「スモーキーマウンテンに泊まってみた」
靴磨き世界一周アジア編95日目
何十年もゴミが捨てられ続けてできた山、
それがトンドにあるスモーキーマウンテンだ。
そのエリアはマニラの中でも最大のスラム街と
言われている。
そこに行く前までは怖いイメージしかなかったけど、
実際に訪れたらゴミは30年前に捨てられるのが禁止
され、今では野菜が育つようになっていた。
1週間前にも訪れたけど、すっごく楽しかった
ので昨日もう一度1人で行ってみた。
前回訪れた時はフィリピン人のモモちゃんと
行ったのでスムーズにいけたけど、今回は1人で
行ったので道に迷った。
ナビを見ながら周辺をグルグルしていると、
前から見覚えのある男が歩いてきた。
その男性は以前スモーキーマウンテンに行った時
に家に招き入れてくらたジェイさんで、ジェイさん
も私のことを覚えてくれていた。
「なんだ道に迷ったのか？ついてこい。
俺も帰るところだ。」
と言ってたくましい背中についていった。
ジェイさんの家に着くと、家主のアグネスさんや
子ども達がみんな迎え入れてくれた。
道に迷った時は諦めて帰ろうかと
思ったけど、やっぱり来て良かった。
コーヒーを飲みながら子ども達と話していると、
「Sosho, 今夜ここに泊まってきなよ」と言われた。
え、マジで！
スモーキーマウンテンに？
泊まりたい。
泊まりたいけど、寝れるかな。笑
結構キツいよ。いろんな意味で。
でもスモーキーマウンテンに泊まるなんて
逆にお金払ってもできない経験だ。
「え、ええのん？」と遠慮気味に言うと、
子ども達が「イェーイ」と喜んだ。
もうね、楽しむしかない。
ゴミの上に作られた家の中は、蚊とハエの覇権争い
をしてるけど、それも楽しむしかない。
飼ってる犬か野良犬かよく分からん
犬がウロウロしてるけど、これも楽しむしかない。
でも結果的にアグネスさんの家に
泊まらせてもらって本当に良かった。
このスモーキーマウンテンには今でこそ
野菜が育てるようにはなったけど、何十年も
積み重ねられたゴミが地盤になってるので、
ずっとゴミが湧いてくる。
掃除しても掃除してもゴミがなくなることはない。
「ゴミがなくなる時は、この山がなくなる時だ」
と言っていた。
ここは無法地帯。
警察も来ないし、政府の手当が降りることもない。
ジェイさんは仕事をコロナ前中に失ってから
働いてないそうだ。
日本だと仕事がないとはいえ、
選ばなければ仕事はいくらでもある。
#植木屋さんでアルバイトしてたから分かる
でもフィリピンでは本当に仕事がないそうだ。
ホームレスの人達は勝手に窓拭いたり
勝手に車を誘導したりして小銭を稼いでる。
スモーキーマウンテンには300世帯住んでおり、
一つの家族に平均5人の子どもがいる。
子ども達の教科書や必要な物も買えないくらい
お金がないらしい。
それでもここに住む人達はみんな明るい。
全員が家族だから、困った村人がいれば
全員で助ける。
法やルールはないけど、「困ってる人を見つけたら
助ける」という人間の本質が浮き彫りになってる
人達が住んでいた。
娘のスイートがこんなこと言ってきた。
「Sosho, 問題が発生したよ。」
「え、なに？」
「お金がなくて、今日晩御飯のおかずない。
白飯だけでもいい？」
「いいよ、いいよ、そんなお腹空いてないし、
貴重なご飯だから俺いらないよ。」
お腹なんて空かないよ。
でもそれを知った家主のアグネスが
「言いわけねぇだろ！」と叫び出した。
「みんな小銭だせ！」と言って子ども達も
ポケットに入ってるお金をかき集めた。
16ペソしかなくて、ツナの缶詰を買うには4ペソ
足らなかった。
「4ペソ俺出すよ。というか全部俺出すよ」
と言ったけど、アグネスは「いや、隣から
かき集めてくる」と言って4ペソを村人から
徴収しにいった。
しばらくして、アグネスは右手にツナの缶詰を
持って、「今日のおかず手に入ったぞー」と言って
帰ってきた。
「イェーイ」と言ってみんな拍手してた。
今まで食った缶詰で一番美味かったよ。
このツナの缶詰には愛の調味料が
溢れ出るほど入ってた。
誰も明日のことなんて考えてない。
今日飯が食えたらそれでハッピーなんだ。
スモーキーマウンテンはゴミでできた山。
でもそこに住む人達は宝石のように輝いていた。
「Sosho, シンガポールに行くまでここに泊まりなよ。」
と言われた。
、、、
いろんな意味を込めて、お断りした。
でも、またいつか帰ってくるよ。
