等により、処理効率が悪化している事例も指摘されている。
こうした中、新たな廃棄物処理施設の整備計画に際し、施設規模等の発注条件を設定する。
9)R05(2023):Ⅱ-2-1
2050年カーボンニュートラルの実現に向け廃棄物発電は分散型エネルギーとしてもその必要性は今後も継続される。またプラスチックに係る資源循環の促進などにより廃棄物発電の熱エネルギーの変動も推定される。
こうした新たな発電設備を備えた廃棄物処理施設における発電の安定化を目指した設備の整備計画を策定する。
10)R05(2023):Ⅱ-2-2
近年の景気低迷、人口減少等による財政悪化により、地方自治体では職員の削減が進み、特に技術系職員の不足が深刻化している。この状況下にあっても一般廃棄物処理施設は常に安定した機能を発揮させなければならず、一般廃棄物処理施設の運営を民間事業者に包括的に委託することが主流となりつつある。
こうした中、一般廃棄物処理施設の運営において包括的民間委託を導入する。
4.1.3 「テーマ」設定の有効性
これらの「テーマ」(△△△を○○○する or させる)を参考に、「廃棄物・資源循環」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを抽出することが、R06年以降の想定問題作成に有効と考える。
4.2 設問(1)の傾向・対策
R01年以降、設問(1)~(3)の問題文は、部門・科目により違いがあるものの、おおむね統一されている。「廃棄物・資源循環」科目のR01年以降の設問(1)では、問題文がおおむね以下の問いかけとなっている。 ★ 調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。 また、過去問題の課題文において「・・・を担当する責任者として、・・・」と記載されたケースが多い。これを引用して、設問(1)の標準問題文を下記のとおり設定する。
★「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の担当責任者として、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
この「テーマ」は、H25~H30年(旧試験制度)の過去問題、または受験生自身の体験業務を引用するのがよいと考える。
4.3 設問(2)の傾向・対策
R01以降、「廃棄物・資源循環」科目の設問(2)は、以下の問題文でほぼ共通である。★ 業務(または事業)を進める手順を列挙して、その項目ごとに留意すべき点、 工夫を要する点を述べよ。
R06年以降の設問(2)も、上記問題文で出題されると考える。
4.4 設問(3)の傾向・対策
R01以降、「廃棄物・資源循環」科目の設問(3)は、以下の問題文でほぼ共通である。★ 業務(または事業)を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
R06年以降の設問(3)も、上記問題文で出題されると考える。
【5】 問題Ⅱ-2対策
「廃棄物・資源循環」科目の問題Ⅱ-2対策として、前述した内容を踏まえ、以下に示す3つのレベルに対応する想定問題を作成し、その問題への解答論文の作成を提案する。さらに、本対策では既技術士等に添削を受けることで、解答の質を上げられると考える。
なお、各レベルの課題文{設問(1)より手前の問題文}は、受験生各自で設定してください。
5.1 レベル1
「テーマ」(△△△を○○○する or させる){4.1節 参照}として、R01~R05年過去問題の課題文のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の担当責任者として、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務(または事業)を進める手順を列挙して、その項目ごとに留意すべき点、 工夫を要する点を述べよ。
(3)業務(または事業)を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
5.2 レベル2
「テーマ」(△△△を○○○する or させる){4.1節 参照}として、H25~H30年過去問題の課題文のいずれかを選択し、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の担当責任者として、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務(または事業)を進める手順を列挙して、その項目ごとに留意すべき点、 工夫を要する点を述べよ。
(3)業務(または事業)を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
5.3 レベル3
「テーマ」(△△△を○○○する or させる)として、「資源循環及び環境浄化」科目に関する各受験生の経験業務または最近のトピックを1つ挙げ、以下の(1)~(3)の各設問に解答せよ。(1)「テーマ」(△△△を○○○する or させる)の担当責任者として、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務(または事業)を進める手順を列挙して、その項目ごとに留意すべき点、 工夫を要する点を述べよ。
(3)業務(または事業)を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。
【6】 添削を受け付けております!
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