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「犯人は現場に戻る」
靴磨き世界一周アジア編199日目
ホーチミンからダナンまで深夜列車で15時間。
この移動中に"大"事件が起きた。
トラウマ級だ。
私が購入したチケットは1番安い2等寝台で、
小さい部屋に2段ベッドが2つある。
チケット売り場でダナン行きのチケットを買う時に、
スタッフから「もう2段ベッドの上しか空いてない
けどいいか?」と聞かれた。
ということは、この日はほぼ満席ということである。
頼む、同部屋の人は良い人であってくれ。
できればイビキがうるさくない人がいい。
そう願いながら部屋に入っていくと、2人はベトナム人
の中年女性と、もう1人は西洋系の男性だった。
私が部屋に入った時も気さくに挨拶を交わし、
第一印象はかなり良かった。
みんな疲れていたのか、列車が動き出した19時には
各ベッド横になってゴロゴロしていた。
ネットもほとんど繋がらないし、
私も早めに眠ることにした。
列車に揺られながら、狭いベッドの上で眠る
ベトナムの夜。
寝心地は正直良くないが、これも良い思い出だなぁ
と思いながら眠りについた。
朝の6時頃、私の足の方を誰かにゆすられてる
感覚で目を覚ました。
「え、まさかもうダナンに到着したのか!?」
と思いながら飛び起きると、見慣れないベトナム人
のおばちゃんが「チキンでええか?」と聞いてくる。
は、チキンでええかってどういうこと?
あぁ、わざわざ起こして聞いてくるとはこの
列車の人達には無料で配給してる朝ごはんなん
だなと思った。
「はい、チキンでいいです。」と言って、まだ
到着時刻まで充分に余裕があったのでまた眠ろうとした。
そしたらおばちゃんがまた足をゆすってきて、
「50,000ドン」と言ってきた。
"金取るのかよ!!"
というか、眠ってる人起こして「チキンでいいか?」
ってどんな営業の仕方やねん。
強引にもほどがあるだろうと思いながらも、
50,000ドンを払ってまた眠ろうとした。
が、おばちゃんの強引なチキン弁当販売の件で
目が覚めてしまい、起きることにした。
同部屋の西洋系の男性が、「これお前の分だ」と
言ってコーヒーを買ってくれていた。
ありがたい。
私は外の景色を見ながらチキン弁当と
コーヒーで朝ごはんを食べた。
チキン弁当、なかなか美味いじゃないか。
しばらくすると、お腹が痛くなった。
朝からガッツリ食べたのと、クーラーがかなり
効いていた部屋で一夜を過ごしたからお腹をくだ
したのかもしれん。
私はトイレに駆け込んだ。
間一髪。
用を足して、流すレバーを引いた。
手を洗っている時に、違和感を覚えた。
えっ??
トイレが、、、流れない!!
レバーを引いた後、水が出てきたのはいいが、
その水が引かずに水圧だけが増えた。
落ち着け。
これは何かの間違いだ。
もう一度、レバーを引こう。
水が出てくる。
水圧が増える。
、、、
、、、
水が引かない!!
#なんでやねん
もう手のつけようがない。
次にレバーを引いてしまうと、水圧が上がって
便器から溢れ出てくる。
クソッ!!
私は罪悪感もありながら、そのまま出ることにした。
私が廊下を歩いていると、おばちゃんとすれ違った。
おばちゃん、ごめん。
俺だってやりたくてやったんじゃないんだ。
たまたまその順番だったんだ。
心の中で謝罪と、言い訳をした。
私はすぐに部屋に帰って2段ベッドの上で
布団を頭までかぶって隠れた。
もしあのおばちゃんがトイレの犯人探しを
する人だったら終わりだ。
せっかく半日でいい関係を作ったこの同部屋の
人達との信用を失ってしまう。
1時間くらい、布団にくるまった。
だが、やはり罪悪感と、その後どうなったのか
心配で眠れない。
私は意を決して、現場を見にいくことにした。
この時に分かった。
"犯人は現場に戻る"という心理を。
私だってやりたくてやったわけじゃない。
一度は逃げたが、やっぱり自分の過ちは
自分で拭かないといけない。
現場のトイレに行ってみると、、、
使用禁止になっていた。
これがベトナムの深夜列車で起きた"大"事件である。