「立夏」自然農の勉強会に参加
暦の上で夏が始まる日、夏の兆しが見え始める頃、という意味の立夏。
田植えや種まきが本格化する農繁期、中野信吾さんのMorning Dew Farmで自然農勉強会に参加させていただきました。二十四節気の言葉通り、日差しが強くて気温も上がり、日に日にというより、刻一刻と春から夏に向かって季節が進んでいるのを感じました。
今回は育てた苗を畑に植え替える「定植」を中心し、採種方法、直播き・点蒔き・筋蒔き等の種蒔き方法、支柱や行燈(あんどん)の造り方など、盛沢山な内容の各作業手順を丁寧に、注意事項も織り交ぜ、参加者の質問にも答えながらレクチャーしてくださいました。
今回、普段ぼぉーとしてることが多い筆者がしゃきっ!とした瞬間はマムシを見て、田畑は山と同様に危険が隣り合わせなんや、を実感した時です。
人間だけでなく、あらゆる生き物の命を繋ぐ食物が豊かな畑・田圃は野生動物が多く棲息する場所であり、如何に昆虫や動物の被害を減らし農作物を守る工夫をするかだけでなく、蛇や蜂などの危険から自分自身をどのように守るか、万が一青大将やマムシに咬まれたり蜂に刺された時はどうしたらいいかの対処法を知っておくことも非常に重要になってきます。
今回、参加者の一人が発見したマムシの亡き骸は中野さんが講習場所を作るために草を刈った際に偶然始末したもの(我々人にとっては始末できた好運、マムシにとっては始末されてしまった不運)で、もし偶然が起きていなければ受講生の誰かがマムシに咬まれる不運に遭っていたかもしれない、と思うと少しゾッとしました。
体にも環境にも良いからなどの綺麗ごとだけではなく、真剣に自然農に取り組み、作物やその周囲の生き物と向き合う中野さんが朴訥と語った「農作物を育てるというのは命の生かし合いであると同時に殺し合いでもある」という言葉は重く、農・食・生命の本質的なことに気付かされました。
写真上:ポイズンリムーバーキットを紹介し、下:使い方を説明する中野さん。
筆者も山で毛虫の毒にやられたり、蛭(ヒル)に血を吸われたり、今日も摩耶山で笹薮から突然大きなイノシシが1mそばまで猛突進(正に猪突猛進)してきて驚いたり、危険な目に遭うことがあるので、蜂や蛇など「人よりはるかに小さい命が人の命を奪う力を持っている」ことが自然の力であり恐ろしさでもあることを教えてくださり、とても有り難かったです(以前赤十字病院で受けた救急講習よりも具体的で臨場感と説得力がありました)。
今日の勉強会で有り難かったのは自然農に関するノウハウや救急時の対処方の知識だけでなく、畦道に生えていたヨモギをいただけたこと。
帰り際に「こんだけいただきますね」と摘んだヨモギを見せてお礼を言うと、中野さんが「え!?、それだけでいいんですか?」と、もっと好きなだけもって帰っていいのに、の意図を含んだ笑顔で見送ってくれました。
はい、これだけで十分です。ほんの少し、それがいいので。
写真の中央は中野さんが講習中も忙しそうに畑仕事を続ける奥さま。
農繁期、少しでも自分の畑仕事をしたい大切な時期に細かい点に至るまでレクチャーし、豊富な経験と知識を惜しげもなく伝授してくださり、本当にありがとうございました。
ヨモギは帰宅後、他の野菜と一緒に天ぷらにしていただきました。美味しかったです。ご馳走さまでした。
今回も最後までお読み下さり、ありがとうございました。