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廃校になった小学校に泊まる

靴磨き日本一周62日目

岡山から鳥取方面に60キロほど進むと美咲町という場所に障害者の方が働く作業所がある。


かなり険しい山道を抜けるとその場所に聳え立つ物体に目を疑った。

「学校やん!!」

その作業所を営む豊美さんは30年前にこの廃校になった小学校に移り住み、旦那さんが家具を作り、豊美さんは織物を作って生活をしていた。


知人のFacebookの投稿を見て私のことを知り、「岡山に来た時はウチに泊まりにおいで」と言ってくれていた。


ありがたいとは思いつつ、よくも見知らぬ人を知人の投稿一つで頼まれてもないのに「泊まりにおいで」と言えるなぁと思っていた。


しかし豊美さんと夕食を食べながらお話しする中で、ここには私のような旅人が時より滞在してることを知った。


ヒッチハイクをしてる旅人がいたら旦那さんが拾ってきたり、放浪してる外国人がいたら知人が豊美さんに連絡をして受け入れてくれたり。

廃校の小学校なので部屋はたくさん余っているので旅人はいつでもウェルカムだそうだ。


その中で一つ面白いエピソードを聞いた。


家族でヨーロッパを1ヶ月間旅行していた時に、イギリスでラー君という少年に出会った。

彼は子どもの頃から日本に興味を持っており、16歳になった時に豊美さんがしばらく日本で面倒を見ることになった。


ラー君の親は子ども達を学校に行かすことはせず、家庭で教育をしていた。


だからラー君はこれまで一度も学校に通ったことがなかった。


しかし豊美さんは毎日家にいても暇だと思い、当時娘さんが通っていた小学校の先生に「国語の時間だけでもラー君を通わすことはできないか?」とお願いすると田舎の学校だったので教育委員会には内緒で了承してくれた。


それからラー君の人生で初めての学校通いが始まった。


それも異国の日本で、、、

学校に行きだしてから2つのことが大きく変わった。

一つは日本語が急速に上達したこと。

もう一つがベジタリアンを卒業したこと。

ラー君の親の影響で、家族全員がベジタリアンだった。

しかし小学校の給食が美味しすぎてベジタリアンをやめてしまった。

とにかく給食が美味しすぎたらしい。

それからもラー君の日本での生活は続いた。

途中学校に行くのが疲れて週に2回しかいかなくなったり、夏休みに旅に出ると言ってゲイの人につきまとわれたり、「泊まる所がない」と警察に行ったら留置所に泊まることになったり。笑

そんなおっちょこちょいのラー君だが今は東北の大学で助教授をしている。

元々はイギリスで貧相な暮らしをしていたが、日本に憧れイギリスで新聞配達のバイトをコツコツしてお金を貯めた。

そのお金で日本への片道切符を持って豊美さんを頼ってきた。

豊美さんと出会ってなければ日本に来て勉強することもなかったし、助教授にもなることはなかった。

今は日本人の女性と結婚して子どももいる。

これも一つのエピソード。

他にも変な旅人の話や事件をたくさんお聞きした。


岡山の山奥でポツンと聳え立つ廃校で私達の声が響き渡った。

いつか「あの有名な靴磨きトラベラーもここに来たんだよ」と未来の旅人に豊美さんが話せるよう精進しようと思った。

よりビッグな男になって必ず帰ります。

山の中に聳え立つ学校
元々は教室だったリビング
豊美さん


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