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リッツ・カールトンでディナーを食べる

前回の記事のあらすじ、、、

全財産使ってリッツ・カールトン京都に一泊することになった靴磨きトラベラー改め靴磨きホームレスの総将。


ママチャリでリッツの門を潜ったらコンシェルジュと戦闘モードになったり、

デポジットをリッツ史上初の小銭で払ったりと波乱の連続。

チェックインも無事に終わり、これからディナーを食べるのだが、、、


https://note.com/sosho/n/n3323ffd73dc7
↑前回の本編


「佐原様、夕食はどうされますか?」
チェックアウト終わりに女将さんが聞いてきた。

「ディナー、予約したいです。」

「天ぷらかお寿司か割烹があります。」

「何がおすすめですか?」

「当ホテルは天ぷらがミシュラン一つ星を獲得しております。私は天ぷらをおすすめします」

「では天ぷらでお願いします」

本当は寿司を食べてみたかったが、"ミシュラン一つ星"という響きに天ぷらをいただくことにした。


案内されたレストランへ行く。

会場に入ると席が区切られている。

お寿司のカウンターコーナー。

割烹のテーブルコーナー。

天ぷらのカウンターコーナー。


私は1番奥にある天ぷらのカウンターコーナーへ通された。


メニューを渡された。


コース料理の横に値段が書かれている。

2,500円。

なんだ、部屋代が85,000円だったのでてっきりディナー料金も入ってるのかと思ってたが、まさかの別料金。


2,500円の天ぷらなんて食べたことないなぁと思ってよく見てみると、、、


「25,000円!!」


嘘やろ!!

俺、今から25,000円の天ぷら食べるの?

今日のお昼ご飯吉野家の牛丼頼んで+120円出して豚汁に変えようかどうか迷ったあげくに、節約しようと思って豚汁を諦めたのに。


今から25,000円のディナー食べるの?


沖縄往復できるやん!!


でもせっかく85,000円の入場券を買ってリッツ・カールトン京都の内部まで来てるんだ。


ここは世界一のホテルのディナーがどんなものなのか経験するべきではないか。


「これください!!」


私はランナーコーチャーくらいの声量で天ぷらに指を差して女将さんに伝えたい。


それにしても店内がゴージャス。

薄暗いなかに所々金粉のようなキラキラしたものが見える。


目の前にはお客さん一人に対して一人のシェフがついてくる。


私の担当のシェフが目の前にこれから料理するであろう食材を一つ一つ説明してくれた。

「これは○○で採れたピーマンで、これは⬜︎⬜︎で採れた魚で、、、」


途中から聞いたことのない食材の名前が入り、英語のリスニングをしてるような感覚になっていた。


「以上です。」と言ってそのシェフは目の前に食材を置き、一旦厨房の中に入っていった。


私は輝いた食材達を目の前に早速食べることにした。


お箸でまずはピーマンを取ろうとした瞬間、女将さんが血相を変えて走ってきた。


「まだ揚げてません!」


、、、


一瞬訳が分からず沈黙した。


冷静になって考えてみると訳の分からないのは私だった。


まだ油で揚げてない食材を食べようとしていたのだ。

貧乏人が一流レストランに行くとこんなヘマをする。

もう完成されてるように見えないか。


私は食レポをするために目の前にGoProカメラで撮影していたのだか、後に編集作業でチェックすると女将さんは私がやらかさないかずっと後ろから見ていた。


女将さんクラウチングスタート状態。


担当のシェフが一品一品天ぷらを絶妙なタイミングで揚げてくれる。

まずは海老が来た。


塩をつけて食べてみる。


「美味い!!」


尻尾も食べるように促されたので、食べてみる、

「美味い!!」

ポテトチップスのようなパリパリ感なのに、弾力が高級マグロみたいだ。


次にピーマン。

とうもろこし。

肉。

あわび。


「美味い!!」


気の利いたコメントなんてできない。


もう「美味い」以外で表せれない。


一つ一つの食材が一品づつしか用意されてないので、もう一回同じ物を食べたいのだが、それを食べ終えるとまた新しい物が出てくる。


担当のシェフが教えてくれた。


「もう少し食べたい!っていう所で止めておくのがちょうどいいんです。2回目は1回目の感動には勝てないですから、、、」


深い。


天ぷらの温度や湿度も毎回同じではないから、毎回目が離せないし経験や知識もいる。


でもそれが面白いそうだ。


すると一人の渋い男性が割烹にあるテーブルに名刺を持って挨拶していた。


それを見て担当のシェフが教えてくれた。


「あそこで挨拶してるのが、当レストランの総料理長です。寿司も割烹も天ぷらも全てメニューの考案に携わっていて、それだけでなく内装や食器一つ一つにこだわってる方なんです。もう料理人の域を超えて、クリエイターです。」

と言って毎回レストランにいるお客さん全てに挨拶をしているそうだ。

私のようなホームレスの所にもくるのかな。

とソワソワしていたが、総料理長が私の方へ歩いてきた。

「こんばんは。総料理長の○○です」
と言って名刺を差し出してきた。


私はその名刺をありがたく受け取ると、総料理長は何か筆で文字を書き始めた。


上等な紙に達筆に何かを書いている。


私はそれをマジマジと見てるると、総料理長は口を開いた。


「先程スタッフから聞いたのですが、今旅をされてるそうで。」

「はい、今靴磨き日本一周中です。」

「失礼かもしれませんが、気になってしまって質問させてください。
時よりこういったホテルにも泊まられるのですか?」


「いやぁ良くコインランドリーとかで寝てますよ。」

「マジで!!」

、、、

、、、

世界一のホスピタリティを誇るリッツカールトンの総料理長。


予想外の返答にお客さんに「マジで!」って言ってもーてるやん。


その後の会話はあまり覚えてないが、それ以降は総料理長があたふたしていた感じだった。


「コインランドリーで寝てますよ」という返答で総料理長になぜさマウントとってしまった。


それからも世界一贅沢なたまごご飯。


デザートなどを存分に味わったリッツディナーだった。


たしかに25,000円は高いが、既にこの話は500回以上すべらない話として披露してるし、何よりも総料理長の「マジで」を引き出したから充分に元を取ったかなと思っている。


リッツ・カールトン編、次回最終回

世界一のたまごご飯。上にキャビアが乗ってる
デザート


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