R06【0902建設部門-鋼構造及びコンクリート】問題Ⅱ-1-1『四人寄れば文殊の知恵』的な記事を書いてみた -技術士第二次試験-
■ 問題文
■ 回答骨子
アーク溶接における溶接欠陥2つ、およびそれぞれの概要
欠陥の要因
欠陥の留意点
1. アーク溶接における溶接欠陥2つ、およびそれぞれの概要
◇ 1人目
アーク溶接において生じる可能性のある溶接欠陥として、「割れ」と「スラグ巻き込み」の2つが挙げられる。
「割れ」は、溶接金属内やその周辺で発生する亀裂であり、主に冷却過程で応力が集中することで生じる。
「スラグ巻き込み」は、溶接中に発生するスラグ(不純物)が溶接金属内に取り込まれることで発生し、接合部の強度を低下させる要因となる。
◇ 2人目
アーク溶接で生じる可能性のある溶接欠陥として、「融合不良」と「ブローホール」を挙げ、説明する。
「融合不良」とは、溶接金属と母材、または溶接層間の融合が不十分な状態を指す。この欠陥は、溶接部の強度低下や応力集中の原因となり、構造物の安全性に重大な影響を与える。
「ブローホール」は、溶接金属内に形成される球状の気泡欠陥である。この欠陥は、溶接部の機械的性質を低下させ、疲労強度や耐食性に悪影響を及ぼす。
◇ 3人目
アーク溶接は鋼構造物の接合に広く用いられる技術であるが、適切な管理がなされない場合、様々な溶接欠陥が生じる可能性がある。本稿では、代表的な溶接欠陥である「ブローホール」と「割れ」について説明し、その要因と留意点を述べる。
「ブローホール」とは、溶接金属内に発生する球状の気泡欠陥である。
「割れ」とは、溶接部に生じる不連続な亀裂状の欠陥である。
◇ 4人目
アーク溶接は、鋼構造において重要な接合方法であるが、適切な溶接条件や作業手順が守られなければ、溶接欠陥が発生し、構造物の強度や耐久性を低下させる可能性がある。ここでは、アーク溶接で発生する代表的な溶接欠陥2つとして「ブローホール」と「アンダーカット」に対し、その原因と留意点を説明する。
2. 欠陥の要因
◇ 1人目
「割れ」の要因としては、急速な冷却や材料の硬化傾向が挙げられる。また、母材と溶接金属の不均質性や水素の侵入による脆性が原因となる場合もある。
「スラグ巻き込み」の主な原因は、不適切な溶接姿勢や不十分なスラグ除去作業、過度の溶接速度などである。
◇ 2人目
「融合不良」の主な要因として、(1)溶接電流が低すぎる、(2)溶接速度が速すぎる、(3)溶接角度が不適切、などが挙げられる。
「ブローホール」の主な発生要因は、(1)溶接部の水分や油分の存在、(2)シールドガスの不足、(3)溶接材料の不適切な保管による吸湿である。
◇ 3人目
「ブローホール」の主な要因は、溶接時に発生するガスが凝固前に抜け切れずに溶接金属内に残留することである。具体的には、以下の要因が挙げられる。
母材や溶接棒の湿気
不適切な溶接条件(電流、電圧、速度)
不十分な清掃による母材表面の汚れ
「割れ」の主な要因は、溶接時の急冷による熱応力や拘束応力、水素脆化などが挙げられる。具体的には、以下の要因がある。
不適切な溶接順序や拘束条件
高い炭素当量を持つ鋼材の使用
溶接部の急冷
◇ 4人目
「ブローホール」は、溶融金属中にガスが閉じ込められて発生する気孔であり、溶接部の強度低下や疲労寿命の短縮を引き起こす。
その原因は、溶接材料や母材の表面に水分、油脂、錆などが付着している、溶接条件が不適切、シールドガスの流量が不足している、または不純物が混入していることがあげられる。
「アンダーカット」は、溶接ビードの根元部分にV字型の切り欠きが生じる欠陥であり、応力集中が生じ、疲労破壊の原因となる。
その原因は、 溶接電流が大きすぎるか、溶接速度が速すぎる、溶接ワイヤの突出量が大きすぎるか、溶接角度が不適切、開先形状が不適切などが挙げられる。
3. 欠陥の留意点
◇ 1人目
「割れ」の対策としては、適切な予熱や後熱の管理、溶接条件の最適化が重要である。特に、溶接中の温度管理に注意し、応力の集中を防ぐことが必要である。
「スラグ巻き込み」を防ぐためには、適切な溶接姿勢を保ちつつ、スラグ除去を確実に行うことが求められる。また、溶接速度を適正に管理し、溶融池の形成を安定させることが重要である。
これらの欠陥を防ぐためには、溶接作業中の管理体制の強化と、技術者の熟練度の向上が必要不可欠である。
◇ 2人目
「融合不良」の留意点としては、適切な溶接条件の設定、溶接技能の向上、および溶接前の母材表面の清掃が重要である。
「ブローホール」を防止するための留意点としては、溶接前の母材および溶接材料の十分な乾燥、適切なシールドガス流量の確保、溶接材料の適切な保管管理が挙げられる。
これらの溶接欠陥を防ぐためには、溶接施工計画の段階から適切な溶接条件の設定、溶接技能者の教育・訓練、および品質管理体制の構築が不可欠である。また、非破壊検査による欠陥の早期発見と適切な補修も重要な対策である。
◇ 3人目
「ブローホール」の留意点としては、以下が重要である。
溶接前の母材および溶接棒の十分な乾燥
適切な溶接条件の設定と管理
溶接前の母材表面の入念な清掃
「割れ」の留意点としては、以下が挙げられる。
適切な予熱・後熱処理の実施
低水素系溶接棒の使用
適切な溶接順序と拘束条件の設定
これらの欠陥を防ぐためには、溶接施工条件の適切な管理と、溶接技能者の教育・訓練が不可欠である。また、非破壊検査による品質管理も重要である。
◇ 4人目
「ブローホール」の留意点は、下記の事項が挙げられる。
溶接前の表面処理を徹底し、水分や油脂、錆などを完全に除去する。
溶接材料やシールドガスの品質を管理する。
溶接条件(電流、電圧、溶接速度など)を適切に設定し、溶融池の冷却速度を調整する。
溶接中の雰囲気を清潔に保ち、溶融池へのガスの侵入を防ぐ。
「アンダーカット」の留意点は、下記の事項が挙げられる。
溶接条件を適切に設定し、溶融池の形状を制御する。
溶接ワイヤの突出量を調整し、溶接角度を適切に保つ。
開先形状を設計図どおりに加工する。
溶接後の冷却速度を適切に制御する。
アーク溶接における溶接欠陥は、構造物の安全性に重大な影響を与える。これらの欠陥を防止するためには、溶接前の準備から溶接中の作業、そして溶接後の検査まで、一連の工程において細心の注意を払う必要があるす。特に、溶接条件の設定、材料の選定、作業環境の管理などが重要である。
以上