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「思春期アフリカ人と友達になりました。」
靴磨き世界一周アジア編31日目
私は本来の目的を忘れないためにも、
靴磨きの時の優先順位を決めている。
1.靴磨きを通して"上機嫌"を与えること
2.靴磨きを通して"物語"を得ること
3.靴磨きを通して"お金を稼ぐ"こと
例えば「今現金を持ち合わせてなくて、また今度
来るわ」て言った方の靴が汚れているのであれば、
お金はいらないから今靴を磨かせてもらうように
お願いする。
なぜなら上記であげた、目先のお金を稼ぐ〔3〕
よりも、まずは靴磨きを通して喜びを与えたい〔1〕
と思っているから。
昨日はメルボルン路上靴磨き6日目。
嬉しい出来事があった。
数日前に一度靴を磨かせてもらったアフリカ生まれ
のお兄さんが再び来てくれた。
「この前さ、現金持ち合わせてなかったから、
今日払いに来たんだ」と言ってお金を渡してくれた。
数日前こんなやり取りがあった。
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アフリカのお兄さん
「何で靴磨きやってるの?お金ないの?」
総将
「今靴磨きしながら世界一周してるねん。
世界を足元から輝かすことを目的に靴磨きしてるねん。
まぁお金もこれで稼いでるんですけどね。テヘペロ」
アフリカのお兄さん
「靴磨きで大したお金稼げないっしょ」
なんかトゲのある言い方だった。
総将
「ん〜ご飯食べたりゲストハウス泊まれる
くらいは今のところまかなえてるで。
でも靴磨きして、喜んでもらえるから楽しいで。
テヘペロ」
アフリカのお兄さん
「じゃあこの靴磨いてよ。俺今お金持ってない
から無料でやってよ。」
相変わらずトゲのある言い方だった。
正直、一瞬躊躇った。
なんで半ギレのやつの靴磨きせなあかんねん。
こいつ思春期抜け出せてないやん。
しかも万年思春期アフリカ人の靴磨きした
ところで、お金もらえないことは確定している。
私は言おうとした。
「お前はもう一回中学生からやり直せ!!」
その時、心の中のリトル総将が出てきた。
「優先順位を思い出せ。」
優先順位?
そうだ。忘れてた。
俺は何のために靴磨きしてるんだ。
クラウンタワーメルボルンに泊まるためか?
違うだろ。
それは過程であって、本来の目的は
靴磨きを通して"上機嫌ウィルス"を足元
から撒き散らすためじゃないのか?
世界を足元から輝かすためだろ。
私はその万年思春期アフリカ人の靴を
磨かせてもらうことにした。
万年思春期アフリカ人は終始イヤホンを
耳にぶっ刺して爆音で音楽を聴いていたので、
私は特に話すことなく、スニーカーについた
汚れを取ることに専念した。
汚れがだいぶこびりついており、綺麗にする
ために何度もクリーナーで拭き取った。
万年思春期アフリカ人はいつのまにか
イヤホンを取って、ずっと靴磨きを見ていた。
するとそのスニーカーはBIGBOSSの歯くらい
真っ白になった。
「わぉ。こんなに綺麗になるのかよ。」
と言ってすごく喜んでくれた。
何度も足元を見ながらゆっくり歩いてく後ろ姿を見て、
自分が本当にやりたかったことはこういうこと
だよなって思った。
私が磨いた靴を履いた人が、「なんか今日は
いいことあるかもしれない」ていう"気分"を
提供すること。
お金はいただけなかったけど、自分の中で
本来の目的を思い出し、豊かな気持ちになった。
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数日ぶりにそのアフリカのお兄さんは来てくれた。
彼は今回お金を払いにきただけだと
言っていたけど、また違うスニーカーに
汚れがついていたので、磨かせてもらうことにした。
アフリカのお兄さんの名前はアビオと言い
ケニア出身の方だった。
ケニアではお金がなくて、その日食べるために
靴を磨いてる子ども達がいることを話してくれた。
その子達がどれだけギリギリで生きていて、
助けてあげたいけど何もできない自分の無力さ
に失望していた。
そんな時に日本人の青年が靴磨きをして
いるのを見て、唖然とした。
「何でメルボルンで日本人が靴磨きしてんだよ。」
自国の子ども達を思い出し、怒りにも似た
感情が湧き出た。
でもあの時靴を綺麗にしてもらって、
靴磨き職人という職業があることを初めて
知って、すごくいい気分になったそうだ。
「俺はケニアに帰った時、Soshoのことを
その子達に話すよ。メルボルンで出会った靴磨き
職人はすごかったぞ。靴磨き職人てカッコいい
職人なんだぞ」って。
アビオはケニアに帰って親がいない子ども達
をサポートする仕事を作るために、今も勉強に
励んでいる。
前回の分と、今回の分、いただきすぎるほどの
現在を受け取り、最後にツーショットを撮って
お別れした。
その写真を見て思った。
#もう少し笑え
#お前やっぱりまだ思春期だろ
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