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出国できひんかもしれん
靴磨き世界一周 アジア編 1日目
母、姉、妹、甥っ子、私の5人で関空まで
車で向かっていた。
携帯は前日に解約しており、wifiがないとネットは
繋がらない状況だったので、ボーと外を眺めていた。
まだ関空に到着するまで時間があったので、
一応オーストラリアに入国するための条件を
再度確認した。
・ワクチン接種証明書
・visa
・陰性証明書
この3つがあれば入国はできるが、念のために
もう一度ネットで確認しておこうと思い母のスマホ
を借りて検索した。
「オーストラリア入国に必要な条件」
1ワクチン接種証明書
2国が認めたVISA〔私はワーホリVISAを取得〕
3 72時間以内のPCR検査陰性証明書
4 Digital Passanger Declaration〔DPD〕の申請
私は車の中で時が止まった。
〔DPD〕てなんやねん。
いや、どーせなんとななるか
と思って目を閉じるが、、、
「絶対になんともならない!」
DPDは確実に申請していない。
家族に必要な書類を一つ申請していないなんて
いうと「何でそんなん前日までに確認しやんの!」
と絶対に言われると思ったので、冷静を装い母の
スマホでこっそり調べた。
#私はかなり焦っている
DPDを検索してみると、英語表記の長文が
ズラッと出てきた。
目が眩む。
TOEICの長文読解をしてる時のようだ。
DPDとはオーストラリアの役所に対して
「これからワシあんたの国にいきまっせぇ」
と公式に申告するような手続きだった。
空港に到着してからすぐに自分のスマホにwifiを
繋いで手続きを進め、なんとか時間までにDPDの
申告をすることができた。
これで確実にオーストラリアに行くための書類は
申請できた。
一件落着。
今回の行き先はシドニー だが、その前にバンコクへ
乗り継ぎ12時間以上空港内でシドニー 行きが出発する
時刻まで待機しないといけない。
関空→バンコク行きのチェックインカウンターは
かなり混雑していた。
長い隔離生活も終わりが見えて、どこの国の人達も
動き出してるんだなぁと肌で感じて嬉しかった。
しかし喜びもつかの間。
自分の順番が来るまで他のお客さんのカウンターで
の状況を見てみると、俄然不安になってきた。
なぜならスタッフに何か指摘されて慌てる人や
外国語で声を荒げて弁明してる人もいた。
私が考察するに、あの人達は何か書類や手続き
が済んでおらず、今日の出発ができないんだろう。
出発時刻の1時間前になっても私は列に並んで
おり、見送りに来てくれた友達や知人も少し不安気
にこちらを見ている。
「手続きが漏れて出発できませんでした」
なんて絶対に言えない。
出発の45分前。
ついに私の番が来た。
パスポート、VISA、陰性証明書、接種証明書、
そしてDPD、スタッフの指示に従ってそれぞれの
書類を見せる。
やっとこの緊張感から解放されると思ったその時!
「バンコクで適用する海外旅行保険の"英文"証明書
を出してください」とスタッフに言われた。
、、、
「なんなんじゃそりゃ?」
シンプルに霜降り明星せいやのギャグが口から出た。
「バンコクに乗り継ぎで10時間以上滞在されるので、
基準値を満たした"海外旅行保険の英文証明書"がないと
出国できません。」
今日早くも2度目の時が止まる。
俺は知ってる。
何を知ってるかって?
そんなもん持ってないこと俺は知っている。
「あの、その書類持ってないんですけど」と
伝えると、
「でしたら出国はできません。」
おわた。
私は見送りに来てる人達が集まるベンチを見た。
今か今かと私を待ってる眼差し。
諦めかけたその時、心の中のリトル安西監督が言った。
「あきらめたら、そこで試合終了だよ。」
そうだ!一つアイデアを思いついた。
「今必要な海外旅行保険に入れますか?
先生、オーストラリアに行きたいです!」
私の質問に対して時計を見ながら担当のスタッフは
この島の責任者らしき女性に尋ねた。
責任者の女性は時計を見ながらしかめっ面をした。
やっぱりダメか。
諦めかけたその時!
「私が一緒に行って説明してくるは」と
言ってその方は私を連れて海外保険カウンター
に向かった。
そのあと迅速に対応してくれて、
なんとか出国の許可が出た。
世界への重い重い扉がようやく開いたのだ。
初っ端から大慌て。
とにかく、起こること全て楽しんでいきます。
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