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関門トンネル封鎖事件のその後
2021年4月18日
私は"違法ルート"で北九州に入った。
(↑こちらの記事の続きです。)
私は「北九州市」と書かれたレンガの前で
自分が犯した失態について呆然としていた。
どれだけの人に迷惑をかけたのか。
そしてもしあの時、警察が止めてなければ、
3キロ続く関門トンネル内で確実に車と衝突
していただろう。
いろんな思いが湧き出てきて、私は前に進む
気にもなれずただただボーッとしていた。
すると30代半ばの男性が話しかけてきた。
「今日本一周してるんですか?」(男性)
「はい、そうですけど。」(私)
きっとオールジャクソン号の後ろの看板
を見て声をかけてきたんだろう。
「だったら絶対あそこのカフェに行った方が
いいですよ!」(男性)
男性はここから3分ほどで行けるカフェの場所
を教えてくれた。
私はお礼を言い、その方とお別れした。
正直、今誰かと会うのも気が向かない。
かといって自転車を漕ぐ気にもならないし、
この後誰とも会う予定がなかった。
ちょっと暖かいコーヒーでも飲んで落ち着こう。
私はその男性がおすすめした「Tent」という
カフェに行くことにした。
店内には3人ほどお客さんがいて、店主と
会話してる様子から常連だと理解した。
店主は私を席に案内し、オーダーを聞いた後に
「旅してんの?」と質問してきた。
後に店主のシュウさんが教えてくれたのだが、
このお店はなんか知らないけど旅人がよく
訪れる場所になっているそうだ。
私の雰囲気を見てすぐに旅人だと察したようだ。
「日本一周を自転車でしてるってことは、
下関から人道トンネル通って来たの?」(シュウさん)
「いやぁ、実は違法ルートで入ってきたんです。」(総将)
「え、どういうこと?」(シュウさん)
私は関門トンネルを誤ってママチャリで入り、
約20分間封鎖したことを伝えた。
シュウさんは私の話を聞いて、「ゲロ吐くんじゃ
ないか?」というほど腹を抱えて笑っていた。
「ここで長らくお店を構えてるが、関門トンネル
経由でチャリで来た奴は初めてだ!」とゲラゲラ
笑いながら言っていた。
「お前面白いなぁ、ここで靴磨きやっていきなよ」
とシュウさんは言ってくれ、そこにいた常連
の方の靴磨きをさせてもらった。
その様子をシュウさんのInstagramで宣伝
すると、他にも3人くらい靴を持ってお店に
来てくれて、靴磨きをさせてもらった。
最後に磨かせてもらったのが「詩子さん」
というTentの常連の方だった。
私は靴磨きしながら、「いやぁ今日本当
やらかしたんですが、このお店に来て元気
出ました!」と私は詩子さんに伝えた。
「え、何をやらかしたの?」と詩子さんは言った。
「あれ、まだ話してなかったっけ!?
この子関門トンネルチャリで侵入して
20分間封鎖してるんだよ」とシュウさんは言った。
「だからか!!私下関からの帰り道に関門トンネル
の前でかなり待たされたよ。なんでこんな所渋滞
してるのかなぁと思ってたんだよ!」
、、、
、、、
「それ、俺のせいです。本間すみません!」
私はお詫びも兼ねてタダで磨かせてください!
とお願いしたが、詩子さんは笑いながら私の
お願いを拒否し、お気持ち代もいただいた。
数時間前にあんな大事件を犯したのにも関わらず、
私はこんなに楽しい時間を過ごしても良いのか。
いや、むしろ私は関門トンネルを封鎖してなければ、
きっとあそこで呆然としてる時間もなかったので
このカフェをお勧めしてくれた男性と出会っていない。
こんなこと言うと不謹慎だと理解してるが、
「むしろ良かった」と思いながらその後も
Tentに来るお客さん達と話していた。
「次は合法ルートでTentに来ます!」と
シュウさんと約束し、私は店を出た。
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↑Tent
関門トンネル封鎖事件があったからこその出会い。
がしかし、これもまだ序章に過ぎない。
この後、私の人生を大きく変える出会いが訪れる。
その出会いもまた、関門トンネル封鎖事件が
あったからである。
続く↓