不倫。正妻と愛人が職場で刃物沙汰。何故、役員だけが不問なのかby転職定着マイスター川野智己
起きた不祥事で、貴方が責任を押し付けられるかもしれません。
懲戒解雇されたのは社員のみで、役員は不問にふされた話です。
就業規則をたてに、懲戒解雇された女性社員のお話です。
津島美由紀(38歳)は、門田りさ(44歳)にナイフで刺されました。
門田りさは、ディスカウント量販店の社長の娘です。
夫の門田太郎(46歳)は娘婿で、同社の役員です。
門田りさは、かかってきた電話に出ました。事件の3日前のことです。
「男性と女性の方、お一人づつ、同部屋でよろしいですね。」
夫の太郎が予約したホテルからの、宿泊予約確認の電話でした。
門田太郎は出張の予定でした。表向きは単身出張のはずでした。
その電話で同室の女性の名前も聞き出したのは言うまでもありませ
ん。夫をたぶらかしたその女の名前を。
津島美由紀がその女の名前でした。
津島美由紀(38歳)は、同店に勤務してこの冬で10年を迎える店員でした。
最初は、パートタイマーとして入社し、その堅実な仕事ぶりを評価され、昨年春から正規社員として雇用されたのでした。
寡黙で、化粧っけも無く、髪を無造作に後ろに縛るその姿は、賑やかな店内
や派手な格好の同僚の中で、周囲の人たちからは浮いていました。
独身でした。
多くの女性が望むように、家庭を築き、子どもを育てる。
そんな幸せに憧れながら、つい仕事に没頭してしまうタイプでした。
女の幸せが得られない寂しさが、にじみ出てしまうような女性でした。
門田太郎(46歳)は、そんな津島美由紀を遊び相手として利用しました。
不倫はもう、4年も続いているのでした。
門田太郎は、社長の寵愛からの受ける役員です。
経済的にも安泰し、誰も諫める者がいなくなると、人間、刺激を求めます。
その発露が、津島との不倫でした。
門田りさは、津島美由紀を刺したのです。
「これが不倫の代償だ。思い知りなさい」
閉店間際の店のなかで、その惨劇を目撃したのは数名の従業員だけでした。
客はまばらでした。騒ぎに気がつく客はいませんでした。
聞こえてくるのは津島のすすり泣きだけでした。
津島美由紀は手に怪我を負いました。防御のために出した手を刃物がかすったのでした。十針を縫うほどの怪我でした。
血液独特の、鉄のような匂いが漂っていました。
刃物を構えている門田りさが社長の娘だという現実に、声を出せない従業員たちでした。
従業員たちは、ここで叫ぶと社長からの心象が悪くなるのではないかと、保身を先に考えたのかもしれません。
従業員たちは、りさを、犯人として見るべきか、それとも、経営陣の親族として見るべきか。声をのんで見つめていました。
従業員の誰かが、社長に電話をかけました。警察に連絡するよりも、先に社長に電話をしたのです。
津島美由紀は、その後、解雇されました。
役員である門田太郎をそそのかし、職場の風紀を乱したという就業規則に違反した。それが理由でした。
「津島美由紀は、反論などしないはずだ」
経営陣は、津島美由紀の大人しい性格を利用して解雇したのでした。
秘密にすることを条件に、いくばくかの、お金を包んでの示談にもなりました。
就業規則は、社員を対象にしています。
役員に適用されることなどありません。
役員は、労働法上の“労働者”ではありません。
だから、懲戒されることはないのです。
役員の解任に関しては、会社法でこう規定されています。
株主総会に50%を上回る議決権を有する株主が出席し、出席した株主の過半
数が、取締役の解任に賛成すれば、解任できると。
株の殆どは、誰が握っていますか。
中小企業の殆どは、社長が株の多くをにぎっています。
株のほとんどを握っている社長がそんなことすると思いますか?
娘婿に弓を引く社長がいるでしょうか。
自分の娘の立場をさらに悪化させることになります。
「ずるい。」 「公平じゃない。」「理不尽だ。」
そう思われるでしょうか。
残念ですが、それが会社と言う組織の実態です。
不祥事の責任は、あなたに押し付けられるかもしれないのです。
以 上
※参考記事
「点検。転職急行「衝動発:後悔行」に、のぞみ無し。退職前の指さし確認を。」
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