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「15歳のキャンベラボーイ」
靴磨き世界一周アジア編22日目
今後の予定を考慮して、キャンベラには
2日間しか滞在しないことになった。
せっかくならオーストラリアの首都である
キャンベラで一足は磨きたいなぁと思い、
1日限定で路上靴磨きをすることにした。
キャンベラの中心地と言われている
キャンベラセンターあたりで適した場所を
探してみるが、人通りも少なく厳しい戦い
になるなぁと予想した。
今日の目標は、1足。
1足磨いたら帰るもよし、残るのもよし、
ただ磨けなかったら"夕食はなし"という自分
ルールを作った。
とはいえ、夕食は絶対に食べたいので
"秘策"を作った。
「Shoeshine (靴磨き
Price: $2〜$100 2ドル〜100ドル
up to you」 お気持ち代)
というのを大きく紙に書いた看板を作った。
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日本から持ってきた看板は小さいので、
より目立つように手書きで書いてみた。
これで一足磨いて、夕食を食べてやる!
キャンベラセンターの広場の前に場所を
確保し、路上靴磨きをスタートした。
路上靴磨きの待機してる間は、
人間観察をしている。
一瞬チラッと私を見た人がすぐに目を逸らした時は、
「私には関係ないや」と思ったなぁと予想したり、
全く見向きもせず通りすぎる人に対して
「何か急ぎで困ったことが起きたのかな?」
と考察したりしていている。
数十分人間観察をして分かったことは、
「キャンベラの人は歩くの早いなぁ」と思った。
険しい顔をして、何かに急いでるような感じがした。
こりゃ晩御飯食べれないかもなぁと思っていると、
少し離れた所から1人の青年が見ていた。
総将
「今靴磨きしながら世界一周してるんだ。
よかったらその靴磨かせてくれへんか。」
キャンベラボーイ
「いや〜靴磨きはいいわ。でも応援したいから
5ドル寄付させてよ。」
総将
「君まだ学生だろ。すごいね、そんなこと言えるの。
君の靴磨きしたいわ。綺麗にするからさ、
それで喜んでくれたら5ドルありがたくいただくよ。」
そのキャンベラボーイは私の推しにしぶしぶ
靴を脱いで、「別にこのままでいいんやけど
なぁ」と言いながら手渡してくれた。
彼は靴磨きなんて見たことないし、
自分の靴なんてもちろん磨いたことない。
今まで靴が汚れてても気にすることはないし、
誰かに何か言われることもない。
こういった方にこそ、靴磨きの魅力を
伝えるのが私の使命だと思っている。
15歳のキャンベラボーイよ。
10分後、君は気づいてしまうぞ。
綺麗な靴を履くと、魔法がかかったかの
ように上機嫌になることを。
私はキャンベラボーイと会話をしながら、
「この子が今日私に出会って良かった」と思って
もらえるように、心を込めて磨かせてもらった。
クリームを塗り広げて、ブラッシングをした
後の靴の輝きを見て、変わりように驚いてくれた。
仕上がった靴を履いて、喜んでる顔を見て、
「あぁ、もう今日はこれで満足だ。」と思った。
総将
「君は学生だし、お金はいらないよ。
今日はありがとう。足元から応援してるよ」
キャンベラボーイ
「いや、俺は払う。払わせてくれ。」と
言って10ドルを渡してきた。
総将
「その10ドルは自分のために使いなよ。」
キャンベラボーイ
「分かった。じゃあこの10ドルを自分のために
君に払うよ」と言って渡してきた。
君は、まだ15歳だろ。
よくそんなこと言えるなぁと思いながらも、
これはお金の"受け取り所"だと思い、ありがたく
いただくことにした。
私が15歳の時なんてまだ駄菓子屋で
10円のお菓子をもう一つ買うかどうかで
15分くらい悩むほどチープな男だったのに。
この15歳のキャンベラボーイは
カッケェ大人になるなぁと思った。
キャンベラボーイとお別れした後、日も落ちて
寒くなってきたので、片付けて夕食を食べに
行くことにした。
よし、今日はキャンベラボーイからもらった
10ドルで日本食を食べに行こう。
私は日本のどんぶり屋さんに入った。
「もしかして日本人ですか?」と店員さんが
聞いて来た。
「そうです。まさかお姉さんも日本人
だったんですね。」と言って、その後
立ち話をした。
その方は結婚してキャンベラに住んでるそうで、
「これ良ければ飲んでください」と言って日本の
お茶をプレゼントしてくれた。
久々に日本食も食べれて、日本のお茶も飲めて、
今日も豊かな1日でした。
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イケテルメンズに生まれた宿命だ