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「みんなが信じてることが本当になる」

靴磨き世界一周アジア編193日目

「No!!」

カンボジアに入った次の日、私はアンコールワット
を見ながら黄昏てると、後ろから急に大きな声がした。


振り返ると、そこにはカメラを持った男性と
1人の外国人女性とカンボジア人の子どもの仏教徒。


カメラを持った男性が血相を変えながらその
女性の方に小走りで向かう。


何があったのかを考察した。


カメラを持っていたのはアンコールワットの中で
観光客に有料で写真撮影をするおじさん。


外国の観光地に行けばだいたいこういうおじさん
がいて、基本的にはぼったくろうとしてくるから
関わらないようにしている。


そのおじさんが外国人女性に営業をして、
1人で来ていたその女性はそのおじさんの
営業に乗って、写真を撮ってもらっていたのだろう。


その横にいたカンボジア人の子どもの仏教徒は
見た目からしてまだ8歳くらい。


たまたまその辺を歩いており、その外国人女性は
彼と一緒に撮りたいと申し出たのだろう。


おじさんは数分前にも私に「写真撮ってあげるよ」
ってニコニコ営業トークしていたから、急に大きな
声を出して怒るなんてよっぽどなことだ。


おじさんは、その外国人女性に「彼を触っちゃダメだ!」
と強く言っていた。


触っただけでそんなに怒るのか⁇と私は思った。


その外国人女性は何かを察したようで、
子どもの仏教徒に深く謝っていた。


私はこの時はなんでおじさんがそんなに
怒ったのか分からなかった。


あれから時が経ち、くっくま孤児院のミワさん
とご飯を食べながらカンボジアのことについて
話をしていた。


カンボジアの貧しい家族は子どもを全員育てる
ことができないから、1人の子どもをお坊さんに
ならせることもある。


お坊さんになれば、子どもでもお寺で預かって
くれるし、托鉢を通してお金もいただけるから
食いっぱぐれることはない。


そしてカンボジアではお坊さんはかなり
位が高く、人様から崇められている。


王様の次にお坊さんがいて、その下に国民がいる。

 
だったらみんなお坊さんになればいいのに。


なんて私はこの時思った。


が、いいことだけではない。


お坊さんになるとは、"人"ではくなるという
意味である。


お坊さんになると、結婚できない。


そして、女性に触れることもできない。


女性に触れると、これまで積んできた徳が
全てなくなると言われている。


これは女性からお坊さんに触ることも同じである。


だから道でお坊さんが歩いていると、カンボジア
にいる女性は誤って触れないように間合いをあける。


その話をミワさんから聞いて、アンコールワット
での出来事を思い出した。


だからあの時、おじさんは血相を変えて
外国人女性に怒っていたのか。


そのおじさんは英語が話せなくて、クメール語
で表現していたけど、その外国人女性はおそらく
宗教的なことで自分は良くないことをしたと理解
して誤ったのだろう。


私はその時このことを知らなかったから、
もし私がその外国人女性だったら「ちょっと
触っちゃっただけじゃない!!」って逆ギレ
してる可能性もあった。


知らなければ悪気がなくても相手を傷つけて
しまうこともある。


このカンボジアの仏教の教えの世界では、
その女性は男の子が積んできた徳を全て
無くしてしまったことになる。


ここからが私が思ったこと。


お金も、教えも、常識も、みんなが信じてる
ことが正解で、本当になるんだなぁって。


誰もそんな教え信じてない日本人はお坊さん
でも女性と握手するし、女性のお坊さんだって
いるし、結婚もするし子どももいる。

 
世界はみんなが信じてることが本当になるんだなぁ。


「旅をしてる男がカッコいい」って世の中の女性
がみんな思ってくれたら、私もモテモテなのになぁ。


「少年よ、大丈夫だ。

ちょっと外国人のインスタ映えしか考えてない
女性に軽く触れられたくらいじゃあ君の積んできた
得は落ちん。

お互い徳を貯めてパーっと使いましょう。」

と私がその少年に語ってる写真です。
#奇跡的な写真すぎる


その時の少年と


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