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ろくろの地方ルール

 ろくろ、漢字で書けない轆轤。陶芸家、窯業関係者の基本とされる道具及び技術の名称です。ろくろは「まわす」ではなく「挽く」と表現します。ちなみにかつては「菊ねり三年、ろくろ七年」と言われました。菊ねりとは粘土の中の空気を除く練り方でこれが十分にできないとろくろをひくことができません。ここでの七年とは職人技、ろくろ師までの道のりで、なんとなくできるようには一ヶ月くらい集中練習すれば良いです。菊ねりも含めたろくろ作業は結構からだつかうので、体力が要りますが、そうした楽しい運動としてもろくろを「スポーツろくろ」と勝手に私が命名し広めています。


削り用のろくろ

 さて、このろくろですが、いくつかのスタイルがあります。椅子に座る場合と台座に胡座をかく場合。胡座タイプは京都でよく知られています。他方で椅子タイプは全国的にスタンダードで陶芸教室などでもこちらが多い。さらに回転ですが、形を作る場合は利き腕に拘らず時計回りですが、底の高台を削るときには逆時計回りを採用する地域もあります。ちなみに私は、初めてのろくろは出石中学校の陶芸部で「椅子タイプ、形成時計回り、削り逆時計回り」でした。出石高校の美術部陶芸班でも同じでしたが、大学は京都だったので、「胡座タイプ、形成&削り時計回り」でした。私の師匠も同じで、京都の窯業訓練校がこのスタイルだそうです。師匠は椅子タイプの経験がないので、胡座をかかないとろくろが引けないそうです。逆に椅子タイプしか知らない人は胡座はしんどいみたいです。師匠の紹介で知り合った丹波立杭焼の方は「椅子タイプ、形成時計回り、削り逆時計回り」で、京都の訓練校で学んだ息子さんは、実家のスタイルに直したそうです。実はろくろの挽き方にも、それぞれの地方性、工房の差があるという話でした。そういえば「胡座をかいて、轆轤を挽く」なにか含みのある難読諺みたいですね。

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