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サプライズで沖縄の仲間に会いにいく。

「ピンポンパンポン。長らくのご乗船ありがとうございます。間も無くこの船は那覇フェリーターミナルに到着します。」

低くの太い声の船内アナウンスが流れ、
暗かった部屋の電気のスイッチが入る。

あまりの眩しさに眉間にシワが集まる。

静かだった大部屋も一斉に合図がかかった
ように目覚めた人達が下船の準備をし始めた。


まだ眠たい。眠っていたい。沖縄?どうでもいい。
とにかく寝てーんだよ。まだ着くんじゃねーよ。


携帯の電波も繋がらないので、とにかく
フェリーでの移動中25時間は眠ろうと決めていた。


寝過ぎて眠りというやつだ。


でも、起きなければ。


寝転びながらあくびをして背中の骨が「ゴギっ!」
と鳴った瞬間に目を開けた。


久しぶりにこんな寝たな。

1か月間の睡眠不足を全て解消したのでは
ないかと思うほどの深い眠りだった。


沖縄だ!!本当に島を渡ってきたぞ!!
靴磨きトラベラー沖縄に上陸するぞ!


俄然テンションが上がってきた。


顔を洗い、オールジャクソン号の元へいく。


フェリー内から沖縄本島に入った瞬間
生温い風が顔に吹きかかる。


5月初旬というのに半袖でちょうどいい気温。


「総将さん!!」

横から急に名前を呼ばれた。

大学の後輩である須田だ。

私が通ってた大学には沖縄勢も多く、
この日はたまたま野球部の沖縄組が
コテージに集まって宴会をするようだった。


そんな時にたまたまこの日に現れた私は
須田とジュンジの2人には行くと伝えて
他の仲間達には内緒にしていた。


須田と車でコテージまで向かった先に、
ジュンジに連絡をして下まで降りてきた。


「総将も沖縄にくるならこればいいのに」と
冒頭でその話題は出たそうだが、ジュンジが
「総将さんは今日は予定あって来れないそうです」
と言ったそうだ。


中には4年ぶりに会う仲間もいる。


ワクワクしてきた。


ジュンジにカメラを持ってもらい、私が
部屋にいきなり入っていく。


コテージは海沿いにあり、横から涼しい風が
吹いていた。


扉の前に立つと、中から笑い声が聞こえてきた。


須田が今日は10人くらい集まっていると言っていた。


扉を開けた瞬間、大学の寮に住んでいた時の
記憶がフラッシュバックしてくる。


一瞬沈黙になった。


みんなの目が私を捉えた時に、きっと私と同じ
ように大学時代に部屋で私が遅れて入ってきた時
の記憶も走馬灯のように思い出しているだろう。


「えーーなんでいるば!」と誰かの声を皮切りに、
コテージの中が大騒ぎになった。


予想通り、いや、予想以上の盛り上がり。


なぜか私を見て手を叩きながら笑ってる者も
いれば、ただ座ってニッコリ笑ってる者もいる。


ジュンジはカメラを回しながら、「してやった」
という顔をしている。


なんか、こいつらの幸せそうな顔を見たら泣けてきた。


私は幸せ者だ。


日本一周に出る前は、「靴磨きできるのかな?」
「自転車はもつのかな?」たくさん不安があったが、
旅中に出会った方々が私のことを助けてくれて、
沖縄まで来ることができた。


新しい出会いも素敵だし、これからも求めていきたい。


でも大学の仲間達のように、古い友人と久々に
あって何の学びもないくだらない話をする時間
って幸せなことだよなって思った。


日本一周して良かったなと思うことの一つに、
日本全国に散らばった友達に再び会えることがある。


大人になってそれぞれのフィールドでもがいたり、
悩んだり、上手く行ってる話を聞くと「俺も負けないぞ」って力になる。


あぁ本当に旅に出て良かったなぁ。

コテージのベランダで沖縄の生温い空気を感じながら、
空を見て、心が温まる気持ちになった。


この日は夜中までお酒を飲みながら語り合った。


だがしかし、天国から地獄に落ちる明日を
この時は知らなかった。

続く。


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