オーストラリアンドリーム
靴磨き世界一周アジア編 6日目
この日事件は起きた。
スーパーで洋服を手洗いする用に石鹸を買いに行った。
14セント〔140円〕の石鹸をカゴに入れて、
レジに通してクレジットカードで支払った。
私はそのレシートを見た時に膝から崩れ落ちた。
なんとその石鹸、14セント〔140円〕ではなく、
14ドル〔1,400円〕だった。
なんでスーパーに叶姉妹が使うような石鹸売ってるねん！！
私は半泣きになりながら、下着を洗面所で
手洗いした。
他にも牛丼一杯1,500円だったり、500mの
ジュースが350円だったり、分かってはいたが
物価の高さに目眩がしている。
しかしワーホリをしている日本人の情報によると、
時給が28ドル〔2,800円〕だったりして、住み込みで
働いたらすぐに50万くらい貯金ができるということ
も聞いている。
俺も一応ワーホリVISA取ってるし、
週3回くらい働こうかな。
ダメだダメだ。
そんな物語おもしろくない。
ルフィが白髭海賊団に入る世界のワンピース
なんて、誰が見たいんだ。
一杯1,500円の牛丼を食べたいなら、
靴を磨けば良いじゃないか。
私は生きるために、今日も路上靴磨きに出る。
お馴染みのSydney Town Hall前。
私が準備していると、陽気なおじさんがベンチに
座って話しかけてきた。
お互いの紹介をした後、そのおじさんはずっと
キリスト教の話をしており、終わりそうになかった
ので私は最後の方は無視をして路上靴磨きに専念した。
この日も1時間経過しても誰も来ない。
そしたらそのキリストのおじさんが言ってくるんだ。
「へい、そんな黙っててもお客さんは来ないよ。
呼び込みしろよ。靴磨きどうですかって。」
おっさんまだいたのかよ！
と思いながらも、確かにそうだなぁと思い
私は声を出して呼び込みすることにした。
「How is shoeshine.〔靴磨きはどうだい〕」
「5 to 10 mintes〔5〜10分だよ〕」
呼び込みをした。
興味を持ってくれる人や、話を聞いてくれる人はいる。
でもなかなか靴は磨けない。
開始から2時間ほど経過し、3人組のグループが
立ち止まった。
そして1人のベトナム国籍の男が靴磨きに興味を持った。
ベトナム人
「こんなボロボロの靴も磨けるのかい？」
総将
「アタボウよ！」
ベトナム人
「テヤンデイ！！頼むは！」
そのやり取りを聞いていたキリストのおじさんは
「良かったな」と言いながらグータッチを求めてきた。
#あっさんまだおったんかい
#ベンチでずっと座って何してんだよ
私はキリストのおじさんとグータッチをした。
靴磨きをお願いしたベトナム人もクリスチャン
だったらしく、キリストのおじさんとバイブル
について話し合っていた。
その間私はベトナム人の同僚であるオーストラリア人
の女性と靴を磨きながら話しいてた。
オーストラリア人
「私も世界中旅行することが夢で、でも
あなたみたいに仕事やめて本当にやる勇気がでない。」
総将
「天国にはお金なんて持って行けない。
でも思い出は持っていけると思うで。」
オーストラリア人
「素敵やん。」
総将
「まぁその思い出作るためにはお金が
必要やから、こうして働いてるんやけどね。」
いつからか、そのオーストラリア人と、靴磨きを
お願いしたベトナム人と、キリストのおじさんと、
キリストのおじさんの友達と談笑していた。
#キリストのおじさんの友達いつ来てん ！！
磨き終わった靴を見たベトナム人は
とても喜んでくれた。
「俺靴磨きなんてやってもらったの初めてだ。
もう捨てようかと思ったけど、まだ履ける。
本当にありがとう」と言って握手をしてきた。
その握手をした時に、彼が何かを私に
渡してきたのが分かった。
その握りしめた手を見てみると、、、
100ドル〔1万円〕だった。
オ、オ、オーストラリアンドリームやん！！
「いつまで路上靴磨きしてるんだ？
まだいるなら必ず来るよ」と言って
最後はハグをして別れた。
靴磨きをして、こんなに喜ばれるなんて。
やっぱり私はワーホリでオーストラリアの
どこかの会社に雇われて給料をもらうよりも、
靴磨きをして目の前の人に喜んでもらって
対価を得たいと思った。
キリストのおじさんは「俺も次は革靴を
履いてくるよ。これでジュースでも飲みな」
と言って小銭を渡してきた。
変なおじさんと思って途中無視してごめんよ。
あのおじさんはイエスの生まれ変わりだったのかもしれん。
オーストラリア靴磨き 7足
靴磨き世界一周 41足
本日のお気持ち代 207ドル
