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「神様からのプレゼント」

靴磨き世界一周アジア編31日目

「俺はイギリスで靴磨きを見たことがあるから
分かるんだけど、お前のは間違ってる。

もっとここに王様のような大きな椅子を置いて、
足を置くための台を置いてだなぁ、もっと見た目
からインパクトのあるように路上靴磨きやるべきだ。」


通りがかりのおじさんが急にエンジン全開で
コンサルしてきた。


うるせぇなぁ。


何も分からんくせにアドバイスしてんじょねぇよ。


俺は鞄一つさえあれば世界中どこでもできる
靴磨きに魅力を感じてるんだよ。


"あればよりいいもの"はいくつもあるけど、
あえてものを少なくしてるんだ。


と思っていた。


しかしコンサルおじさんの言ってることで
自分も分かっていたけど諦めていたことがあった。


それはお客さんが座る椅子がないこと。


日本で路上靴磨きをしていた時は、自分とお客さん
が座るための折り畳み椅子を2つ持ち運んでいた。


しかし海外では荷物を少なくするため、
すっごく迷ったのだがお客さん用の椅子
を持って行かないことにした。


代わりに「ベンチがある所でやればいいかぁ」と
思っていたが、メルボルンで路上靴磨きしている
フリンダーズストリート駅前にはベンチがない。


なので靴磨きが終わるまでお客さんには
立って待ってもらっていた。


自分が靴磨きを通してやりたいことは何か。


"膝と膝を突き合わせて目の前の方と対話をすること"


しかしメルボルンでは私は椅子に座って
膝の上で靴を磨き、お客さんは立って待ってる
ので会話をしずらい状況だった。


一つアイデアを思いついた。


コンサルおじさんが言うように王様のような
豪華な椅子は用意できないけど、自分が使って
いた椅子をお客さんに座ってもらって、自分は
少ししんどいけどしゃがんで膝の上で磨いてみよう。


このやり方を2日前から取り入れており、
劇的にお客さんと話す対話の質が変わった。


お客さんが立って、私が座って磨いていた時は
「早く終わらないかなぁ」という雰囲気を感じていた。


しかし膝と膝を突き合わせて、目と目が同じ
高さで向かい合うことで、靴磨きの時間を長く
しても会話が途切れることはなかった。
#時間長く取れる分靴磨きのクオリティも上がる


結果的に目に見えて変わったことが2つある。


1つ目は"客単価"が大きく上がったこと。


前のスタイルで磨いてたときは最初にお金を
払って靴を磨いて終わりというケースが多かった。


でもしっかりと膝と膝を突き合わせて話しながら
靴磨きをした時は、最初にお金を払ったのにも関わ
らず、靴磨きを終えてから「もう少し払うよ」と言って
チップをいただくことが圧倒的に増えた。


前回までは小銭の2〜5ドルほどが平均だったが、
新しいスタイルにしてから10〜20ドルのお札で
いただくことになった。


もう一つ目に見えて変わったこと。


「SNSでお互いフォローし合うようになった」


言い方を変えると、路上靴磨きの一期一会
で終わるのではなく、友達になった。


オーストラリアは移民の国で、これまでケニア人、
インド人、台湾人、マレーシア人、ドイツ人、
イギリス人、中国人、フィリピン人といろんな
人種の方の靴を磨いた。


「ドイツに行った時にまた会おうよ」と言って
お別れするパターンが圧倒的に増えた。


靴磨きトラベラーの"1番のウリ"はなんだろう。


技術ではない。


もっとすごい靴磨き職人に日本でいっぱい
会ってきて、自分はまだまだだなぁと思ってる。


でも私の1番のウリは「世界中の人達と靴磨き
を通して対話をできること」だと思う。


言い換えると、やっぱり"物語"だと思う。


全く違う環境で育った人達と膝と膝を
突き合わせて聞き出せるチャンスがある。


目線を変えて靴磨きをするだけで、
こんなにも一回の靴磨きが濃くなる
ことを改めて理解した。


で、昨日の路上靴磨き8日目の結果は、、、


なんと14足!!


売上はなんと、、、


258ドル!!


この14足の靴磨きと258ドルのお金には
20投稿できるくらいの濃い濃い濃い〜物語があった。


でもなぜこんなに濃い物語を得たかと考えると、
やっぱり膝と膝を突き合わせて対話したからだと思う。


やっぱり、私は靴磨きを売ってるんじゃないな。

   "物語"を売ってるんだな。 と改めて思う。


ムカつくけどね。


お前黙れよって思うけどね。


やっぱり、やっぱり、人がアドバイスするって
ことは、きっと神様からのプレゼントなのかも
しれない。
#コンサルおじさんに感謝


全部受け入れる必要はないけど、
少しでも、ほんのちょっと変えるだけ
でも結果は大きく変わるんだと思う。


本日の258ドルと、これまでの428ドルを
足して、686ドルになった。


クラウンタワーメルボルンまで残り114ドル。

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